カースオブダンジョン~あなたと私の心中旅行~
呪われた剣のこと
「その剣、頑張っても引き剥がせないの?」
「剥がせないですね……手に引っ付いたまま……」
「幻影魔法でどうにかならないのか?」
「手から離れたかのように錯覚させることは出来るのですけれど……呪いに関してはどうにも出来ないですわ?」
それ危なくないか……? 自分で持ってるつもり無いのに、剣を振り回してるわけだからな……
「じゃあ、やっぱり、crallessとかいうシスターに話すしかないな、」
そう話している間に、町が見えてきた。
「アミカちゃん、あの町、」
「OK、ランタロウ! 降りて!」
「ガウッ!!」
ランタロウはゆっくりと下降していった。
夜の街は静かだ、嵐の前の静けさということなのだろうか……?
「やっぱり、ドラゴンと一緒にいるからか、誰も襲いに来ないね……」
「どういうことですか?」
「いや、ここ治安が悪いからさ、暴徒とか、ゴロツキとかが物陰から様子を伺ってたりするんだよ。でも今は、誰の気配も感じない。」
「そ、そうなんですね、」
想像したくないな、物陰に大量に潜んでるゴロツキ、
「んじゃ、あたしは自分の家に帰るね、」
「おう、ありがとな、」
アミカさんとランタロウの背中は、どんどん遠くなって行った。
「ネームレス、どこに行けばいい?」
「案内するよ、隠れ家まで、でもその前に、包帯を借りてもいいかな?」
私は、アイテムストレージの中から、治療用の包帯を取り出してしのに渡した。
「何に使うの?」
「顔を隠すの、見られたらまずいから。」
しのは、片目だけ残したまま、自分の顔を包帯で巻いた。こないだまで、手足がぐるぐる巻きだったのに、今度は顔がぐるぐる巻きに……
「じゃあ、行こっか、」
私たちは、顔だけミイラになったしのの案内で暗い路地の方へと歩いて行った。
気づいたことがある。確かに、近くに誰かがいる気配がする。しかし、視線を感じるだけで、特に襲って来る様子は無い。
もしかしたら、しの、あるいはTellさんを、彼らは恐れているのかもしれない。
「もし、こういうところに私しかいなかったらって思うと、怖いですわよね……?」
NARIELさんも分かるんだ。注がれてる視線を、私の視界に彼らが映っていない以上、ポンちゃんが送ってくる幻覚にも、彼らは映ってないはずなのに……
「まぁでも、もし暗がりで襲ってこようものなら、トラウマになるような幻覚を見せてあげましょう……」
あ、この人なら一人で歩いても平気だ、
「この辺りは人の目がありすぎる、遠回りして視線を切ろう、」
しばらく歩いた先に、古びた飯店のような場所を見つけた。看板がボロボロになっていて、店名すらも分からないほど老朽化している。
「ここがアジト、私たちの隠れ家。」
「確かに、ここなら、いい隠れ家になりそうだな。」
辺りには瓦礫が散乱し、とても普通の町民は近づけないだろう。
「ごめんね、包帯無駄にしちゃって、」
しのはそう言いながら顔に巻いた包帯を解いた。
「足元気をつけてね、」
私たちは足元により一掃気を配りながら、隠れ家の中へと入っていった。
「ガチャ…………ギィィィ…………」
ゆっくりと歩みを寄せる
「あなたたちはだぁれ?」
「うわっ!!?」
いきなり暗闇の中から女性の声が聞こえた。高く、弾むような声で喋る彼女は、シスターの制服を着ていた。ということは、この人がcrallessなのだろう、
「どうしたの? 迷える子羊さん達ぃ、こんな危ないところに来てはいけないんだぞっ!」
なんか、歌のおねぇさんみたいな喋り方だな、
「ごめん、脅かしちゃったかな、彼ら、ちょっと用事があってここに来ただけなんだ。」
「もしかしてその声はネームレスなの?」
「そうだよ。」
しのがそう答えると、crallessは豹変したように
「んだよ、ネームレスかよ……あんたの素顔なんて見たこと無かったからわかんなかったじゃねぇか、」
と、乱暴な口調で言った。そういえばしのが、『crallessは演技が得意』と言っていた。これが彼女の素なのだろうか? それにしては随分とキャラが変わりすぎな気がするけど……
「こいつらがネームレスの言ってた殺したくねぇヤツら?」
「まぁそういうことになるね、」
「そんなヤツらここに連れてきて、何の用だってんだよ? まさか、新しい依頼でも持ってきたのか?」
「依頼と言えば依頼だね、元聖職者のcrallessに、KUMIちゃんの呪いを直して欲しいんだ。」
「なるほどな、この辺りは教会もねぇからな。いいぜ、それぐらいならやってやらぁ、」
そう言うとcrallessは私達の方に近づいてきた。
「KUMIってのは?」
「えっ? は、はい、私ですけど……」
「……ふぅん、呪われてんのはその剣か、」
crallessは私の持っている剣をまじまじと見つめ……手を伸ばし、
「アセンション!」
と、唱えた。すると、crallessの手が光り、それに合わせるように私の剣も光り出した。
「グゥ……グゥゥゥ……!!!!」
「えっ!? 剣が……唸ってる!?」
「グウオオオオ!!!」
唸り声はそのまま、光の中へと吸い込まれて行った……
「終わったぜ?」
「早っ……!?」 
これで一件落着……なのかな?
