独断と偏見まみれの感想集

蒼風

4.『数学的な彼女の日常』 著:穂実田 凪 ジャンル:現代ドラマ

※本稿は「【Z=1】そもそも論の多用は禁物です」までを読んで書かれたものです。


スマートニュース編です。こんな時期になってしまったのは理由があって、良いのが全然見つからなかったんです。「良いの」がどこまでを指すのかはこの際置いておくとして、一応曲がりなりにも発掘という意味を込めてやっているのだから、最悪粗削りだけど力はあるよね、位にしたいなぁと思って探してたらこんな時期に。探してない時期も長かったけど。


ただ、コンテストの要求か、今回この手の話と、うんちく系が多いですね。別に良いんだけど、それって全部構造は一緒だからなぁ…まあいいや。


で、本作。読んだ時に思い浮かんだのは「哲学さんと詭弁くん」「理系が恋に落ちたので証明してみた」の二作品。片方は知名度がまあまああるから知ってる人もいるかもしれない。まあいなくてもいいんだけど。ちなみに後者はだいたいこんな内容だろうと高をくくっていて読んでなくて、今回試し読みで読みました。だいたい予想通りでした。良くも悪くも。


本作のポイントは上記二作と違って「主人公目線がフラット」ってことでしょうか。このあたりはうんちく系に近いかなぁ。うんちく系って勝手な造語ばっか並べてるとあんまり良くないから例えを出そうかと思ったけど、あんまりないなぁ……漫画でわかる何々みたいなのをより、商業的に変形させたものだと思ってもらえるといいかな。そんな感じ。


で、そのうんちく系の作品と上にあげた二作品の中間あたりにいるのがこの作品って感じです。概要にも書いてある通りで、日々の生活の中で数学という事を解説じゃないんだけど、説明してくれるヒロインと、それを聞く主人公みたいな、そんな構図。そのあたりが説明説明してなくって、ハウツーとかっぽくならずに、単話完結の物語になっているのは良いところだと思う。


まあ、でも、ハウツーっぽくてもそれはそれで面白いだろうし、そのあたりはどこに重心を置くかの問題なんじゃないかなぁ。「マンガで分かる心療内科」とかそのあたりは、どっちかというとハウツー方向に重心を置きながら、ストーリー性を排斥してギャグにもっていっていて、それで面白いから。大事なのは「ただの理論解説」や「知識羅列」にならないことなんじゃないかなぁと思ってて。その部分はきちんと満たしていると思う。


で、後問題になる部分はやっぱり「知識」の「目新しさ」と「その有用性」。ここが多分最後のポイントなのかなぁ、と。本作だとここが掘り下げにくいなぁという気が勝手にしている。まあ、途中までの感想だし、実際は出来るのかもしれないけど。


この手の話。その中で一つ頭抜けるなら、やっぱりそのあたりが必要で、具体的な話になってくれば「数学的知識が実生活的な部分で強く役に立つ(面白い、を抜け出す)」か、「、物語的な面白さを付与する(キャラクターの掘り下げと、物語に推進力を頼る)」の二択じゃないかと思う。そのどちらかが満たされたとき、頭一つ抜けるんじゃないかなぁというのは個人的な感想。まあ、実際どうかはわからないけどね。自分は構造が一緒だと、全部同じに見える人間で、そういう読み手は本当に少ないだろうから。


全体的にはコンテストの要項を満たして、良く纏まっているんじゃないかなぁって思う。まったくの余談だけど、要項を「賢く」満たすと、こういう作品ばかりになってしまう要項は個人的にはどうかと思ってたりする。


(作品URL: <a href="https://kakuyomu.jp/works/1177354054885185740">https://kakuyomu.jp/works/1177354054885185740</a>)

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