カースオブダンジョン~あなたと私の心中旅行~

蛇使い座のな~が

迎撃の準備

「迎撃の準備……ですか?」

「そうだ、幸いこの島には多数のモンスターがいる。モンスターを操れるモンスターテイマーもいる、」

アミカさんのことだな、

「なんか勝手に作戦メンバーに追加されている……」

「ごめん、でも、アミカさんも協力してくれるよね?」

「まぁ協力する分にはいいよ、Tellも大事なフレンドだし、」

この島のモンスター全てが戦力な訳か、頼もしいな、

「アミカさんには、この島にいる強いモンスターを片っ端から集めてもらいたい、もちろんアミカさんが制御しきれる分だけで構わない、」

「どうするの?」

「この拠点のまわりを取り囲んでもらう。言わば『攻撃のできるバリケード』だ。」

モンスターたちに攻撃させて、拠点まで近づけさせない作戦か、

「なるほど……でも、危なくなったら、引いてもいい? さすがにペットの命までは投げ出せない……」

「ああ、危なくなったら退却させてくれ、もし君のペットに怪我をさせてしまったら、ゼットが治してくれる。」

「任せろ、どんな怪我や病気も治す、たとえ患者が人であろうと、モンスターであろうともな、」

ゼットさん、獣医にもなれるんだ……

「ペットモンスターのバリケード……長いからPMBと呼称しよう、」

めんどくさくなったのか、

「PMBがある以上、ネームレスは迂闊には近づけないはずだ。その隙に、俺たちでネームレスを拘束する。」

「どうやってやるんですか?」

「NARIELさんの幻影魔法だよ、俺たちの姿を見えなくしたり、やつから視界を奪ったりすれば、簡単に捕まえることが出来るはずだ。」

「できるのか? NARIELさん、」

「それぐらいは朝飯前ですわ?」

さすが幻影魔法、なんでも出来るな、

「どうだ? ここまででなにか異論は無いか?」

みやびさんが静かに手を挙げた。

「RAYさま、ひとつ疑問がある。どうやってあいつがこの島に上陸するのを知るの?」

「確かに、敵の上陸を知るために、監視員が必要だな。」

「じゃあこうしませんこと? うちのポンちゃんをドラゴンの背中に載せて、空から監視した映像を私に送ってもらうんですわ、」

「はぁ!?」

ポンちゃんの驚く声が聞こえ、聞こえた方向からポンちゃんが出現し、NARIELさんの元に走っていった。

「NARIEL様それは酷です!! ぼくが高所恐怖症なの知ってるじゃないですか!!」

「諦めなさい、これはあなたに与えられた使命ですわよ?」

「お願いだ! 君しかいないんだ、監視役になってくれないか?」

「もう……次回からおやつ2倍にしてください、そしたらやります、」

「わかりましたわ、交渉成立ですわね、」

ポンちゃんが何かを覚悟したような目をしている。

「よし、敵はおそらく夜に襲撃してくる。暗殺者は暗所での戦闘を得意としているからだ。よって、今日の夜から作戦を決行しよう。」

全員で作戦を練って、ひとつの敵に立ち向かう。ギルドらしい戦い方だな




作戦会議を終えたあと、RAYは部屋に戻っていってしまった。

「リーダー、気合い入ってんね、」

「当たり前だろう? 昔なじみの親友が、命を狙われているかもしれないからな、」

「じゃあ私達も頑張らないとね!」

ギルドメンバー達も気合が入っているみたいだ、彼らと一緒にいれば、作戦も成功しそうな気がする。

「そうだ! まだ夜まで時間あるよね?」

「そうですね、」

areaさんは私たちに、ちょっと意外な提案をした。

「Tellたちにもさ、ギルド式の訓練を体験してもらおうよ!」

ギルド式の訓練か……確かに、ネームレスに立ち向かうためには、数で押し切るだけでなく、個人が強くなる必要があるだろう、

「どういう修行なんだ?」

「私たちは訓練の時、いつも実戦に限りなく近い状況で戦えるように、メンバー同士で戦いあうようにしてるんだ。」

「えっ!? そんなことして怪我しないんですか?」

「するよ? そしたらゼットに治して貰えばいいじゃん。」

ゼットさんを無駄遣いするなよ、

「で、その訓練を俺たちにもやれと、」

「そ、そういうこと、」

Tellさんは少し考えてから笑みを浮かべてこう言った。

「やってもいいけど、本気で戦ってもいいの……?」

なんかTellさん笑顔が怖いよ……

「もちろん本気でいいよ!」

「よっしゃ! 俺も戦って見たかったんだよな! 本気のTellと、」

「KUMIさんもやるでしょ?」

「え!? は、はい……」

ついノリでOKしてしまったけれど、大丈夫かな、怪我しないかな……?

「でもさすがに今、怪我をしてしまうのはまずい、NARIEL、お前にも来てもらってもいいか?」

「もちろんですわ、『白無垢』の世界を使うってことですわね?」

「白無垢……?」

「怪我をすることなく本気で戦える場所だ、幻影魔法で作られた世界だよ。」

「へぇ~……そんなのも作れるのか……」

私もびっくりしたよ、思いっきり吹っ飛んだTellさんが、白無垢を解いたら無傷だったんだから、

「よし、じゃあ早速訓練開始だ! やっとTellさんと戦えるぜ!」

alphaさんに従い、みんなで外に向かおうとしたが……

「ちょっと待て、」

NARIELさんと私の手を、ゼットさんが引いた、

「Tellとの勝負はお預けだ、まずはKUMIにかかった『ヨミ』の効果を解かねばならん」

そうだった、完全に忘れてたな。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品