元賢者の最強剣士 〜二度目の人生は自由に冒険者ライフを送る〜
第7話 新メンバー加入
早朝4時。
外は薄暗く、日がまだ顔を隠している時間に俺は目を覚ます。
これは俺の習慣であり、幼い頃からずっと4時に目を覚ましている。
目を覚ました俺は、寝床からすぐに起き上がり、ストレッチを行う。
ストレッチを終え、深呼吸をしてから部屋を出た。
宿屋に泊まっている冒険者達は、まだ眠っているようで起きている人は誰もいなかった。
宿屋から出て、日課のランニングを行う。
身体強化魔法があるからと言って、肉体を鍛えないのは愚者のすることだ。
継続的な努力こそが己の肉体を強くする一番の近道という訳だな。
まあ、そんな事を思うほどストイックではないが、早朝の鍛錬は前世からの日課であることは間違いないので、体を動かさないと何か気持ち悪いのだ。
昨日、宿屋を探すために街を歩き回ったため、一通り道は覚えている。
直線的な道が多く、走りやすい街だ。
軽くを汗をかき、10km程走り戻ってきた俺は剣の素振りを行う。
回数は特に数えないが、一通り動きを確認していつも素振りを終えている。
素振りの最中、宿屋のドアが開き、誰かが出てきた。
眠そうに欠伸をしながら出てきた赤い髪の女は、俺が何度か遭遇してきた人物だった。
しかし、どうやら俺は嫌われていそうなので気にせず素振りを続ける。
「ふーん、変態のくせに中々良い剣筋ね」
なんと話しかけられた。
正直、驚きのあまり握っている剣をぶん投げてしまいそうになった。
何故、驚いたらぶん投げそうになったかって?
それぐらいお前のハートで感じろ。
チキンな俺は、とっとと目の前の恐ろしい女に返事をしなければいけないのだ。
「変態?どこにいるんだ?まさか……お前か?」
「私じゃないわよ!昨日、女風呂に堂々と入ってきたでしょーが!」
「ああ、それを引きずっているのか。器が小さい奴だな」
「あんた……本当に殺すわよ?」
「すまん、冗談だ。昨日は悪かったな。それよりもお前はこんな朝から何するんだ?」
咄嗟に話題を変える事により、この女の怒りの気持ちを紛らわす。
いやぁ実に天才的な作戦だな。
しかし、こんな早くからこの女は何をしにきたんだ?
純粋な疑問だった。
「はぁ、あんたと話してると疲れそうだわ。私も剣の素振りをしにきたのよ」
「ほう。そういえば、昨日の適性試験では剣を使ってたな。結果はどうだったんだ?」
「堂々のCランクだったわ。あんたは何ランクなのよ」
「俺も堂々のFランクだ」
「いや、どこが堂々なのか説明してくれるかしら。ま、私の方がランクが高いんだから敬いなさいよね」
「仕方ない。じゃあ敬うついでに名前を聞いてやろう。名を名乗れ」
「それのどこが敬ってる奴の態度なのよ……ほんと調子くるうわね。私はリリア。あんたは?」
リリアとは懐かしい名前だな。
300年前に剣姫として名を馳せていた奴と一緒の名前ではないか。
もしかすると、憧れてその名前をつける親も多いのだろうか。
「ノアだ。リリアか、中々面白い名前をしているな。剣姫と一緒の名前か」
「あら、見かけによらず物知りなのね。300年前のことなんて皆、賢者についてしか知らないのに」
賢者……か。
たぶん俺のことだろうな。
転生してから本の類を全く読む機会がなかったので、俺たちの時代がどう語り継がれているか目を通してなかったが……。
もしかすると、俺って結構有名なのかもしれない。
「賢者って、ルーク・アーデンバーグの事か?」
試しに昔の自分の名前を言ってみた。
「当たり前でしょ。歴代で最も偉大であり、最強の魔法使いの名前よ?世界の英雄の名前ぐらいみんな知っているわ」
まじか……。
いや、俺も少しは歴史に名を残すかなーと思っていたが……。
いやいや……何か引くわ……。
自分の事をこうも誇らしげに語られると、鳥肌が立つ。
「お、おう。そうだよな……」
「……何か顔色悪くなってない?」
「いやいやいやいや。何もなってないよ?うん。別に何ともないから!」
「……やっぱり変な奴」
おかげさまでリリアから変な奴認定されてしまった。
お前が昔の俺の事をそんなに大層に言うから悪いんだ。
聞いたのは、俺の方だが。
「まあ、俺は一通り素振りとかやったし宿屋に戻って朝食でも食べるわ」
