不遇職テイマーの成り上がり 〜スキル【吸収】でモンスターの能力を手に入れ、最強になる〜

愛犬ロック

第12話 テイマーはアルケミストと出会う

「このダマスカス鋼はな、ミスリルと同じ硬さなんだ」
「それは凄いですね。……だとしたらコストを抑えて良い武器が作れるんじゃないですか?」
「ハッハッハ、そういうことだ。よく分かってんじゃねえか」


大きな声で笑うドワーフ。
その笑い声を聞きつけてか、一人の少女の声が隣の工房の方から聞こえてきた。


「ゲエェェブラアァン!何を楽しそうな話をしているんだね!」


なんだこの子。
ドワーフより少し大きな背丈の少女がこちらにやってきた。
それも満面の笑みで。


「げっ、めんどいのが来たぞ……」

ドワーフの男がそう言う。

「めんどいの?」

あの少女の事だろうか。
確かに、めんどくさそうな雰囲気がプンプンしている。


「そこ!私の悪口を言わない!……って、わあああ!女の子がいるううううう!!!!」


少女はシャルを見つけると、ダッシュで近づいてきた。


「うおおお!久しぶりの女子おなごじゃー!」


少女はシャルを飛びつき、ぎゅーっと抱きついた。


「アレン……助けて」


苦しそうなシャル。
その表情は歪んでおり、プルプルと手を震わせてこちらに助けを求めている。


「ちょ、ちょっと!あなた何をやっているんですか!」


少女とシャルの間に入り、二人を離れさせる。


「む!君の方こそ何だね!ん!おお、君も結構なイケメンじゃないか。ぎゅーーーー」


そう言って俺に飛びついてくる少女。
なんだなんだコイツは!


スッ、と横に交わして少女の攻撃を避ける。
ドンッ、と地面にキスをする少女。


「うぅ……痛い……」


痛そうに悶える少女。


「えっと、ゲブランさん?であってますかね。この人一体何なんですか?」


少女がこのドワーフの男のことをゲブランと言っていたのを覚えていたので、さり気なく名前を確認しながら少女のこと聞いてみる。


「ゲブランで合ってるぞ。で、コイツは……バカだ」
「その紹介は酷すぎないかい!?ゲブラン!」


起き上がり、ゲブランの胸に手の甲を当て、ツッコミを入れる少女。
テンション高いな。


「ゴホン、いやいや君達には見苦しいところを見せてしまったね。ついテンションが上がってしまったんだ。私はテレサ=フィーヴァー。この町一番の錬金術師さ」



自己紹介をするテレサ=フィーヴァーと名乗る少女。
やっぱり、この子が噂の錬金術師なのか。
この町一番と自分で言ってるあたり凄い自信だ。
俺たちも自己紹介をしておこう。


「俺はアレン=ラングフォードです。で、こっちがシャルレ=ハーティスメル。二人共駆け出しの冒険者です」

シャルはペコリと頭を下げて、お辞儀する。

「ほお、冒険者にしては丁寧な奴だな。気に入ったぜ」
「アハハ、僕は途中から冒険者になったので、他の人と比べると礼儀正しいかもしれませんね」
「ハッハッハ、自分で言ってんじゃねぇ。この野郎」

