カースオブダンジョン~あなたと私の心中旅行~
闘技場の謎
昨日と同じように、しのが見張りを黙らせてから私たちは、地下へ続く階段を降りていった。
「はい、これ、」
「これは……ゲートカード?」
「もしかしたら、Tellくんも来るかなって思ったから、昨日、作っておいたんだ。Tellくんのゲートカード。」
仕事が早いな……
「これがあると、このシェルターに入れるんだよな?」
「うん、それ見せればだいたいどこにでも入れるよ。 たまにVIPしか入れないところもあるけど、」
「ネームレスはVIPでは無いのか?」
「私みたいな人殺しはVIPになんてなれないよ。だからVIPルームにはいる時は裏口を使ったり、変装したりするんだ。」
入るんかい……
「仕事柄、VIPを殺さないといけない時もあるからね。さ、ついたよ。」
先程私たちが通った通路とは違う道を抜け、今度はいくつも傷の入った鉄の扉の前に来た。
「この先が、闘技場?」
「うん、少しでも危険そうな人とすれ違ったら、なるべく目を合わせないようにね」
普通に怖いやつじゃん、
「グワワァァン……」
金属の軋む音、鈍くて高い、耳をつんざくような音がひびきわたる。
中は熱狂で包まれていた。屈強な男ふたりが檻の中でぶつかり合っている。2人の額から流れる血が、この戦いの恐ろしさを物語っている。
「いけいけ!! ぶっ殺しちまえ!!」
「殺っちまえ!!」
物騒な言葉が飛び交っている。檻の中の男たちもその声に答えるように、何度も攻撃を浴びせている。
「2人とも、バケモノだな……本来は、あんな満身創痍の体じゃ、立っているのがやっとのはずなのに……」
「みんな、自分に賭けて欲しくて必死だからね。」
奥の方から、ディーラーと思しき男が走って出てきた。近くにいたもうひとりのディーラーに近づいていく。
「ど、どうしましょう、次のKILHA戦で戦う挑戦者が、まだ到着してません!」
「ったく、あの腰抜けめ……早く代わりを見つけろ!!」
「それが無理なんですよ! KILHAさんと戦いたがる人なんてそうそう見つかるわけないでしょ! あの人強いんだから!」
「確かに、それもそうだな……」
ディーラーさん、困ってるみたいだな。
「行ったら? クミちゃん、なんかあったら助けてあげるよ。」
「だったら最初からネームレスが行けばいいでしょうよ。」
「無理だよ、こんなバチバチの戦闘モード、暗殺者のフィールドじゃないもの、」
ふと、Tellさんがディーラーに近づいた。そのままTellさんが奥の方に連れて行かれる、
「え、えっ!? ちょっとTellさん!?」
「うわぁ……今のうちにどうやって助けるか考えとこ……」
「さぁ!! お次はお待ちかねのボーナスタイムです!! KILHA選手対!!挑戦者、Tell選手です!!」
アナウンスの合図で、2人が現れた。
「ど、どうするんですかこの状況……」
「ま、まぁ……とりあえず見とこうか、」
「皆さん!!御手元のチケットを確認してください!! 間違って挑戦者の方に賭けて居ませんか!!? 最強の男、KILHAの解体ショーが始まる前に!! 今すぐ賭け直してくださいね!!」
嫌味なアナウンスだな……
「KILHA!! 殺っちまえ!!」
「今日も頼むぜ!!KILHA!!」
完全にアウェーな空気だ、このままじゃ、絶対にTellさんは殺される……
「それでは2人、用意!!」
うわうわうわ……どうしよう……ついに始まる!!
「大丈夫だから、見守ろう? Tellくんの事だし、何か策があって、挑戦者を申し出たんだよ。」
「はじめ!!」
「ガキンッ!!」
一瞬、何が起こったのかわからなかった。KILHAとTellさんとの距離は、かなり離れていたはずだ。それがたった一瞬にして、Tellさんの近くまでKILHAが迫り、その長剣を振り落ろした。
「今のは!?」
「ファントムダッシュだね、ダッシュアタックの強化版、」
ダッシュアタックなら、もちろん私も覚えているし、1度でも冒険に出てモンスターを倒したことのあるプレイヤーならみな覚えていると言えるほど、ごく基本的なスキルだ、
「ダッシュアタック自体は、ほぼ全てのプレイヤーが覚えているけれど、その強化版であるファントムダッシュを覚醒させられる人はごく限られているんだ。」
そういえばNARIELさんも言ってたっけ……
「強化版のある魔法というのも、意外と知られてないけど多いんですの。通常版を覚えれば自動的に付随するタイプもあれば、使っていくうちに覚醒していくタイプのものもありますわ。」
「彼はおそらく、何千、何万回もの戦闘を通して、何億回とダッシュアタックを使ってきたんだろう、一流の戦闘者ほど、基本的な動作に重きを置いているというわけだよ。」
「な、なるほど……」
「ガキンッ!!」
猛スピードかつハイパワー、その攻撃の一つ一つを、しっかり、確実に受け止める。
「今日の挑戦者中々しぶとい!! KILHA、曲者の挑戦者をどう料理していくつもりだ!?」
煽るような実況に呼応するように、
「いけぇ!! KILHA!!」
あちこちから野次が飛び交う、
「Tellさん……」
「ガキィィンッ!!」
KILHAが剣を振り下ろす前のほんの一瞬、Tellさんと目が合った。
そして……
「…………」
私に微笑みかけるような、微笑を浮かべた……
今のはどういうことなのだろう? 何か、KILHAに仕掛けるつもりなのか……?