「あ、ちょっと待ちなさい。……ね、ねぇあなたってパーティとかもう組んだ?」
「ああ、昨日3人のパーティに入れてもらったな」
「も、もしよかったら……そのパーティに私も入れてくれない?」
顔を赤らめ、恥ずかしそうに聞いてくるリリアを少しだけ可愛いと思ってしまった。
そういえば、昨日食堂でリリアは俺たちの方を羨ましげに見ていたのを思い出した。
「なるほど、友達がいないのか」
「何でそうなるのよ!パーティに入れて欲しいって頼んでるだけでしょ」
「いやいや、CランクがFランクのパーティに加入したいって思うかね普通。となると、友達がいないから寂しいので入りたいって考えると結構つじつまがあう」
「適性試験でCランクになったとしても初めは10個ほどF〜Eランク向けの依頼をこなす必要があるのよ。それでパーティに混ざりたいなって思ったの」
ふむ。
適性試験でCランクになったとしても早速Cランク用の依頼を受けれるという訳ではないのだな。
実力がCランクではあるものの、冒険者としての経験が足りないから経験を積めという事だろう。
「しかし、それではお前に友達がいるという証明にはならないぞ?ぼっちリリアよ」
「誰がぼっちリリアよ。はぁ、あんたと話してると本当に疲れるわね。もう、ぼっちでいいわよ。その代わりパーティに入れてね」
「おいおい、素直に友達になってくださいって言えないのか?」
「はいはい、友達になってくださいー」
棒読みで言うリリア。
リリアは、反応が面白いから色々からかってしまうな。
ちょっと可哀想だから、この辺にしといてあげよう。
「仕方ないな。今日から俺とお前は友達だ。今月末に友達料金として1万ペル請求するから、ちゃんと払うように」
「誰が払うか!!」
◇
「そんな訳で、こちらのCランク冒険者リリアがパーティに加わりたいとのことです」
朝食の時間、俺たちパーティ4人とリリアの計5人は食堂のテーブルを囲みながら座っていた。
1つ足りなかった椅子は、となりのテーブルから拝借してきた。
「なるほど、とりあえずノアがSだなって思った」
と、レンが俺をからかう。
嫌だな、俺はSじゃないぞ。
俺は軽くいじめられるぐらいなら、きっと興奮できるはずだ。
俺によるSとMの定義なのだが、どんなに軽いいじめでもそれが耐えられ、不快に思わないならその人はMだ。
何故ならSの人は、プライドが高く、弱い自分を他人に見せたがらないからだ。
「そんなことはさておき、正直俺はリリアの加入は凄く有難いと思っている」
さすが、リーダーアルレ。
ちゃんと話しが脱線しないように本題に変えてくれた。
「ほう、理由を聞こうじゃないか」
「いや、だからあんたは何でそんなに偉そうなのよ」
「「ぷっ」」
リリアのツッコミにレンとスズナは、吹き出してしまった。
クソ、こいつ美味しいとこだけ持っていきやがって。
「あはは、それと理由だけど2つあって、1つ目は適正試験にCランクで合格出来るほどの実力はパーティの戦力アップに大きく繋がるから。2つ目は、4人のうち3人が男で女性はスズナ1人だけだったから、もう1人女性が入ってくれる事によって、スズナのメンタル面で大きく役立ってくれるはずだ」
「「「「おおー」」」」
俺たち4人は感心のあまり声をあげていた。
思ってたより、凄い考えていた。
多分、アルレは前衛より後衛が向いているだろうな。
状況を把握して的確な判断が下す事が出来る能力は指揮官向きだ。
前衛は、魔物と対峙しなければいけない為、どうしても視野が狭くなってしまう。
その点、後衛は広い視野を持つことが出来、仲間に指示を出しやすい。
それだけに少し惜しいな、と思ったのだ。
「えーと、じゃあ私はパーティに参加していいのかな?」
「ああ、もちろんだ」
リリアの問いにアルレは笑顔で返事をした。
「やったー。パーティに女の子がきたー」
スズナは喜びのあまりか、リリアに抱きついた。
「私、スズナって言うの。よろしくね!」
抱きつきながら自己紹介をするスズナ。
「よ、よろしく」
抱きつかれているリリアは顔を赤らめているが、嫌そうにはしていなかった。
良かったな、女の友達が出来て。
「俺はアルレだ」
「僕はレン!」
二人も忘れずに挨拶をしていた。
こうして俺たち5人のパーティが結成されたのだった。
