不遇職テイマーの成り上がり 〜スキル【吸収】でモンスターの能力を手に入れ、最強になる〜

愛犬ロック

第20話 テイマーは感謝される

 ざわざわ……とギルド内が騒然としだす。
 受付嬢が大声で驚いたせいで、皆、何事だと注目しているのだ。

(おいおい、そんなに驚かなくてもいいだろ……)

 と、内心思いながら苦笑いしていた。


「えーと、ギルドカードの方で討伐記録を確認させてもらってもよろしいですか?」
「いいですよ。どうぞ」


 ギルドカードを受付嬢に手渡す。


「ありがとうございます。少々お待ちくださいね」


 そう言って、窓口の方に早歩きで向かって行った。
 ……それにしても、このギルドの空気何とかならないかな。



 ざわざわ……


「あいつ、サンタの奴にいじめられてたテイマーだろ?」


 ざわざわ……


「前の一件があったから見栄張ってんだろ。すぐに真偽が分かるさ」


 ざわざわ……


「てか、一人パーティメンバー増えてるな。――ぷっ、寄生回復術師のレナかよ」


 ざわざわ……


「攻撃出来ないからパーティに寄生するだけの厄介者。今度は、到頭テイマーパーティにお世話になるのか」



 冒険者達の会話の中で、レナについて話している声がチラホラ聞こえて来た。
 ――寄生回復術師ねぇ。
 随分と不名誉な呼び名だな。
 まぁ、それでも不遇職よりはマシだろうが。



「アレンさーん!報酬金を渡すので、窓口に来てくださーい」


 窓口から俺を呼ぶ受付嬢。
 そうだった、討伐記録を確認したなら、まずは報酬金を受け取らないとな。


「トレント5体、ワイルドボア2体、ウルフ1体、大ネズミ2体を討伐しましたので、報酬金は金貨2枚と銀貨50枚と銅貨50枚になります」
「ありがとうございます」


 Cランクのトレントは1体あたり銀貨50枚のようだ。
 道中に狩ったEランクは1体あたり銅貨10枚になるため、このような報酬金となる。


 報酬金を受け取ろうとすると、後ろでヤジが飛ばされる。



「テイマーがトレントを5体討伐ゥ?壊れてんだろ! そのギルドカード!」
「弱いからって嘘つくのはダセェぞ〜真面目に働けや!」
「そーだ! そーだ!」



 このざわつく冒険者たちを目の前にして受付嬢は、はわわわ、という擬音がピッタリな様子で慌てている。


「アレン、どうする?殺す?」


 俺の袖をチョンチョンと引っ張って、物騒な事を提案してくるシャル。
 いや、君ね……ちょっと怖いよ?
 その困ったら殺しちまおうぜ! 的な考え何とかならないかね。
 ……まぁ、シャルなりのジョークなのだろう。半殺しにする? を略したら、殺す? という発言に――って俺は何を考えているんだ。
 ……とにかく、シャルは物騒な事を言っているが、きっとそれはシャルなりのジョークなのだ。
 うん、そうに違いない。


「うん、やめておこうか」
「分かった」


 しかし、こうしている間にもヤジは飛ばされ続けている。
 どうしようかなーと悩んでいると、バタンと冒険者ギルドの扉が開いた。


「――そいつがトレントを倒したのは本当だ」



 傷だらけの仲間を背負いながら、ギルドにやってきた一人の男。
 声の主は、そう――サンタ=クロースだった。



「おいおい、どうした」
「怪我してんじゃねーか!」


 サンタの姿を見て、周りの冒険者がより騒ぎ出す。


「こいつらの回復を頼む」


 そう言って、サンタは背負っていた仲間を地面に下ろす。

 ……てか、その怪我レナが治してやればよかったんじゃないのか?
 今更そう思い、こっそりレナに聞いてみた。


「あの怪我、レナが治してやればよかったんじゃない?」
「私もそう思ったけど、良いかなって。私、あいつら嫌いだし」
「……なるほど」


 ギルドの回復班がやってきて、サンタの仲間を治療が行われる。
 そして、サンタに他の冒険者からの質問が次々と飛び交う。


「あいつがトレントを倒したってのはどういうことだよ」
「お前らのその怪我はどうしたんだ!?」


 こういった事を聞いていると、ここのギルドの冒険者同士は結構仲が良いのかもしれないと思った。


「俺たちがトレントに襲われてるところを其奴そいつらに助けられた。それだけだ」


 サンタはそれらに一つ一つ答えるのではなく、何があっただけを語った。
 ――そしてサンタは、続けてこう言った。


「こんなに強え奴を俺は不遇職だ、って馬鹿に出来ねえよ……お前、昨日はすまなかったな。それに助けてくれてありがとな」


 俺に向かって頭を下げるサンタ。
 ……まさか、こんな事を言われるなんて思いもしなかったぞ。

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