いたずらなリスと雪の日のドングリ

haruhi8128

いたずらなリスと雪の日のドングリ

ここは、逆さ虹の森。
いろんな動物たちが、思い思いの暮らしを送っています。
その中でも、リスはいろいろな動物にいたずらを仕掛けて回る生活を送っていました。
リスが木の上から声をかけます。

「おーい、キツネくん」

「なんだい?リスくん」

キツネは、この森で一番かしこい動物です。かしこいキツネはリスがいたずらをしようとしているのをわかっていて、付き合ってあげようといつも一緒に遊んでいるのでした。キツネは本当にお人好しで、森で厄介者扱いされているリスにも分け隔てなく接していました。

「こんなうわさを知ってるかい?ドングリ池にドングリを投げ込んでお願い事をすると、そのお願いが叶うらしいんだ」

「あぁ、そのうわさだね。聞いたことがあるよ。そうだね。君はやってみたことがあるのかい?」

「まさか。でもね、クマくんが怖がりなのを克服したいと言っていたのをこの間聞いてね?教えてあげようと思うのだけど、どうだろう?」

キツネは、おや?と思いました。リスの言っていることが、本当にクマのためのように聞こえたからです。クマは昔から、自分は体が大きいのにみんなよりも怖がりで、ちょっとしたことでもすぐに驚いてしまうことを気にしていました。

「そうだね。それはいいことなんじゃないかな?」

「よし、じゃあ一緒にクマくんにこのことを伝えてあげよう」

そう言ってリスはクマの住んでいる洞穴へ木をぴょんぴょん飛び移りながら行きました。
キツネは、多分これはなにか企んでいるな、と思いましたが、ひとまずリスを追いかけてクマの住んでいる洞穴へと向かいました。

「おーい、クマくん」

リスが呼びかけています。

「な、なにかな、リスくん。あ、キツネくんもいるんだ」

洞穴の奥からクマが出てきました。
クマは怖がりなので、リスが何回もいたずらをしています。だから、少しびくびくしながら出てきましたが、キツネがいるのを見て、少し安心したようでした。

「クマくんが怖がりを直したいと言っているのを聞いてね。もしかしたら直せるかもしれない方法を教えに来たんだ」

「ほ、本当かい?リスくん」

「本当さ。森の端っこにドングリ池があるだろう?あの池にドングリを投げ込んでお願い事をすると、叶うらしいんだよ」

「そ、そんなのうわさだけなんじゃないかなぁ?」

何度もいたずらをされているクマはなかなかリスの言っていることを信じようとはしません。

「キツネくんからも言ってあげてよ。本当だって」

キツネは、まだリスがなにを考えているのかわからず、とりあえずは味方をすることにしました。

「本当だよ、クマくん。昔からそういう言い伝えがあってね。本当に願いが叶ったのは見たことがないけれど、そういう話があるのは本当だよ」

「き、キツネくんがそう言うなら、本当なんだろうな。でも、ドングリ池は遠いし、僕はドングリも持っていない。それをするのは無理なんじゃないかなぁ」

「そんなことはないさ!いくら冬が近づいてきてるとはいっても、この森の端っこから端っこまでの間にドングリが1つもないことなんてないよ」

「そ、そうかなぁ」

「ねぇ、キツネくん。1つくらいはあるよね?」

キツネはその言い方に、あれ?と思うところはありましたが、一応、ちゃんと答えることにしました。

「そうだよ、クマくん。この森で君の家はここにあって、ドングリ池は森の反対側にあるんだ。その間に、ドングリの1つや2つ、あるに決まっているさ」

「そ、そうだよね。じゃあ、明日、探しにいってみようかなぁ」

「それがいいよ!クマくんが怖がりを直せたら、それはとってもいいことだからね!」


その日の夜。
リスは自分が住んでいる木のうろで、明日のことを考えて笑っていました。

「あはは!明日、クマくんは怖がりを直すためにドングリを探すんだ。でも、森にはドングリはもう1つもない。だって、僕が集めたんだもの!」

リスは、冬が近づき、自分がドングリを集めている時に、このいたずらを思いついたのでした。

「明日、クマくんはドングリを探すけど、どこにもない。困るだろうなぁ。あはは!」

リスは、クマの困る姿を想像しながら、眠りました。


ドンドンドン!

「リスくん!起きてる!?」

ドンドンドンドン!

