とある物書きの辛口批評

蒼風

1.『天使と〇〇』著: Kt ジャンル:現代ドラマ(No.011)

まず初めに、本稿は二つ目の章『天使と教授』。その『第6章』までを受けて書かれた物です。ご了承ください。


さて、本作は一本の繋がったストーリーではなく、天使が死確者(死が確定した人の事を言う作中用語)の元に訪れる、という形で進む、一話完結型の作品です。恐らく人によって色んな作品を思い浮かべるとは思うのですが、自分は『MASTERキートン』とか『ブラックジャック』がちらつきました。話の内容は全く違うのですが。


で、本題。募集の際に「読まれていないので、悪いところを教えて欲しい」という要望を貰ったのですが、良い意味で想像を裏切ってくれました。つまり明確に「ここが駄目」と断言出来る箇所は無いと思います。まだ話が二人分しか無いので、これからどうなっていくのかは分かりませんが、良く出来ていると思います。「死」に関する話、登場人物の対応。間に挟まる死神とのコント。どれもテンポ、テンション、間違う事無く出来ているのではないかなぁと。


と、言う訳で、個人的には「日が当たっていないだけ」なんじゃないかなぁとは思うのですが、それでは批評として良くない気がするので、思いつく限りで「より良くする」手法をいくつか。


まず一つは、全体としての纏まりを作る。以前にもあげたかは分かりませんが『おくりびと』なんかはそのパターン。要は、主人公(本作の場合は天使)が死確者と関わっていく一話完結型と同時に、天使本人(?)の物語を展開していき、そこに起承転結を作るという形。勿論、読まれる、という事に関しては正直不利にはなると思うのですが、一つの形としては有りだと思います。


それからもう一つは、上にあげた二作品のタイプ。主人公の技術、あるいはキャラクターに強い癖を持たせる、という形。例えば『ブラックジャック』であれば、主人公の医療技術はずば抜けています。それにキャラとしても立っている。本作に出てくる天使も、良いキャラはしてると思うのですが、もうひと押しあると引き付ける力は増すのかなぁ……と。


後、それ以外に「もしかしたらここかな」という部分をもう二つ。


一つは用語。天使や死神というのは馴染み深い単語です。そこはまあ問題無いのですが、死確者を含めた設定面、用語面をもうひとひねりしてみるのは良いと思います。世の中にはネーミングセンスとデザインは凄いのに、バトルが下手なバトル漫画だってある位です。それくらい「キャッチーさ」というのは重視される物なので、そう言った側面からせめる、というのは一つ、ありなのではないかなぁと思いました。


もう一つは、文章。正確には文章というより場面転換でしょうか。基本的に本作は「天使と死確者の話」「天使と死神の話」。この二つの要素で構成されています。どちらも良く出来ているのですが、その切り替えと配置が、やや気になるかなぁ、という感じ。別に場面が分からなくはならないのですが、もう少し綺麗に切り替わった方がよいのではないか、と思いました。殆ど誤差みたいなものなので、余り好転する材料にはならないかもしれませんが。


と、まあ色々書いてきましたが、個人的には悪いところはそんなに無いと思います。勿論、細かな所で直せるところはあるでしょう。死確者の話だって見せ方を弄れば、また違った顔を見せてくれるかもしれません。でも、「読まれない」という原因は作品そのものよりも、たまたま日が当たっていないという事や、カクヨム(もしかしたらネット小説全体)のニーズとずれているといった、周辺要因が大きそうな気がします。


(作品URL:<a href="https://kakuyomu.jp/works/1177354054883408046">https://kakuyomu.jp/works/1177354054883408046</a>)

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