笑いながら、肘をツンツンと俺にぶつけてるゲブラン。
ゲブランは親しみやすい良い人だ。

「そういえば、昨日の爆発もテレサさんがやったんですか?」
「お!君は私のファンかね!?そうだとも!私が爆発させたのさー!」


意味もなく、クルクルと回りながらドヤ顔で答えるテレサ。


「いや、ファンじゃないですけども」
「なに!?何故だい!?私の何がいけないんだい?胸か!おっぱいかアアアアア!」


ダメだ、この人……話が通じない。
真剣に会話しようとしたら疲れそうだし、無視して聞きたいことを聞いてみようかな。


「あの天井も爆発によって壊れたんですか?」
「ああ、そうさ。爆発の衝撃でドカーンとね」


あ、普通に答えてくれた。
この人と会話するときはスルーする事が結構大事かもしれない。


「コイツの爆発の一番の被害者は俺なんだぜ?いっつも、爆発の度に俺の鍛冶場の壁がぶっ壊れるんだ」


ゲブランはそう言うが、鍛冶場の壁はどこも壊れていなかった。
壊れていないどころか傷一つ見つからない。


「どこの壁が壊れるんですか?」


疑問に思った俺は、質問してみた。


「大体ここら辺だな」


ゲブランが指をさした場所は、全く壊れていた跡がなく、どちらかと言えば綺麗な壁である。


「どこも壊れていないと思うんですけど……」
「それはね、私の錬金術で直してやったのさ」
「錬金術?」
「そう、錬金術。日々研究に明け暮れていると言っても私は錬金術師だからね。この壁を直すぐらい赤子の手を捻るようなものさ」
「だからと言って、毎度毎度俺の鍛冶場の壁を壊していい理由にはならんけどな」
「いいじゃないか!その代わり格安でダマスカス鋼を作ってあげてるんだから!」
「へいへい感謝しとりますよー」
「むむむ!」


頰を膨らませ、怒っているような表情をするテレサ。
それにしても錬金術って凄いな。
壊れた壁を一晩のうちに直すなんて。


「テレサさんの研究って何をされているんですか?」
「私のことは気軽にテレサ、もしくはテレサちゃん、と呼んでくれたまえ!もし君がドMでテレサ様とか女王様って呼びたかったらそう呼んでもらっても構わない!」


よし、本人から公認で「さん」付けしなくてもいいという許可をもらったぞ。
この人相手に敬語を使ってたら頭おかしくなりそうだったところなんだ。


「じゃあテレサ。研究って何をやっているんだ?」
「おお、呼び捨て!優しそうな顔しておいて……さては君、Sだね?」
「気にしたことはないな」
「もう、ノリが悪いなー。で、研究の事だったね。君たちはテイマーという職業を知っているかな?」


知っているも何も俺の職業なんだが。
それにテイマーは不遇職として有名だ。知らない人の方が少ない。


「もちろん知ってるよ」


そう答えておく。
ここで自分がテイマーだ、と言っても何の得もしない。もしかしたら、いきなり嫌われることだってあり得る。


「まあ知ってるよね。有名だし。で、そのテイマーの能力はテイムといってモンスターを使役する事なんだけど――私はこの能力を再現出来ないか、と考えた」
「つまり、モンスターを仲間にする方法を研究している訳か」
「そういう事だね。ゴーレムとかは錬金術師の能力で作って動かす事が出来るんだけど、やっぱり野生のモンスターを捕まえたいじゃん?ジャンジャン!?」
「その気持ちは分からなくもないが、何でそんなに野生のモンスターを捕まえたいんだ?」
「ふっふっふ、よくぞ聞いてくれました……。私が無意味にモンスターを捕まえようと考えると思いましたか?否!私はスライムをペットにしたいのだ!」


スライムをペットにしたいだと!?
それって、つまり……


「なるほど、バカなのか」


この錬金術師、腕は確かなのだろうが、バカだ。
少し口調が強くなっているような気がする。
さすがに初対面の人にここまで馴れ馴れしくするのは良くないだろう。
手遅れになる前にちょっと自重しよう。


「そう、コイツはバカなんだ」


自重しようと思った手前、ゲブランが俺に便乗してきた。


「そうだよ!バカと天才はイコールで結ばれているのさ!」

そう言うテレサにゲブランが呆れ気味にツッコミを入れる。

「だからそれ紙一重だ……って、そろそろ仕事しねぇと。アレンとシャルレ、武器のオーダーメイドが欲しくなったらウチの鍛冶場に来な。フォルトリアで一番の鍛治職人の腕前見せてやらぁ!」
「おお、それは有難いです!」
「へへ、少しは安くしといてやる。だから早くウチに来れる様なレベルになれよ」
「はい!」


そう言って、ゲブランは鍛冶場の中に入っていった。


「さて、ゲブランは行っちゃったし、私たちはどうしようか」
「あ、そういえば気になってんだけど、テレサの工房の屋根って直さないの?」
「あれはね、めんどくさいからやってないだけ」
「とっとと直しとけよ!」
「ふははは、私は研究で忙しいのだ!そういう訳で私も失礼する!また遊びに来ると良い!ハッハッハッハー」


テレサは笑いながら、意気揚々と工房の中へ入っていった。
取り残された俺とシャルは顔を見合わせた。


「何かどっと疲れたな」
「うん」


――これが錬金術師のテレサ=フィーヴァーとの出会いだった。

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