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元賢者の最強剣士 〜二度目の人生は自由に冒険者ライフを送る〜

愛犬ロック

第5話 宿屋に泊まろう!

「試験開始!」


 審判の声が闘技場に響き渡り、適性試験という名の試合が始まった。
 観客席には、俺以外に数人ぐらい冒険者がこの試合を見物している。




「《身体強化》ッ!はああぁああッッ!!」




 鬼気迫る勢いで試験官との距離を詰める女。
 その勢いを殺さず、彼女の木剣が試験官を捉える。


 それに対し試験官は、何とか自分の木剣で受け止める。
 その表情には、試合前見せていた余裕が一切消えていた。
 しかし、試験官は身体強化魔法を詠唱する素振りは見えない。
 使わなくても勝てると見てるのか、それとも使えないのか。
 まあ、どちらでもいい事だ。
 彼女の剣術は、この一瞬だけを見ても中々筋が良い。
 ブラントよりも強いのは間違いない。


 そして試合は、若干女が押してるように見えるものの決定打はなく5分に達し、


「試験終了!」


 と、審判が高らかと宣言した。
 この接戦の試合を見て興奮したのだろうか。


 だが、俺は別の感情を抱いていた。


「こんなもんか」


 ボソッと呟き、俺は席を立ち上がった。
 少し残念に思ったのだ。
 彼女は天才と呼ばれる存在なのだと悟ったからだ。
 その天才があの程度だと思うと……。


 いや、これも世界が平和になった良い証拠なのだろう。






 1階に戻ってきた俺は素材の換金を行いに冒険者登録をした窓口に向かった。
 ここで換金が出来るとは思えないが、場所を聞くことは出来る。
 自力で探すよりは短い時間で済む。


 右手をポケットに突っ込み、アイテムボックスからアウルベアの爪を取り出した。
 5歳のときに討伐したアウルベアを後日、素材になるところだけを解体した物の一つだ。


「これを買い取ってもらいたいのだが、どこに行けばいい?」


 そう言って、俺はポケットからアウルベアの爪を取り出し、机の上に置いた。


「はい、こちらで買い取りさせて頂きますよ。って、これアウルベアの爪ですか!?」


「そうだが、何か問題でもあったか?」


「い、いえ問題は無いのですが、先程冒険者登録された方がアウルベアの爪を持ってきたことに驚いたんですよ」


 なるほど、身の丈に合わない素材を持ってきたからか。
 結構なリアクションをするから何か悪いことでもしたのか少し不安になったぞ。
 この様子だと自分で討伐したとは言わない方がいいな。


「それは冒険者になる俺に両親がくれたものなんだ。生活費の足しにしてくれとな」


「あ、そうでしたか。すみません。良いご両親をお持ちですね」


 嘘のエピソードであるが、良いご両親という点は本当だな。


「で、これいくらになるんだ?」


「今から査定しますので少々お待ちくださいね」


 そう言って受付嬢は、眼鏡のレンズがついた小型の機械をとりだした。
 それを使って、アウルベアの爪を観察している。
 一体これは何の道具だ?


「良い状態で保存されていましたね。劣化しているところが全く見つかりませんよ。それにサイズも大きいですので、相場の倍の値段の20万ペルで買い取れますよ!どうされます?」


 謎の道具を使って、査定をしているようだった。
 20万ペルで買い取ってもらえるのか。
 結構、価値があるんだな。
 それにしても……劣化しているところが全く見つからない、か。
 そりゃアイテムボックスの中は時間という概念が存在しないからな。
 当たり前といえば当たり前だが、変に怪しまれそうだ。


「じゃあその値段で買い取ってくれ」


「分かりました。……お手数ですが、ギルドでは買取主を把握出来るようにしてなければいけないため、こちらの紙にサインをお願い出来ますか?」


 冒険者ギルドを俺は甘く見ていたようだ。
 野蛮な冒険者を雇っているギルドは、適当な運営方針なのだろうと思っていたが、随分としっかりとしていた。
 受付嬢が出した紙にサインをする。


