違法利用との接し方-「漫画村」騒動から得るべき事とは-

蒼風

6.正規ルート以外を敵視するな-コピーするのは不正利用者だけではない-

何だか随分と論拠の無い話を垂れ流してきたような気がするが、もう少しだけお付き合い願えると幸いだ。これを含めて後二項である。


さて、この項ではもう少し裾野を広げてみたい。どういう事か。違法かどうかに限らず、「新品を購入する」という方法以外で、商品を利用する相手に対して、他の業界がどういう対応をしているのか。そこについてちょっと触れておきたい。


まず、代表的なのは何と言ってもコピーガードCDだろう。もしかしたら知らない人も居るかもしれないので解説しておくと、コピーガードCDというのは、その名の通り、コピ出来ない音楽CDの事である。


例えばレンタル店でCDを借りてきたとしよう。そのCDを、ずっと聴いていたい、でも買う程ではない。そんな時、人はコピーするのである。ちなみにこれは違法でも何でもない。個人的な利用に限ればグレーですらない。そうやってレンタル期間が過ぎても音楽を楽しむのだ。


しかし、これを面白く思わなかった音楽業界は何をしたか。コピーできない様にしたのである。勿論、それを突破する方法はあったらしい。しかし、それはある程度コンピューター類に精通していないと出来ない事だ。そうなるとどうだろうか。レンタル店を利用しても、せいぜいが一週間しか利用できない。それ以降はまた借りるか、買うしかない。そうなれば売り上げが伸びるだろう。そんな青写真を描いたはずである。


結論から行こう。この目論みは大失敗だった。当たり前である。普通にCDを買う人間だって、自分の好みの曲をチョイスして聞いたり、あるいはMD(もう今は使われることが少ないが……)に移動して聞く、という事もしていたのだ。つまり「コピー」そのものはしていたのである。それが出来なくなった。その不便さが災いしたのだろう。売上は逆に落ち込んだ。後にこのコピーガードは無くなり、現在に至っている。


この手の戦いをした例がもう一つある。18禁のPCゲームである。この業界は何だか特殊らしいが、今回そんなことはどうでもいい。重要なのは「コピーできなくする」という事で割れ(データの無料ダウンロードに近い行為だと思って貰えば分かりやすい)や中古対策を行ったのだ。


これに関しては実例を上げよう。自分が好きなPCゲーム会社にNavelという会社がある。4月に完全新作を発売する為、今なら新規で入りやすいこの会社だが、少し前に『世界征服彼女』という作品を出した。恐らくだが知名度は低い。


一方で、最近までシリーズ作品が登場していた『月に寄りそう乙女の作法』というシリーズがある。こちらは知名度は高い。何せ萌えゲーアワード(このマンガが凄い的なものだと思ってもらえれば今はいい)の頂点を取った作品だ。この界隈にちょっとでも興味を持っていれば知っている可能性は高い。


何が言いたいのかもう察した人も居るかもしれない。前者はコピー等にかなり強い対策を施してある。そして、後者はそんなものは一切ないのだ。作品内容も後者に軍配があがるので一概には言えないかもしれない。しかし、こうまでも知名度に差が出てしまっているのである。グレーな利用と戦う事は、全く攻撃する必要の無かった相手に打撃を与えてしまう可能性があるのだ。



【ざっくりポイント纏め】
・コピーガードCDという物が有った
・レンタル利用を衰退させるだけでなく、売上にも影響が出てしまった
・コピーするのは正規の利用者も一緒
・PCゲームでも、知名度に差が出る可能性がある
・グレーな利用と戦うのは、時にマイナスしか生まない

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