「リスくん!」

「うるさいなぁ。起きるよ…」

翌朝、リスは誰かがドアをたたく音で目を覚ましました。

「一体誰だい?」

「僕だよ!キツネだ!」

「あぁ、キツネくんか。どうしたんだい?」

そう言いながらドアを開けると、いつもは黄色く光っているキツネが、真っ白になって立っていました。

「うぅ。今日はやけに寒いなと思ったけど、雪が降っていたのか。で、キツネくん、どうしたんだい?」

「昨日、クマくんにドングリ池の話をしたよね?」

「え?したね」

「今日、僕が起きてから、雪が降ってたから、もし、クマくんがドングリを探して外に出ていたら、凍えちゃうんじゃないかなと思って、様子を見に行ったんだ」

お人好しのキツネは、クマが寒い中、見つけにくいドングリを探しているんじゃないかと思って、心配でクマの家に行っていたのでした。

「そしたらクマくんはもういなくてね。たぶん、ドングリを探しに行ったんだ!」

そこまで聞いて、リスはやっとクマが危ないということに気が付きました。
なぜなら、クマが探しているはずのドングリは全部、リスが持っているのです。どれだけクマが一生懸命探しても、ドングリはありません。

「君はドングリをよく食べるだろう?どこか、どんぐりがいっぱいある場所を知らないかい?」

キツネが聞いてきます。
しかし、リスは答えることはできません。今、ここに全部のドングリがあることを言ってしまったら、自分のいたずらがばれてしまいます。

「うーん、あんまりわからないなぁ」

しょうがなく、リスは嘘をつきました。
いつもなら、キツネは疑うのですが、今はクマが心配です。

「わかった。朝早くからごめんね。僕はもう少しクマくんを探してみるよ」

そう言って、走り去っていきました。

「どうしよう…」

リスは、家に入って自分の集めたドングリを見ながら呟きました。
クマくんが凍えて、風邪をひいたりしたら、自分のせいです。

「探しに行かなきゃ」

リスは、家を飛び出しました。

まずはクマの家に向かい、足跡が無いかと探しましたが、あるのはキツネが来た跡だけでした。
キツネが足跡があったら、それに気づかないはずがないのです。
逆に、足跡がないということは、かなり前にクマが家を出たことがわかります。

「どうしよう…」

リスは怖くなって、一心不乱にクマを探しました。木の上を次から次へと飛び移り、クマの姿や、足跡を探します。

「ない…」

それもそのはず。迷い虹の森は広いので、どこに行ったのか見当もつきません。

リスは自分がしたことの大きさを改めて感じて、急いでドングリを持つと、一直線に走っていきました。

「ここがドングリ池か…」

見慣れたはずのドングリ池は周りが白く、いつもとは違って見えました。幸いにも、氷はありません。

「僕が、あんないたずらをしたから、クマくんが危ない目にあって、キツネくんも頑張ってるんだ。お願いです。2匹が無事でありますように…」

そう願いながら、ぽちゃんとドングリを投げ込みました。


「うわぁ!!」

バシャーン!!
お願いに集中していたリスは足を滑らせて、冷たい池の中に落ちてしまいました。
リスは泳ぎが苦手だったので、あぁここで死んじゃうのか、と思いました。

「リスくん!」

急に声がしたかと思うと、リスは大きな背中の上に乗っていました。

「大丈夫かい!?リスくん!」

なんと、リスを助けてくれたのはクマでした。

「どうしてここに…」

「どうしてって、ドングリを見つけたからだよ。そして、来てみたらリスくんが落ちてて、無我夢中で助けなきゃって思ったんだよ。おかげでドングリはなくしちゃったけど…」

クマは森中を歩き回って、リスが集めていなかったドングリを見つけたのでした。

「ごめんね…。ごめんね、クマくん」

「え?どうして謝るの?え?」

いきなり謝りだしたリスにクマは戸惑っていましたが、リスの説明をじっと聞いていました。
その様子を、音を聞いて駆けつけたキツネが温かい目で見守っていました。


その後、リスはいたずらをしなくなったかといいますと…。

「また引っかかったね?あはは!」

まだまだやっていましたが、リスはいたずらをするときに、もっとよく考えるようになりました。相手を傷つけないように。
クマは、リスを助けに池に飛び込んだおかげで、少しだけ、怖がりじゃなくなりました。

「もう!びっくりしたじゃないか!リスくん!」

まだまだ怖がりですけどね。
そんな様子をキツネは優しく見守っています。
あの後、リスくんを怒って、もうしないという約束をしたので、見守ることにしたのです。

「あはは!あ、そうだ!一緒に遊ばないかい?いい遊びをおもいついたんだ!」

「えぇー。ま、また怖いのじゃないよね?」

「大丈夫だって!ね、キツネくんも!」

「わかったわかった。今いくよ」

これからも3匹は仲良く遊んでいくことでしょう。

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