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元賢者の最強剣士 〜二度目の人生は自由に冒険者ライフを送る〜

愛犬ロック

第16話 名前も知らない少女

 しばらく待っていると、メイドがディナーを持ってきてくれた。
 前菜、スープ、魚料理、肉料理、デザートといった順番で運ばれてきた。
 これは、あれだ。
 貴族共がいつもめんどくさそうに食べてた奴だと思った俺は、頭の片隅にあったテーブルマナーを思い出した。
 郷に入っては郷に従え……というわけで、俺はマナーよく食べていた。
 それを見たリリアとシンディーはすごく意外そうな顔をしていた。


「あんた、テーブルマナーなんて知ってたのね……」


 と、リリアに言われてしまった。
 俺とて元賢者と呼ばれた男だぞ?
 知識の量ならお前らとは比べ物にならんぐらいあるのだ。
 ……自分で言うと凄く恥ずかしいな。


 ディナーを食べた後は、風呂に入った。
 シンディの屋敷の風呂は、宿屋のものとは比べ物にならないくらい豪華だった。
 やはり、この時代では風呂が一般的なものとされているようだ。
 風呂に入ってサッパリした後は、執事に部屋に案内されて就寝した。


 翌朝、早朝4時に目覚めると屋敷の使用人達は既に目を覚ましており、色々と仕事をしていた。


「ノア様、早いお目覚めですね」


 執事の一人が俺に声をかけてきた。


「もう習慣になっててな。早く目が覚めちまうんだ」


「それは良い事ですね。これから外へ行かれるのですか?」


「そうだな。この街をちょっと探索しようかなーって」


「そうですか。では、朝食の用意が出来ますので7時には帰ってきてください。」


「分かった。7時だな」


 7時と言ってもこれから3時間もあるな。
 今日は自己鍛錬はやめておいて、街を見て回ることにしよう。
 知らない地に来たときは探索が重要だからな。
 7時には帰らなければいけないため、とりあえず迷子にならないようにしないとな。
 そう思いながら街の中を歩く。


 こんな早朝だってのに、この街はもう起きてる奴が多く、皆仕事の準備をしている。
 エールケの街は、こんな風に活発ではなかったな。
 街が違えば住む人も違うというわけか。


 街の中を歩いていると、噴水を発見した。
 そこは、花に囲まれており、ベンチが設けられていて憩いの場のような感じになっていた。
 暇つぶしにベンチに座って、噴水と花を眺めることにした。


「こんな朝早くから一人で何をされているのですか?」


 声をかけられた。
 その声の主を見ると、銀髪の長い髪をした歳の変わらないぐらいの少女が立っていた。
 白い肌にルビーのように赤い瞳をした少女。
 それにしても何をしてるかと問われると困るな。


「街を歩いて回ってたら、ここを見つけてな。ボーッと噴水と花を眺めていた……というのが正解だろうか」


「ふふふ、変わった言い回しをなさるのですね。お隣座ってもよろしいですか?」


「ダメだ」


 そういうと、少女は目をギョッと丸くした。


「えっ!」


 ……何か可哀想だな。


「冗談だ。ここは公共の場所だろ?座りたきゃ座れよ」


「……ふぅ。私ちょっと驚きましたよ。初対面の人にいきなり嫌われたのかと思いました」


 名前も知らない少女は俺の横に座ると、そう胸をホッと撫でおろしていた。
 コイツも少し変わった奴だな。


「えーと、あなたの名前を教えてもらってもよろしいですか?」


「ノアだ」


「ノアさんですか。もしかして、この街に来られたのは初めて?」


 初めてではないが、今世では初めてだな。
 話をややこしくするのもどうかと思うので、初めてということにしておこう。


「初めてだ。よく分かったな」


「勘ですね」


「そうか、じゃあ今日は勘がさえてるかもな」


「ふふ、そうだといいですね」


「お前はなんて言うんだ?」


「うーん、内緒ではダメですか?」


「いや、流れで聞いただけだ。言いたくないなら言わなければいい」


「それを聞いて安心しました。女は少しミステリアスなぐらいが魅力的って聞いたことがありましたので」


 ……あれ?
 なんか似たようなことが前にもあったような……。
 まぁ気のせいだろう。
 そういうデジャヴを感じることは誰だってあることだ。


「お前は魅力的な女になりたいのか?」


「そうですね。女性は皆、美しくなりたいと心のどこかで思っている生き物なんですよ」


「そうかい。俺は別にカッコよくなりたいとかは思ったことないけどな」


「既にカッコイイからですか?」


「おお、よく分かったな」


「へへーん」


 少女は何故か自慢げにしていた。


「でも、そうやって自分でカッコイイとか思ってるのちょっと痛いですよ」


「事実だから仕方ないだろ。男は謙虚な奴より堂々としてる方がモテるって聞いたぜ」


「うーん、確かに女々しい人よりはいいかもしれませんね」


「だろ?」


「でも、顔より清潔感だと思いますよ。あと優しさとか」


「なら俺はパーフェクトだな」


「だから自分で言っちゃうのが良くないんですって」


 と、見ず知らずの名前も知らない少女とよく意味の分からない会話をしていた。
 そろそろシンディの屋敷に戻らないとな。


「よし、そろそろ戻らないとな」


「あ、私もです」


「そうか、いいタイミングだな。まぁ、もう会うことはないかもしれんが、元気でな」


「そうですね。ノアさんもお元気で!」

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