自害阻止スキルと自然治癒スキルを与えられた少年は、異世界転生からリタイヤ出来ない!

goro

何をしようと勝ちは勝ち




バンバン!! ドン!! ぎゃあ!?  やめっ!? ぐほっ!? バコン!!! ーーーと、様々な音が聞こえてくる中…。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、っ!!」
「はぁ、はぁ…っ」


体中土まみれになりながらも睨み合うカルデラとカフォン。
そして、そんな彼女たちの後ろに倒れる屍(生徒)たち。


「そ、そろそろ、観念したらどうですか? か、カフォン、さん…っ」
「そ、そっ、ちこそ……諦めたらどうなの…っ?」


言葉のやり取りをしながら、なおかつ抜け目なく隙を伺う二人の少女の姿に……神宿は内心で思った。


(女って…怖いなぁ……)
「何を言っておる。腹の読み合いは女の十八番じゃろうが」
「っ!? おま、何心読んで」
「馬鹿たれ。お主の顔を見れば、容易に想像くらいできるわい」


と、そんな彼の心を容易に理解したファーストが呆れた様子で溜め息を吐き、神宿は顔を赤くさせながら小さな唸り声を漏らすのであった。



ーーーと、そんな会話をしている中、二人の投げ合いはなおをも継続しており、




(っ! このままじゃ、負けるっ!!)



カルデラは目の前から来るボールを何とかキャッチしつつ、思考を巡らせる。

目の前の敵を倒すためには…どうすればいいのか?
隙を探るも一向に見えず。
はたまた体力切れを狙うも同じような粘ってくる。


(隙を探ってるようじゃダメだ……それじゃあ、どうすれば)

解けない悩みに奮闘するカルデラは、そこで、ふと神宿のいる方向に視線を向けた。







ーーーーそして、その次の瞬間。




(ーーーーーあ!!!)




カルデラはーーーーあるヒントを見つけ出したのである。
それは神宿を見たからこそ思いついた。

一回限りの策。





「よっし!!」



カルデラは気合いを込めた声を上げ、カフォンを見つめる。

その場に異様な緊張感が漂い、当然カフォンもまた集中しながら構える体勢を作くろうとした。

だが、ーーーーーーーーその時だった。








「カフォンさん! 後ろのパンツ、見えてますよ!!」












ーーーーーーーーーーーーーーーえ?


その時。
カルデラの言葉に皆の視線がカフォンの着るズボンへと集中された。
そして、当の本人たるカフォンもまた、




「え? ………えッ!?!?!?!?」



慌てた様子でズボンに手をやり、下着が見えてないことを確かめた。
しかも、ーーーーーー構えを解いて、隙を晒した状態で……、


「っ、何もないじゃ」


そして、カフォンがそう言って視線を戻した時。
ーーーーーーそこには、黒いボールが眼前まで迫って来ており、





「うきゃ!?!?」




バコン!! という音と共にカフォンの顔面にボールがクリティカルヒットしたのである。


「う、うきゅぅ……」


顔面はセーフ……というルールはある。
しかし、対戦相手である選手が気絶してしまっては、続行は不可能なわけであり…。






「やったー!!」







勝利を確信して、その場で飛び跳ねるカルデラ。

だがしかし、その場にいる者。
全員の気持ちは一句同音して、思うのだった。




(((きたねぇっ!!!)))




勝っても真に褒められない、そんな気持ちがその場に渦巻くことになるのであった。







「なぁ、あの小娘。……お主の方を見てから、やりおらなんだ」
「俺関係ないからなぁ!?」



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