外は薄暗く、日がまだ顔を隠している時間に俺は目を覚ます。
これは俺の習慣であり、幼い頃からずっと4時に目を覚ましている。
目を覚ました俺は、寝床からすぐに起き上がり、ストレッチを行う。
ストレッチを終え、深呼吸をしてから部屋を出た。
宿屋に泊まっている冒険者達は、まだ眠っているようで起きている人は誰もいなかった。
宿屋から出て、日課のランニングを行う。
身体強化魔法があるからと言って、肉体を鍛えないのは愚者のすることだ。
継続的な努力こそが己の肉体を強くする一番の近道という訳だな。
まあ、そんな事を思うほどストイックではないが、早朝の鍛錬は前世からの日課であることは間違いないので、体を動かさないと何か気持ち悪いのだ。
昨日、宿屋を探すために街を歩き回ったため、一通り道は覚えている。
直線的な道が多く、走りやすい街だ。
軽くを汗をかき、10km程走り戻ってきた俺は剣の素振りを行う。
回数は特に数えないが、一通り動きを確認していつも素振りを終えている。
素振りの最中、宿屋のドアが開き、誰かが出てきた。
眠そうに欠伸をしながら出てきた赤い髪の女は、俺が何度か遭遇してきた人物だった。
しかし、どうやら俺は嫌われていそうなので気にせず素振りを続ける。
「ふーん、変態のくせに中々良い剣筋ね」
なんと話しかけられた。
正直、驚きのあまり握っている剣をぶん投げてしまいそうになった。
何故、驚いたらぶん投げそうになったかって?
それぐらいお前のハートで感じろ。
チキンな俺は、とっとと目の前の恐ろしい女に返事をしなければいけないのだ。
「変態?どこにいるんだ?まさか……お前か?」
「私じゃないわよ!昨日、女風呂に堂々と入ってきたでしょーが!」
「ああ、それを引きずっているのか。器が小さい奴だな」
「あんた……本当に殺すわよ?」
「すまん、冗談だ。昨日は悪かったな。それよりもお前はこんな朝から何するんだ?」
咄嗟に話題を変える事により、この女の怒りの気持ちを紛らわす。
いやぁ実に天才的な作戦だな。
しかし、こんな早くからこの女は何をしにきたんだ?
純粋な疑問だった。
「はぁ、あんたと話してると疲れそうだわ。私も剣の素振りをしにきたのよ」
「ほう。そういえば、昨日の適性試験では剣を使ってたな。結果はどうだったんだ?」
「堂々のCランクだったわ。あんたは何ランクなのよ」
「俺も堂々のFランクだ」
「いや、どこが堂々なのか説明してくれるかしら。ま、私の方がランクが高いんだから敬いなさいよね」
「仕方ない。じゃあ敬うついでに名前を聞いてやろう。名を名乗れ」
「それのどこが敬ってる奴の態度なのよ……ほんと調子くるうわね。私はリリア。あんたは?」
リリアとは懐かしい名前だな。
300年前に剣姫として名を馳せていた奴と一緒の名前ではないか。
もしかすると、憧れてその名前をつける親も多いのだろうか。
「ノアだ。リリアか、中々面白い名前をしているな。剣姫と一緒の名前か」
「あら、見かけによらず物知りなのね。300年前のことなんて皆、賢者についてしか知らないのに」
賢者……か。
たぶん俺のことだろうな。
転生してから本の類を全く読む機会がなかったので、俺たちの時代がどう語り継がれているか目を通してなかったが……。
もしかすると、俺って結構有名なのかもしれない。
「賢者って、ルーク・アーデンバーグの事か?」
試しに昔の自分の名前を言ってみた。
「当たり前でしょ。歴代で最も偉大であり、最強の魔法使いの名前よ?世界の英雄の名前ぐらいみんな知っているわ」
まじか……。
いや、俺も少しは歴史に名を残すかなーと思っていたが……。
いやいや……何か引くわ……。
自分の事をこうも誇らしげに語られると、鳥肌が立つ。
「お、おう。そうだよな……」
「……何か顔色悪くなってない?」
「いやいやいやいや。何もなってないよ?うん。別に何ともないから!」
「……やっぱり変な奴」
おかげさまでリリアから変な奴認定されてしまった。
お前が昔の俺の事をそんなに大層に言うから悪いんだ。
聞いたのは、俺の方だが。
「まあ、俺は一通り素振りとかやったし宿屋に戻って朝食でも食べるわ」
「あ、ちょっと待ちなさい。……ね、ねぇあなたってパーティとかもう組んだ?」
