カースオブダンジョン~あなたと私の心中旅行~
脱出の日
……思ってもみない名前だった、まさかこの子がJHARIBANさんと繋がっていたとは夢にも思っていなかった。
「JHARIBAN……だって……!?」
「JHARIBANさんが、私の師匠です。と言っても、私が勝手に師匠と呼んでいるだけなんですが……」
「ど、どうやって会ったんだ? JHARIBANと、」
「JHARIBANさんは元々はギャンブルをしに来たお客さんでした。その後、地下にやってきたんです。」
「君、プレイヤーだね? こんな場所で生まれてきてしまったのか、残酷な運命だな……」
師匠は私を人目見て、プレイヤーだと見破りました。
「ここから出たら、他のプレイヤーと同じようにモンスターを倒したり、ダンジョンに潜ったり、普通のゲームができるようになる。手伝ってあげるよ、」
当時は、セキュリティスタッフなんて存在も無かったので、JHARIBANさんは奴隷商たちの目を盗んで、私を人目のつかない所まで連れて行ってくれていました。
そこで、たくさん戦いの練習をしたんです。格闘家になろうと決めたのもその時でした。
「私の事、買ってくれないんですか?」
って、師匠に聞いたことがあります。そしたら師匠は、
「誰かに買われて、奴隷の身分じゃなくなっても、今度は自分を買った人に尽くさなきゃいけない、そうすれば結局、自由は手に入れられない。
自力で出るんだ、そしたら晴れて君は真の格闘家になれる。」
って言われました。だから、一生懸命、厳しい練習を耐えて来たんです。
でも、セキュリティが出来てから、事態は急激に変わりました。
セキュリティが奴隷を管理し始めたのです。これまで奴隷商が自分の商品を管理していたので、奴隷商が寝ている間は逃げたり、脱出したりできていたんです。でも、セキュリティのせいで、私と師匠との関係は断絶されました。
「その後、私は今のご主人様に買われ、奴隷の身分を捨てることが出来ました。しかし、私はいずれここからも逃げ出すつもりです。」
「KILLHAの元から逃げ出すってことか?」
「はい、ご主人様もそれは理解してくれています。『いつかお前がここを脱出する時まで、俺が面倒を見てやる』と言ってくれました。」
いい人だな……KILLHAさん……
「元奴隷の身分である以上、外に出るためのゲートカードは作れません。よって、主人であるKILLHA様がいなければ外の世界には出れません。しかし、それでも私は絶対にこの地下施設から抜け出してみせます。」
「……ああ、君ならできるような気がするよ。」 
なんたって師匠はJHARIBANだし、Tellさんとも互角に戦える実力があるんだ。地下施設からの脱出、まりちゃんならきっとできる…… 
「よお、来てやったぜ……ドクター照倉……」
「……もう何日も誰とも話していない、貴様の顔すら久しく思える。……なんの用だ」
「あんたの移送が決まったんだよ。明日の正午だ、お前に新しい部屋を用意してやるよ。」
「新しい……部屋?」
「別のアジトの幽閉施設にお前を移送する。馬車も用意した。」
「何故……そんなことを?」
「そっちのアジトの方が脱走が難しいんだよ……バッドニュースだな、お前が逃亡を画策していたらの話だが……」
「……」
「だが、悪いニュースだけじゃねぇぜ? お前と面会を希望している奴がいてな、そいつがその地下のアジトの近くにいる。何時でも面会できるぜ、」
「……息子か、」
「ご明察……んじゃ、明日の正午まで大人しくしてろよ、確かに伝えたからな、」
「カツカツ…………」
足音が去っていった。移送が行われるのは明日、正しく……JHARIBANの言った通りだ、
「スッ……パサッ…………」
穴から1枚の紙が落ちてきた、
恐る恐る、折りたたまれた紙を開いてみる……
