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元賢者の最強剣士 〜二度目の人生は自由に冒険者ライフを送る〜

愛犬ロック

第10話 所詮はコボルト

「俺は一体……何を見ているんだ……」


 昨晩、夕食を共にしたときにノアは、確か自分のことをFランクだと言っていた。
 しかし、俺たちの目の前で戦っているノアの動きは到底Fランクのものとは思えなかった。


「よっ……と」


 平然とした声で遊んでいるかのようにも見える動き。
 多すぎるコボルト達の集団の中で次々にコボルトを倒していく。
 コボルトの返り血でノアの白い髪は赤くなっていた。


 戦う前に俺たちの周りに張ってくれた結界のようなモノもとてつもない。
 コボルト達が青いを帯びた薄い半透明の結界を壊そうとしても、ビクともしていないのだ。
 本当に彼は何者なんだろうか。
 もしかしたら、彼は戦神様が現世に現した姿かもしれない。
 そう思うぐらいにノアは恐ろしく強い。
 その強さは底知れないようにすら感じる。


「……ノアって何者なんだろうな。結界魔法って凄腕の魔法使いにしか使えない魔法なんだぜ。それがFランクの冒険者で、しかも俺らとあまり歳が変わらない奴が使ってるなんて信じられないよ……」


 レンは冷や汗を流しながら、恐れるような口調で言う。


「うん……本当にノア君凄いね……。でも、私達を助けようと頑張ってくれてるんだから酷い事言っちゃダメだよ?」


「い、言うわけないだろ。ノアは良い奴だからな!」


 レンは少し慌てながら答えた。
 ノアはいい奴だ。
 俺もそう思う。
 ノアは危険をいち早く察知して俺たちを危険な目に合わせないようにと善処してくれた。
 そして、俺がノアを信じてやれなかったばっかりに最悪の事態になったが、ノアは今こうして俺たちのために戦ってくれている。
 ギルドの時だってそうだ。
 酒を飲んでふざけていたように見えるあの行為でさえ、俺たちが身の丈に合わない依頼を受けないようにと考えてくれた故の行動だったのだ。
 ノアは本当に会って間もない俺たちの事を大事に考えてくれた。
 それなのに俺は……。


 自分の無力さ、ノアを信じてやれなかった後悔と感謝の気持ちが重なって目頭が熱くなる。
 俺は上を向いて、ノアの無事を祈るのだった。












 ◇










「……っほ。……っせい」


 避けるとき、ステップを踏む際に出る少しの加速を利用し、剣を振るいコボルトの身体を真っ二つにする。
 コボルト達の攻撃を交わしながら、コボルト達を次々と戦闘不能にさせる。
 無駄な動きは1つ足りともせず、攻撃と回避を同時に行う。


 そうしている内にコボルトの数は減り、100以上の死体が転がっている。
 もう立っているコボルトは消え失せ、やっと親玉が姿を見せた。


 倒れているコボルト達より2倍ぐらいの大きさのコボルトが2匹。
 それを従えているのは、大きいコボルトより一回り小さいコボルト。
 コボルトというより人間に近い体の形をしており、体から禍々しい魔力が溢れ出している。
 2種類とも変異種のようだな。


「ニンゲン……コロセ」


 コボルトのリーダーは低く重くるしい声で言葉を発した。
 すると、二匹の大きなコボルトは俺に向かってタックルしてきた。
 いきなりだな。
 俺は上に飛び、タックルを交わしてから剣を横に振るい、奴らの息の根を止めようとするが、


 キンッ!


 二匹のコボルトは、タックルをしかけてきた直後に空中に飛んだ俺を目掛けてパンチを繰り出した。
 俺が剣で防ぐと、高い金属音がしてから飛ばされて少し離れたところで着地した。


 その背後には、既にコボルトのリーダーが回り込んでおり、攻撃を仕掛けようとしている。


「……シネ」




 ……




 身体強化。




 身体能力を素の状態の3倍に向上させる。
 もっと倍率を上げる事は出来るが、これぐらいで十分だろう。






「悪いな、まだ死ぬには早すぎるんだ」


「……ナニ!?」


 コボルトのリーダーは驚いただろうな。
 目の前にいた敵が次の瞬間には背後にいるんだから。
 コボルトのリーダーは一回転して、俺から背中を隠してから後ろに下がり距離を取る。


「ニンゲン……フゼイガ……ナメタコトスルナ!」


 コボルトのリーダーは、無詠唱で闇魔法を放ってきた。
 上級魔法のダークレイだ。
 闇属性のビームを放つ魔法だが、上級魔法なら対処は簡単だ。
 俺も同じ威力の魔法を撃てばいいだけなのだから。




 闇属性初級魔法【ダークボール】




 黒色をした闇属性の球がビームとぶつかり相殺された。
 全く、今世ではこれぐらいでしか攻撃魔法を使えないな。




「ナニッ!?」


 コボルトのリーダーは、あり得ないと言いたげな雰囲気だ。
 魔物の表情は分からない為、完全に憶測だが。




 しかし、その隙に大きなコボルト二人は俺に接近しており、既に攻撃態勢に入っていた。
 コボルトの大きな拳が俺の目の前まで来ていたが、




「――遅いな」




 身体強化をした俺は、コボルト二匹が攻撃をする前に剣を横に振るった。
 剣は軌跡を描きながら、綺麗に二匹を斬り裂いた。


 コイツらでは準備運動にもならないな。
 変異種だと思い、期待したが……。
 所詮はコボルトか。




「ナンナンダ……ナンナンダオマエハッ!」


 コボルトのリーダーは低い声を張り上げ、叫んでいる。
 それにしてもコイツよく喋るな。


「ただの冒険者だ。で、お前は結構喋るようだが、お前に言語を教えた奴でもいるのか?ちゃんと答えたら見逃してやってもいい」


「……コロセ」


「そうか、じゃあな」




 瞬歩でコボルトのリーダーの前に移動し、剣を振るい、奴の息の根を止めた。



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