「ああ、昨日3人のパーティに入れてもらったな」
「も、もしよかったら……そのパーティに私も入れてくれない?」
顔を赤らめ、恥ずかしそうに聞いてくるリリアを少しだけ可愛いと思ってしまった。
そういえば、昨日食堂でリリアは俺たちの方を羨ましげに見ていたのを思い出した。
「なるほど、友達がいないのか」
「何でそうなるのよ!パーティに入れて欲しいって頼んでるだけでしょ」
「いやいや、CランクがFランクのパーティに加入したいって思うかね普通。となると、友達がいないから寂しいので入りたいって考えると結構つじつまがあう」
「適性試験でCランクになったとしても初めは10個ほどF〜Eランク向けの依頼をこなす必要があるのよ。それでパーティに混ざりたいなって思ったの」
ふむ。
適性試験でCランクになったとしても早速Cランク用の依頼を受けれるという訳ではないのだな。
実力がCランクではあるものの、冒険者としての経験が足りないから経験を積めという事だろう。
「しかし、それではお前に友達がいるという証明にはならないぞ?ぼっちリリアよ」
「誰がぼっちリリアよ。はぁ、あんたと話してると本当に疲れるわね。もう、ぼっちでいいわよ。その代わりパーティに入れてね」
「おいおい、素直に友達になってくださいって言えないのか?」
「はいはい、友達になってくださいー」
棒読みで言うリリア。
リリアは、反応が面白いから色々からかってしまうな。
ちょっと可哀想だから、この辺にしといてあげよう。
「仕方ないな。今日から俺とお前は友達だ。今月末に友達料金として1万ペル請求するから、ちゃんと払うように」
「誰が払うか!!」
◇
「そんな訳で、こちらのCランク冒険者リリアがパーティに加わりたいとのことです」
朝食の時間、俺たちパーティ4人とリリアの計5人は食堂のテーブルを囲みながら座っていた。
1つ足りなかった椅子は、となりのテーブルから拝借してきた。
「なるほど、とりあえずノアがSだなって思った」
と、レンが俺をからかう。
嫌だな、俺はSじゃないぞ。
俺は軽くいじめられるぐらいなら、きっと興奮できるはずだ。
俺によるSとMの定義なのだが、どんなに軽いいじめでもそれが耐えられ、不快に思わないならその人はMだ。
何故ならSの人は、プライドが高く、弱い自分を他人に見せたがらないからだ。
「そんなことはさておき、正直俺はリリアの加入は凄く有難いと思っている」
さすが、リーダーアルレ。
ちゃんと話しが脱線しないように本題に変えてくれた。
「ほう、理由を聞こうじゃないか」
「いや、だからあんたは何でそんなに偉そうなのよ」
「「ぷっ」」
リリアのツッコミにレンとスズナは、吹き出してしまった。
クソ、こいつ美味しいとこだけ持っていきやがって。
「あはは、それと理由だけど2つあって、1つ目は適正試験にCランクで合格出来るほどの実力はパーティの戦力アップに大きく繋がるから。2つ目は、4人のうち3人が男で女性はスズナ1人だけだったから、もう1人女性が入ってくれる事によって、スズナのメンタル面で大きく役立ってくれるはずだ」
「「「「おおー」」」」
俺たち4人は感心のあまり声をあげていた。
思ってたより、凄い考えていた。
多分、アルレは前衛より後衛が向いているだろうな。
状況を把握して的確な判断が下す事が出来る能力は指揮官向きだ。
前衛は、魔物と対峙しなければいけない為、どうしても視野が狭くなってしまう。
その点、後衛は広い視野を持つことが出来、仲間に指示を出しやすい。
それだけに少し惜しいな、と思ったのだ。
「えーと、じゃあ私はパーティに参加していいのかな?」
「ああ、もちろんだ」
リリアの問いにアルレは笑顔で返事をした。
「やったー。パーティに女の子がきたー」
スズナは喜びのあまりか、リリアに抱きついた。
「私、スズナって言うの。よろしくね!」
抱きつきながら自己紹介をするスズナ。
「よ、よろしく」
抱きつかれているリリアは顔を赤らめているが、嫌そうにはしていなかった。
良かったな、女の友達が出来て。
「俺はアルレだ」
「僕はレン!」
二人も忘れずに挨拶をしていた。
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