あの紙に書かれていた内容が真実ならば、JHARIBANは東側の通路に偽の手紙を置き、逃亡を画策しているものが東側にいると思わせる工作を行っているはずだ。
東側の方が囚われている人物が多いことを考えると、警備はそちら側に集中させているはず、
見立てでは、東側と西側の警備の割合は7:3、
そしてJHARIBANは、自室の床に作った隠し部屋に隠れているはずである。
人一人分ギリギリ入れるくらいの、棺桶のような隠し部屋だ。
「コツコツ……」
ほかの警備員が歩いてきたところで、小石を指で弾く、
弾いた小石は、手紙を入れるために入れた穴を通り、反対側の壁に置かれた、鐘に当たり、甲高い音を響かせて警備員を引きつける。
この鐘はJHARIBANが労働部屋で剣を作らされている際に、余った金属で作られたものである。
「コツコツ……」
だんだんと足音が近づいてきた……よし、このタイミングで……
「ピュンッ…………カーーーンッ!!!」
「な、なんだ!!?」
「ガチャギイィィィ!!」
勢いよく隣の檻が開かれ、鈍い金属の音が響く、
「なっ!!? 大変だ!! こいつ逃げたぞ!!」
「労働部屋は見たのか!?」
「いやまだ!!」
「すぐに確認するぞ!!」
足音が去っていく、檻は開かれたまま、この隙にJHARIBANは隠し部屋から出て、作っていた合鍵で私の檻の鍵を開ける、
「ガチャガチャガチャ……ガチャギィィ!」
「良かった、空いた!! 早くこっちへ!!」
「ああ!!」
全員が東通路、労働部屋に気を取られている隙に、堂々と西通路を通って下まで降りていく、
「このまま突き当たりを右に曲がれば裏口がみえる、そこから脱出するんだ!」
「き、君は?」
「俺はあえて正面入口まで行く、警備を引き付けるんだ、」
「分かった、またどこかで会おう!!」
「ああ、いつかな!!」
私たちは二手に分かれて出口をめざし、はしり続けた、
曲がり角を右に曲がる、
見えた!! そこが、俺が目指すべき出口……
「JHARIBAN……だって……!?」
「JHARIBANさんが、私の師匠です。と言っても、私が勝手に師匠と呼んでいるだけなんですが……」
「ど、どうやって会ったんだ? JHARIBANと、」
「JHARIBANさんは元々はギャンブルをしに来たお客さんでした。その後、地下にやってきたんです。」
「君、プレイヤーだね? こんな場所で生まれてきてしまったのか、残酷な運命だな……」
師匠は私を人目見て、プレイヤーだと見破りました。
「ここから出たら、他のプレイヤーと同じようにモンスターを倒したり、ダンジョンに潜ったり、普通のゲームができるようになる。手伝ってあげるよ、」
当時は、セキュリティスタッフなんて存在も無かったので、JHARIBANさんは奴隷商たちの目を盗んで、私を人目のつかない所まで連れて行ってくれていました。
そこで、たくさん戦いの練習をしたんです。格闘家になろうと決めたのもその時でした。
「私の事、買ってくれないんですか?」
って、師匠に聞いたことがあります。そしたら師匠は、
「誰かに買われて、奴隷の身分じゃなくなっても、今度は自分を買った人に尽くさなきゃいけない、そうすれば結局、自由は手に入れられない。
自力で出るんだ、そしたら晴れて君は真の格闘家になれる。」
って言われました。だから、一生懸命、厳しい練習を耐えて来たんです。
でも、セキュリティが出来てから、事態は急激に変わりました。
セキュリティが奴隷を管理し始めたのです。これまで奴隷商が自分の商品を管理していたので、奴隷商が寝ている間は逃げたり、脱出したりできていたんです。でも、セキュリティのせいで、私と師匠との関係は断絶されました。
「その後、私は今のご主人様に買われ、奴隷の身分を捨てることが出来ました。しかし、私はいずれここからも逃げ出すつもりです。」
「KILLHAの元から逃げ出すってことか?」
