猫の私は同性愛者を好きになっちゃいました!?

あいす/Aisu

第7話




…暇だ。
先生に伝えてもらっている間はとっても暇であることに今更気が付く。
保健室にあるベッドでゴロゴロしながら暇をつぶす。外では体育なのか声がひっきりなしに聞こえてくる。
何かの拍子に私のところに来てしまわないだろうか…
少し不安だなぁと思いつつゴロゴロとしている。

「明日香ちゃんお待たせ!先生に行ってきたよ~~」

「あっ...ありがとうございます!それで大杉先生はなんと仰っていましたか?」

私の担任の先生の名前は大須 美奈子おおす みなこ先生。とてもやさしくて生徒思いな良い先生です。

「んーとね、すごく驚いてたね」

「まあ…そうでしょうね…」

「んで、疑ってたね」

「あー…」

「あと、一回ここ来るってさ」

「あ、そうなんですね」

話を一通り聞いた私はまたベッドに倒れこむ。
この耳自体は何も問題はない。普通に聞こえるし、感覚もある。
ただし見た目…あと尻尾も。
尻尾があるという感覚はないけれど、何かに触れたら少しくすぐったいような感覚がある。
もしかしたらあるのが当たり前だから感覚がないのかもしれない。
どーしてこーなったし…という思いよりも、この先どうしようという思いのほうが強い。
そんなこと考えていると、ノックの音が聞こえてきた。

「大須ですー」

「どうぞー」

私は一瞬びくっとしたがすぐに落ち着いた。
私はベッドから飛び起きて座る体制になる。

「明日香さん…?」

私のほうを向いて私に問いかけてくる。
まあ、見た目もだいぶ変わってるし当然の反応かな。

「あ、はいそうでしゅ…そうです」

噛んだ
恥ずかし…

「あらまぁ…」

そういうと先生は私の近くにグイっと近づいてきた。
それに一瞬ビビってしまった私は耳やしっぽが逆立つ感じがした。多分、ほんとに逆立ったんだろうなぁ。
先生は私の顔の横の髪の毛をどかして”人間の耳”があったはずの場所を見てくる。

「へぇ…こっちの耳はないんだね」

「あっ…はいそうです」

まぁ私はコミュ障なので先生とろくに話せるわけがなく、おどおどとした話し方になってしまう。
まだ外の音が騒がしいから、本当に音のない気まずい雰囲気にはならずに済む。
…まぁ、話はないから気まずいは気まずいけど…

「そーいえば、見た目とかは変わっているけど、声は変わってないんだね」

「あ、たしかに…」

見た目とかはまるまる変わってしまっているが、性別と声は変わっていなかった。
何か理由があるのだろうか、はたまた偶然か。私にはわからないけどまぁいいか。
そんな危機感のないような考えをしている私はバカなのだろうか…

「もう一回確認するけど、あなたは星奈明日香さんなのよね?」

「そうです」

私は正真正銘”星奈明日香”だ。
私以外の人から見たらそうじゃないように見えるんだろうなぁ。
そう思ってしまうのも無理ないのかな…

「なるほどねぇ。やっぱりそうだよねぇ。これからどうします?」

「どうしようかな…」

これからのことは全く考えていない。家で勉強して過ごすか、この見た目で学校に通うかはたまた転校生になるか。これはなしかな…

「うーん…とりあえず今日をどうするかだよね」

「そうですよね…」

今日は正直一回かえって考えたい、それかここで考えたい。
考えながら上を見上げる。電気がまぶしい。目が痛い…上を向いた私がばかだった。

「うーん、今日はお家にかえって一回落ち着いてかんがえてみて、先生はみんなが帰ったら電話するね」

「あ、はいわかりました」

なんかいい感じのことになった。
先生に感謝!まぁこの見た目をどうするかだけどね…
私はそんなことを考えながら、帰る準備を進める。とはいっても、すぐに終わるんだけどね。
私はバッグを持って、保健室を出る。

「いろいろ頑張ってねー」

「ありがとうございます」

そういって学校の外に出る。こんな時間に外に出るのは久しぶりだなぁ。あ、もちろん平日にね?
外にいるのはお年寄りの人が多い感じだなぁ。まぁそうだよね。
まぁ小さな子を連れた若い男性もいるんだけど、その人の横を通るたびに「えっ…」という小さな声が聞こえてくる。
それはこんな時間に外にいる私に驚いているのか、この見た目に驚いているのか…多分後者だろう。
私はぼーっと景色を眺めながらゆっくりと、できるだけ何も考えずに家に向かう。
あっ、親に頼れば…いや、私は高校に入ってから一人暮らしを始めたので、家に親はいない。電話をするにも最近固定電話が壊れてしまったらしく、電話ができない。携帯電話は使い方がわからないらしく、携帯電話なのに携帯していない。よって連絡が取れない。
実家は他県、二つぐらい隣の県なので電車に乗っていくしかないのだが、あいにく金欠。
親に頼れるかもという期待ははかなく散っていった…




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