カースオブダンジョン~あなたと私の心中旅行~
日暮れまでには
Tellさんはメールの読み上げを続けた。
彼女は謎の暗殺者、名前や素性はおろか、素顔さえ謎に包まれている。依頼者にさえ頑なに名前を明かさないことから『ネームレス』という通り名で呼ばれている。
いくら探してもこれ以上の情報は出なかった。しかし、これだけ裏社会で有名になっている以上、相当な手練であると考えられる。そんな人物に目をつけられたんだ、殺されるのは時間の問題かもしれん。逃げることはできないものと思え、少しでも長生きしたければ、彼女には近づかないのが得策だ。
「だそうだ……」
これ、もはやゲームオーバーなのでは……?
「なるほど、じゃあそのネームレスが敵か味方か分からないうちは、近づかない方が良さそうだな、」
私とみやびさん以外、ネームレスの姿を見ていない。けれど、その人物がいかに危険かは、その場にいた誰もが理解していた。しかし私個人としては、あそこまで私を守ってくれた人物を信用しない訳には行かないのだ。
「とりあえず予定通り、私の島に逃げようよ。あいつから逃げるためにも、この町を早く離れた方がいい、」
「そうですね、」
本当は彼女を信じたい、でも怖がっている自分もいるのが本音だ。
「アミカの島までは、ここからあと何日で着くんだ?」
「2日あれば着くんじゃない? 暖かい場所に出られれば、ドラゴンを呼べば運んでもらえるからさ、」
「NARIELさんはどうする?」
「ついて行きますわ、アミカさんの島まで、」
じゃあ島まで行くメンバーが、私、Tellさん、NARIELさん、アミカさん、RAYさん、ゼットさん、みやびさん、alphaさんの8人だから、ドラゴンが定員3名だとして、ドラゴンが3匹必要になる。
「3びきぐらいだったら大丈夫だよ、みんな一気に運んで貰えると思う。」
ドラゴン、便利すぎるな……私達も飼ったら、旅が楽になるだろうな、
「じゃあ今度こそ山を降りよう。寒い場所から離れたらアミカさんのサモンでドラゴンを呼び、空中を移動する。それでいいかな?」
「いいけど、残りのメンバーはどうやってその島に呼ぼうか?」
ああ、RAYさんのギルドの残りのメンバーか、ざっくさんとRyuOさん、それにareaさんも、
「じゃあ中継地点のところで待機しててもらおうか、」
アミカさんに呼んでもらうドラゴンがもう1匹増えたな、
こうして私たちは改めて山を降りることにした。
「う~ん、やっぱ雪山に住むモンスターって種類が少ないね……」
「そうですね、でもその方が戦闘が少なくていいです。」
いくら人数が増えても、クレバス地帯を通る怖さが薄れるわけじゃない。足元には十分注意して進む。幸い、さっきの戦闘の時よりは、風は弱くなっており、視界も晴れているため幾分かは進みやすい。
「ん? なんだろう、あれ……」
どうやら小さな何かが、長いひものような物を持って忙しなく飛び回っているみたいだ。
「あ、やべ、あいつのことすっかり忘れてたな……お~い!!」
Tellさんがひもを持った何かに向かって呼びかけている。
その呼び掛けに答えるように、小さな何かは空を飛びながらこっちに向かってきた。って……あれナヴィエじゃない? なんでひもなんか持って……
「Tellさん!? どうしてここに!?」
「まぁ、色々あって、自力で出られた。」
「じゃあわざわざ村まで戻って命綱を取りに行った私の苦労は!?」
話が見えてきたな。無駄働きで可哀想に、
「まぁいいじゃん、帰ってこられたんだし、」
「Tellさんが言うならそれでいいですけど……意外と大変だったんですよ……? こんなに長い綱を探しに行くのって、」
確かに、この長さの綱を探すのは大変そうだな……上から垂らしたらクレバスの底までゆうに届きそうだ。
「とりあえずその綱は貰っておくよ、何かに役立ちそうだし、ありがとうね、わざわざ探しに行ってくれて」
綱か、何かアイテム加工に使えそうだな。
「よし、先を急ごう、早くしないと日が暮れる」
私たちは少しずつペースを上げ、何とか日暮れまでに下山し終えた。
あとはこのまま南へと進み、雪原地帯を抜けたところで、RAYギルドの他の仲間と合流する。
「さっきメールの返信があったよ、予定通りの場所に明日の昼頃にはつけるそうだ。」
「じゃあここら辺で夜を明かそう、早朝から出発すればその時間帯にはつけるだろう」
早朝か、粉雪が舞うほどの、この寒い平原の中で、私は起きられるのだろうか……?