「はい、ご主人様もそれは理解してくれています。『いつかお前がここを脱出する時まで、俺が面倒を見てやる』と言ってくれました。」
いい人だな……KILLHAさん……
「元奴隷の身分である以上、外に出るためのゲートカードは作れません。よって、主人であるKILLHA様がいなければ外の世界には出れません。しかし、それでも私は絶対にこの地下施設から抜け出してみせます。」
「……ああ、君ならできるような気がするよ。」 
なんたって師匠はJHARIBANだし、Tellさんとも互角に戦える実力があるんだ。地下施設からの脱出、まりちゃんならきっとできる…… 
「よお、来てやったぜ……ドクター照倉……」
「……もう何日も誰とも話していない、貴様の顔すら久しく思える。……なんの用だ」
「あんたの移送が決まったんだよ。明日の正午だ、お前に新しい部屋を用意してやるよ。」
「新しい……部屋?」
「別のアジトの幽閉施設にお前を移送する。馬車も用意した。」
「何故……そんなことを?」
「そっちのアジトの方が脱走が難しいんだよ……バッドニュースだな、お前が逃亡を画策していたらの話だが……」
「……」
「だが、悪いニュースだけじゃねぇぜ? お前と面会を希望している奴がいてな、そいつがその地下のアジトの近くにいる。何時でも面会できるぜ、」
「……息子か、」
「ご明察……んじゃ、明日の正午まで大人しくしてろよ、確かに伝えたからな、」
「カツカツ…………」
足音が去っていった。移送が行われるのは明日、正しく……JHARIBANの言った通りだ、
「スッ……パサッ…………」
穴から1枚の紙が落ちてきた、
恐る恐る、折りたたまれた紙を開いてみる……
あの紙に書かれていた内容が真実ならば、JHARIBANは東側の通路に偽の手紙を置き、逃亡を画策しているものが東側にいると思わせる工作を行っているはずだ。
東側の方が囚われている人物が多いことを考えると、警備はそちら側に集中させているはず、
見立てでは、東側と西側の警備の割合は7:3、
そしてJHARIBANは、自室の床に作った隠し部屋に隠れているはずである。
人一人分ギリギリ入れるくらいの、棺桶のような隠し部屋だ。
「コツコツ……」
ほかの警備員が歩いてきたところで、小石を指で弾く、
弾いた小石は、手紙を入れるために入れた穴を通り、反対側の壁に置かれた、鐘に当たり、甲高い音を響かせて警備員を引きつける。
この鐘はJHARIBANが労働部屋で剣を作らされている際に、余った金属で作られたものである。
「コツコツ……」
だんだんと足音が近づいてきた……よし、このタイミングで……
「ピュンッ…………カーーーンッ!!!」
「な、なんだ!!?」
「ガチャギイィィィ!!」
勢いよく隣の檻が開かれ、鈍い金属の音が響く、
「なっ!!? 大変だ!! こいつ逃げたぞ!!」
「労働部屋は見たのか!?」
「いやまだ!!」
「すぐに確認するぞ!!」
足音が去っていく、檻は開かれたまま、この隙にJHARIBANは隠し部屋から出て、作っていた合鍵で私の檻の鍵を開ける、
「ガチャガチャガチャ……ガチャギィィ!」
「良かった、空いた!! 早くこっちへ!!」
「ああ!!」
全員が東通路、労働部屋に気を取られている隙に、堂々と西通路を通って下まで降りていく、
「このまま突き当たりを右に曲がれば裏口がみえる、そこから脱出するんだ!」
「き、君は?」
「俺はあえて正面入口まで行く、警備を引き付けるんだ、」
「分かった、またどこかで会おう!!」
「ああ、いつかな!!」
私たちは二手に分かれて出口をめざし、はしり続けた、
曲がり角を右に曲がる、
見えた!! そこが、俺が目指すべき出口……
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