「はい、これ、」
「これは……ゲートカード?」
「もしかしたら、Tellくんも来るかなって思ったから、昨日、作っておいたんだ。Tellくんのゲートカード。」
仕事が早いな……
「これがあると、このシェルターに入れるんだよな?」
「うん、それ見せればだいたいどこにでも入れるよ。 たまにVIPしか入れないところもあるけど、」
「ネームレスはVIPでは無いのか?」
「私みたいな人殺しはVIPになんてなれないよ。だからVIPルームにはいる時は裏口を使ったり、変装したりするんだ。」
入るんかい……
「仕事柄、VIPを殺さないといけない時もあるからね。さ、ついたよ。」
先程私たちが通った通路とは違う道を抜け、今度はいくつも傷の入った鉄の扉の前に来た。
「この先が、闘技場?」
「うん、少しでも危険そうな人とすれ違ったら、なるべく目を合わせないようにね」
普通に怖いやつじゃん、
「グワワァァン……」
金属の軋む音、鈍くて高い、耳をつんざくような音がひびきわたる。
中は熱狂で包まれていた。屈強な男ふたりが檻の中でぶつかり合っている。2人の額から流れる血が、この戦いの恐ろしさを物語っている。
「いけいけ!! ぶっ殺しちまえ!!」
「殺っちまえ!!」
物騒な言葉が飛び交っている。檻の中の男たちもその声に答えるように、何度も攻撃を浴びせている。
「2人とも、バケモノだな……本来は、あんな満身創痍の体じゃ、立っているのがやっとのはずなのに……」
「みんな、自分に賭けて欲しくて必死だからね。」
奥の方から、ディーラーと思しき男が走って出てきた。近くにいたもうひとりのディーラーに近づいていく。
「ど、どうしましょう、次のKILHA戦で戦う挑戦者が、まだ到着してません!」
「ったく、あの腰抜けめ……早く代わりを見つけろ!!」
「それが無理なんですよ! KILHAさんと戦いたがる人なんてそうそう見つかるわけないでしょ! あの人強いんだから!」
「確かに、それもそうだな……」
ディーラーさん、困ってるみたいだな。
「行ったら? クミちゃん、なんかあったら助けてあげるよ。」
「だったら最初からネームレスが行けばいいでしょうよ。」
「無理だよ、こんなバチバチの戦闘モード、暗殺者のフィールドじゃないもの、」
ふと、Tellさんがディーラーに近づいた。そのままTellさんが奥の方に連れて行かれる、
「え、えっ!? ちょっとTellさん!?」
「うわぁ……今のうちにどうやって助けるか考えとこ……」
「さぁ!! お次はお待ちかねのボーナスタイムです!! KILHA選手対!!挑戦者、Tell選手です!!」
アナウンスの合図で、2人が現れた。
「ど、どうするんですかこの状況……」
「ま、まぁ……とりあえず見とこうか、」
「皆さん!!御手元のチケットを確認してください!! 間違って挑戦者の方に賭けて居ませんか!!? 最強の男、KILHAの解体ショーが始まる前に!! 今すぐ賭け直してくださいね!!」
嫌味なアナウンスだな……
「KILHA!! 殺っちまえ!!」
「今日も頼むぜ!!KILHA!!」
完全にアウェーな空気だ、このままじゃ、絶対にTellさんは殺される……
「それでは2人、用意!!」
うわうわうわ……どうしよう……ついに始まる!!
「大丈夫だから、見守ろう? Tellくんの事だし、何か策があって、挑戦者を申し出たんだよ。」
「はじめ!!」
「ガキンッ!!」
一瞬、何が起こったのかわからなかった。KILHAとTellさんとの距離は、かなり離れていたはずだ。それがたった一瞬にして、Tellさんの近くまでKILHAが迫り、その長剣を振り落ろした。
「今のは!?」
「ファントムダッシュだね、ダッシュアタックの強化版、」
ダッシュアタックなら、もちろん私も覚えているし、1度でも冒険に出てモンスターを倒したことのあるプレイヤーならみな覚えていると言えるほど、ごく基本的なスキルだ、
「ダッシュアタック自体は、ほぼ全てのプレイヤーが覚えているけれど、その強化版であるファントムダッシュを覚醒させられる人はごく限られているんだ。」
そういえばNARIELさんも言ってたっけ……
「強化版のある魔法というのも、意外と知られてないけど多いんですの。通常版を覚えれば自動的に付随するタイプもあれば、使っていくうちに覚醒していくタイプのものもありますわ。」
「彼はおそらく、何千、何万回もの戦闘を通して、何億回とダッシュアタックを使ってきたんだろう、一流の戦闘者ほど、基本的な動作に重きを置いているというわけだよ。」
「な、なるほど……」
「ガキンッ!!」
猛スピードかつハイパワー、その攻撃の一つ一つを、しっかり、確実に受け止める。
「今日の挑戦者中々しぶとい!! KILHA、曲者の挑戦者をどう料理していくつもりだ!?」
煽るような実況に呼応するように、
「いけぇ!! KILHA!!」
あちこちから野次が飛び交う、
「Tellさん……」
「ガキィィンッ!!」
KILHAが剣を振り下ろす前のほんの一瞬、Tellさんと目が合った。
そして……
「…………」
私に微笑みかけるような、微笑を浮かべた……
今のはどういうことなのだろう? 何か、KILHAに仕掛けるつもりなのか……?
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