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元賢者の最強剣士 〜二度目の人生は自由に冒険者ライフを送る〜

愛犬ロック

第17話 ギルドマスター

 シンディの屋敷に戻ってきた俺は朝食を食べ、これから王都の冒険者ギルド本部に向かうところだ。
 シンディは、
「私もついていく!」
 と言っていたのだが、使用人達に止められていた。
 商会の仕事が溜まっているんだとか。
 リリアは、俺と一緒に冒険者ギルドに行って、F〜Eの簡単な依頼をこなすんだそうだ。
 Cランクの依頼が受けれるようになるまで暫くは、そうやって過ごすらしい。


 そういう訳で俺は今、リリアと共に冒険者ギルドに向かっている途中なのだ。


「はぁ〜。姉さんといると本当に疲れるわ」
「そういえばシンディといるときは全然喋らないな」
「ええ、事あるごとに突っかかってくるから」
「ふーん。シンディが苦手なのか?」
「……そうかもしれないわね。姉さんは全てにおいて私より優れているもの。正直、コンプレックスを感じているわ」
「コンプレックス……ねぇ」
「そうね。だから私は姉さんから逃げるようにエールケの街に行って、冒険者になった」
「あー、少し話が重いな。まあいいさ。でもシンディはお前の家族だ。それにお前はお前だ」
「なにそれ」
「深そうで深くない言葉だ。おっと、ギルドについたようだな」




 ギルド本部は、エールケの街にあったギルドと大して規模が変わらなかった。
 変わっているところは、ギルドの前にある看板の文字に“本部”って書かれてあることぐらいだ。


 中に入り、俺は受付に向かう。
 中の構造は、ほとんどと言っていいほど支部と一緒だ。
 共通にしてくれた方が使い勝手は良いかもしれんな。
 俺と一緒に来たリリアは依頼でも見るのだろう。
 それぐらいしかすること考えられないよな。
 だって、あいつぼっちだしパーティ組むとかないだろ。




「本部に来いって呼ばれた者だけど、どこいけばいい?」


 窓口に行き、受付嬢に話しかける。
 エールケのときの受付嬢も可愛かったが、本部の方も可愛い。
 受付嬢ってのは可愛くないとなれない仕事なのか?
 ブサイクで有能な受付嬢が居てもいいんじゃないかと俺は思うが。




「お手数ですが、ギルドカードをお見せください」
「ギルカードか。……はい、これ」
「……確認しました。ノア様ですね。ギルドマスターがあちらの部屋でお待ちです」


 そう言って、受付嬢は部屋を教えてくれた。
 ギルド長の部屋と同じところだな。
 それにしても対面する人がギルドマスターとはな。
 Fランクだってのにお偉いさんに呼ばれたもんだ。


 木のドアを開け、ギルドマスターが待っているらしい部屋に入る。


「君がノア君かい?200体のコボルトと変異種のコボルトを倒したFランクって聞いてたからもっと強面が来るのかと思っていたよ」


 ギルドマスターは眼鏡をかけた生真面目そうな雰囲気の人だった。
 青色の髪からクールっぽい印象を受ける。


「すまんな、イケメンが来ちまって」
「いや、いいさ。実は僕ね、強面な人は苦手なんだ」


 冒険者は結構強面が多いと思うのだが。
 大丈夫か、このギルドマスター。


「さて、早く話をすませようか。本題に移ろう。ノア君は、喋るコボルト変異種がいたと報告したようだが、それは本当かい?」


 それギルド長にも聞かれたな。


「ああ、いたな。よく喋る奴だったよ」
「ふむふむ。なるほどね。君は、この一件をどう見ている?誰かが関与したと考えているかい?」
「間違いなく黒幕がいるだろうな」
「……へぇ。根拠は?」


 試すような目つき。
 この目を見た瞬間に俺が呼ばれた理由がやっと分かった。
 このギルドマスターは、俺の口から報告を聞きたいんじゃない。
 俺という人物を見極めているのだ。
 何のためかは分からない……が、気に入られるのは避けるべきだろうな。
 気に入られれば気に入られる程、俺から自由が奪われていく。


「うーん、勘だな」
「勘……か。その割には何か確信めいたものがあったね」
「格好良さを演出してみたんだ。名演技だろ?」
「うーん、控えめに言うなら冒険者以外に舞台役者という道が君にはあったかもしれないね」
「それはかなりの高評価だな」


 俺がそう言うと、ギルドマスターは、


「なるほどなるほど」


 と独り言のように小さな声で呟いていた。
 そして、手拍子をしながらギルドマスターはこう言った。


「ノア君、おめでとう。君をBランク冒険者に昇格させてあげよう」
「……は?」


 何故そうなった。


「Fランクから一気にBランクに昇格ってそんなの出来るのかよ!」
「出来るよ。僕はギルドマスターだからね」


 ニコッと笑うギルドマスター。
 てか、ギルドマスターの権限使って俺を昇格させるんじゃねーよ。


「なんでBランクに昇格させるんだ?俺はただの新人冒険者だが」
「コボルト200体と変異種3体を単独で討伐するFランクがただの新人冒険者な訳ないでしょ。ギルドとしては、君のような有望な若者をFランクにしておくには勿体無いんだ。君なら将来Sランクに至るかもしれないし」
「勘弁してくれ。俺はあまり働き者じゃないんだ。束縛されるのはゴメンだ」
「なんだい?そんな心配をしていたのかい?冒険者は自由の象徴さ。冒険者を束縛なんてしない。依頼を受ける決定権はギルドじゃなく、君にあるんだから。……という訳で君は今日からBランク冒険者だ」
「結構強引だな。自由はどこいった?」
「適正なランクに冒険者を振り分けるのもギルドの仕事の一つさ。まぁ、今回は大人しく諦めてくれよ」


 その瞬間、ギルドマスターは殺気を飛ばしてきた。
 鋭く冷徹な殺意の塊。
 周りの気温が数度下がったような感覚。


「ほら、殺気を飛ばしても君は物怖じとしていない」


 ギルドマスターはそう言って、殺気を飛ばすのをやめた。
 さっきとは打って変わり、ニコニコとした笑顔を見せる。
 ……面倒な奴だ。


「はぁ。分かったよ。もうBランク冒険者でいい」
「うん、賢い判断だ。あ、そういえば自己紹介がまだだったね。僕の名前はデューイ。これからよろしくね」
「俺としては出来ればよろしくしたくない所だな」
「ハハハ、ノア君は面白いなぁ」


 こうして、俺はギルドマスターのデューイと出会ったのだ。



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