独断と偏見まみれの感想集

蒼風

6.「『源氏物語』に行こう」 著:桜井今日子 ジャンル:詩・童話・その他

※本稿は『Day19  これが源氏クオリティ?』までを読んで書かれたものです


スマートニュースコン編も三稿目です。探す時に全部完璧に読むほどの時間もなく、かといってめぼしいものがポンポン見つかるわけでも無く、という状態が続いていて、以前に書いたものと同じような内容を書くことになりそうなものが多かったのですが、漸くちょっと毛色が違うものを見つけました。


本作についてネタバレ的なもの無しにざっくりと説明しますと、要は『源氏物語』と、それを取り巻く環境みたいなものを面白おかしく解説(というのも表現が堅いかもしれない)していく。そんな作品です。


『源氏物語』という作品を知らない人はまあほとんどいないでしょう。内容は皆目見当がつかなくても名前くらいは聞いたことがあるはずです。学校の古文で扱ったり扱わなかったりするこの作品、割と内容がすさまじいです。ラノベっぽいという比喩をしていたのはいったいどこの誰だったかは忘れましたが、そういうイメージもあながち間違いではないのかなぁという感じ。古文、と表現するとなんだか勉強っぽくて硬くなりますが、要は「当時の娯楽」なんです。つまりはそういう事。


そんな内容を、勉強っぽい硬さを無くして語っていく、というのが本作です。正直なところ「あ、この手があったな」と思いました。スマートコンニュースの求めているところを素直になぞっていくとどうもうんちく系になりやすいというのは以前にも書いたところですが、これもまた役に立つ知識であり、小さな区切りで楽しめるもの、なんだなぁと感心。このあたりの技術というか、思い付きは、多分小説界隈とはちょっと違うところ。漸く何をしたいのかが分かったような分からないような、そんな感じ。いつも思うけど、求めるところが不明瞭なんですよ。


そんなわけで、本作はコンテストの意図するところを抑え、それでいてうんちく系に成りきらないところに良さがあるんじゃないかなぁと思います。この「古文世界(ざっくりしたワードですが)」を軽く捉えて、現代タッチに持ってくるという手法は、媒体こそ違いますが『暴れん坊少納言』を思い出します。本作が解説よりならば、あっちは物語よりかなぁ。巻数も少ないですし、既に完結済みですので、よかったら。


後、強いて気になるところをあげようとするならば、文体でしょうか。いや、読みやすいし、良いとは思うんですけど、着眼点とか、そのあたりが良いこともあって、「普通に読みやすい」位の文章が逆に気になるというアレ。良くあるんです。ラーメンで、スープもチャーシューもハイクオリティで、今まで食べた中でもトップクラスが故に、間違いなく高得点だけど、それらより偏差値の低い麺が気になってしまうことが。それは、他の部分のハイクオリティさが呼ぶことなので、決して悪いことではないんですけどね。


(作品URL: <a href="https://kakuyomu.jp/works/1177354054885128094">https://kakuyomu.jp/works/1177354054885128094</a>)

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