「これでいいか?」


「はい、大丈夫です。えーっと、こちらが20万ペルになります」


「どうも。それと今晩泊まる宿屋を探しているんだが、オススメの宿はあるか?」


「それならバーバルの宿屋がオススメですよ。安いですし、ご飯も美味しいです。若い新人冒険者のみ宿泊可能の宿なので仲間探しにもなりますよ!」


「へぇー。良心的な宿屋もあるもんだな。そこに泊まるとするよ」


「あ、でしたら……」


 そう言って受付嬢は何かを探し出した。
 そしてすぐに、


「あったあった!これバーバルの宿のサービス券です。食事代が一度だけ半額になりますよー」


「では、有り難くもらっておこう。それと色々ありがとな」


「えっ、えーっと、あっ、はい!」


 サービス券を渡す受付嬢の顔は少し赤くなっていた。
 照れやすい人なんだろうな。








 サービス券をもらった俺は、その対象であるバーバルの宿屋に来た。
 場所を聞くの忘れてたので、結構歩き回るはめになり、もうすっかり空は暗くなっている。


 バーバルの宿屋は、結構でかくて冒険者ギルドを一回り小さくした感じだ。
 木製のドアを開けると、すぐ横に受付があった。
 受付には誰もいないが、金属で作られたよく訳の分からない物の前に、


『誰もいないときは、これを押してください』


 と、書かれた紙が貼ってある。
 突起となっているところがあり、そこを押せばいいのだろうか。
 誰もいないので、押してみる。


 チーン。


 ベルの高い音が鳴り響く。
 これを押すと、音が鳴る仕組みなのか。
 面白いな。
 これで従業員を呼ぶのか……良い発想だ。


 チーン、チーン、チンチンチンチンチン。


 何回も押していると、


「あんた、それ何回も鳴らすもんじゃ無いからね。一回で充分だから!」


 奥から少し怒ったおばさんがやってきた。
 一回で良かったのか。
 音が出るのが面白くて何回も押してしまった。


「すまん、初めてみたもので感心してしまってな。泊まりたいんだが、部屋は空いてるか?」


「空いてるわよ。201号室を使いな。1泊1600ペルね」


「1600ペルだと?随分と安いな」


 8個入りのたこ焼きが4つで1600ペルだと考えると、他に宿屋がいくらか知らないが、かなり安い。
 今の俺の所持金20万ペルなら100日以上泊まれるじゃないか。


「はっはっは、ウチはあんたみたいな新人冒険者のために経営してるからね。儲ける事なんて考えてないのさ」


「なるほど、物好きもいたもんだな。そういうことなら有り難く使わせてもらおう」


「ああ、たくさん利用して頂戴」




 宿屋の奥へ進むと、まず最初に食堂が見えた。
 いくつものテーブルが置いてあり、既に冒険者は結構座ってる。
 ほとんどが男で少数だが女もいる。


 その先には階段と101、102と書かれた部屋がたくさん並んでいた。


 食堂の近くに大浴場と書かれた看板があり、その先に進でみると、青い暖簾に男。
 赤い暖簾に女と書かれた別れ道があった。


 男だが、あえて女の方へ進んでみた。
 旅は気の向くままに進むのがロマンってもんだろう?
 俺はルールや決まりには縛られない自由な冒険者なんだ。


 すると、いくつもの籠が棚に置いてある部屋についた。


 他には目の前に裸の女性がいた。


 籠の中に服を入れているようだったが、俺の気配に気付くと……


「はぁ!?あんた、ここで何してるのよ!変態!」


 胸を手で隠し、足を内股にしてそう言ってきた。


「なるほど、ここは体を洗う場所なのか。ん?てか、お前適性試験受けてた奴か」


「呑気に話してないで、とっとと出てけ!殺すわよ!」


 すごい殺気を感じる。
 ここは大人しく従おう。


「悪かったな」


 そう言って俺は退散した。











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