「剥がせないですね……手に引っ付いたまま……」
「幻影魔法でどうにかならないのか?」
「手から離れたかのように錯覚させることは出来るのですけれど……呪いに関してはどうにも出来ないですわ?」
それ危なくないか……? 自分で持ってるつもり無いのに、剣を振り回してるわけだからな……
「じゃあ、やっぱり、crallessとかいうシスターに話すしかないな、」
そう話している間に、町が見えてきた。
「アミカちゃん、あの町、」
「OK、ランタロウ! 降りて!」
「ガウッ!!」
ランタロウはゆっくりと下降していった。
夜の街は静かだ、嵐の前の静けさということなのだろうか……?
「やっぱり、ドラゴンと一緒にいるからか、誰も襲いに来ないね……」
「どういうことですか?」
「いや、ここ治安が悪いからさ、暴徒とか、ゴロツキとかが物陰から様子を伺ってたりするんだよ。でも今は、誰の気配も感じない。」
「そ、そうなんですね、」
想像したくないな、物陰に大量に潜んでるゴロツキ、
「んじゃ、あたしは自分の家に帰るね、」
「おう、ありがとな、」
アミカさんとランタロウの背中は、どんどん遠くなって行った。
「ネームレス、どこに行けばいい?」
「案内するよ、隠れ家まで、でもその前に、包帯を借りてもいいかな?」
私は、アイテムストレージの中から、治療用の包帯を取り出してしのに渡した。
「何に使うの?」
「顔を隠すの、見られたらまずいから。」
しのは、片目だけ残したまま、自分の顔を包帯で巻いた。こないだまで、手足がぐるぐる巻きだったのに、今度は顔がぐるぐる巻きに……
「じゃあ、行こっか、」
私たちは、顔だけミイラになったしのの案内で暗い路地の方へと歩いて行った。
気づいたことがある。確かに、近くに誰かがいる気配がする。しかし、視線を感じるだけで、特に襲って来る様子は無い。
もしかしたら、しの、あるいはTellさんを、彼らは恐れているのかもしれない。
「もし、こういうところに私しかいなかったらって思うと、怖いですわよね……?」
NARIELさんも分かるんだ。注がれてる視線を、私の視界に彼らが映っていない以上、ポンちゃんが送ってくる幻覚にも、彼らは映ってないはずなのに……
「まぁでも、もし暗がりで襲ってこようものなら、トラウマになるような幻覚を見せてあげましょう……」
あ、この人なら一人で歩いても平気だ、
「この辺りは人の目がありすぎる、遠回りして視線を切ろう、」
しばらく歩いた先に、古びた飯店のような場所を見つけた。看板がボロボロになっていて、店名すらも分からないほど老朽化している。
「ここがアジト、私たちの隠れ家。」
「確かに、ここなら、いい隠れ家になりそうだな。」
辺りには瓦礫が散乱し、とても普通の町民は近づけないだろう。
「ごめんね、包帯無駄にしちゃって、」
しのはそう言いながら顔に巻いた包帯を解いた。
「足元気をつけてね、」
私たちは足元により一掃気を配りながら、隠れ家の中へと入っていった。
「ガチャ…………ギィィィ…………」
ゆっくりと歩みを寄せる
「あなたたちはだぁれ?」
「うわっ!!?」
いきなり暗闇の中から女性の声が聞こえた。高く、弾むような声で喋る彼女は、シスターの制服を着ていた。ということは、この人がcrallessなのだろう、
「どうしたの? 迷える子羊さん達ぃ、こんな危ないところに来てはいけないんだぞっ!」
なんか、歌のおねぇさんみたいな喋り方だな、
「ごめん、脅かしちゃったかな、彼ら、ちょっと用事があってここに来ただけなんだ。」
「もしかしてその声はネームレスなの?」
「そうだよ。」
しのがそう答えると、crallessは豹変したように
「んだよ、ネームレスかよ……あんたの素顔なんて見たこと無かったからわかんなかったじゃねぇか、」
と、乱暴な口調で言った。そういえばしのが、『crallessは演技が得意』と言っていた。これが彼女の素なのだろうか? それにしては随分とキャラが変わりすぎな気がするけど……
「こいつらがネームレスの言ってた殺したくねぇヤツら?」
「まぁそういうことになるね、」
「そんなヤツらここに連れてきて、何の用だってんだよ? まさか、新しい依頼でも持ってきたのか?」
「依頼と言えば依頼だね、元聖職者のcrallessに、KUMIちゃんの呪いを直して欲しいんだ。」
「なるほどな、この辺りは教会もねぇからな。いいぜ、それぐらいならやってやらぁ、」
そう言うとcrallessは私達の方に近づいてきた。
「KUMIってのは?」
「えっ? は、はい、私ですけど……」
「……ふぅん、呪われてんのはその剣か、」
crallessは私の持っている剣をまじまじと見つめ……手を伸ばし、
「アセンション!」
と、唱えた。すると、crallessの手が光り、それに合わせるように私の剣も光り出した。
「グゥ……グゥゥゥ……!!!!」
「えっ!? 剣が……唸ってる!?」
「グウオオオオ!!!」
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