「食料と調理器具なら俺が持ってる。みやびとゼットは先にテントを設営しててくれ、」
「わかった、」
「OK、」
alphaさんが取り出したのは、私たち全員がすっぽりと入れそうなくらいの広々とした巨大テントだった。どうやら通常のテントに使う布を継ぎ接ぎして、1枚の大きな布を作っているらしい。
「よくこんなものつくりましたね……」
「まぁ、ギルドメンバー全員で使えるようにするには、このぐらいは広くなきゃないからな、」
そしてその巨大テントを2人はテキパキと設営し、alphaさんも、調理に使う鍋と焚き火を作り上げてしまった。どうやら私のファイアーボールに出る幕は無かったらしい。
「よし、それじゃあリーダー、材料はあるから、いつものあれ、作ってくれよ、」
そう言ってalphaさんは食料の入った袋をいくつか取りだした。
「おお、あれな? 分かった、」
材料を確認するとRAYさんはそれらを無造作に鍋に放り込み、水を大量に入れた。
「これって……もしかして、」
「ほら、お食べ? チキンスープだよ、今日はいつもより美味しく出来たんだ!!」
「うちのリーダーの十八番、チキンスープだよ、」
やっぱりか、この人チキンスープ好きだな、アメリカじゃ風邪ひいた時に飲むスープだぞ? 別にメインで食べるようなものじゃないのに……
まぁでも、今はとてもありがたい、冬に温かいものを食べると美味しいし、とても暖まる。
「よし、できたぞ、」
こんな大人数で鍋を囲むなんて、滅多にないからな、今日はいい晩餐になりそうだ。
彼女は謎の暗殺者、名前や素性はおろか、素顔さえ謎に包まれている。依頼者にさえ頑なに名前を明かさないことから『ネームレス』という通り名で呼ばれている。
いくら探してもこれ以上の情報は出なかった。しかし、これだけ裏社会で有名になっている以上、相当な手練であると考えられる。そんな人物に目をつけられたんだ、殺されるのは時間の問題かもしれん。逃げることはできないものと思え、少しでも長生きしたければ、彼女には近づかないのが得策だ。
「だそうだ……」
これ、もはやゲームオーバーなのでは……?
「なるほど、じゃあそのネームレスが敵か味方か分からないうちは、近づかない方が良さそうだな、」
私とみやびさん以外、ネームレスの姿を見ていない。けれど、その人物がいかに危険かは、その場にいた誰もが理解していた。しかし私個人としては、あそこまで私を守ってくれた人物を信用しない訳には行かないのだ。
「とりあえず予定通り、私の島に逃げようよ。あいつから逃げるためにも、この町を早く離れた方がいい、」
「そうですね、」
本当は彼女を信じたい、でも怖がっている自分もいるのが本音だ。
「アミカの島までは、ここからあと何日で着くんだ?」
「2日あれば着くんじゃない? 暖かい場所に出られれば、ドラゴンを呼べば運んでもらえるからさ、」
「NARIELさんはどうする?」
「ついて行きますわ、アミカさんの島まで、」
じゃあ島まで行くメンバーが、私、Tellさん、NARIELさん、アミカさん、RAYさん、ゼットさん、みやびさん、alphaさんの8人だから、ドラゴンが定員3名だとして、ドラゴンが3匹必要になる。
「3びきぐらいだったら大丈夫だよ、みんな一気に運んで貰えると思う。」
ドラゴン、便利すぎるな……私達も飼ったら、旅が楽になるだろうな、
「じゃあ今度こそ山を降りよう。寒い場所から離れたらアミカさんのサモンでドラゴンを呼び、空中を移動する。それでいいかな?」
「いいけど、残りのメンバーはどうやってその島に呼ぼうか?」
ああ、RAYさんのギルドの残りのメンバーか、ざっくさんとRyuOさん、それにareaさんも、
「じゃあ中継地点のところで待機しててもらおうか、」
アミカさんに呼んでもらうドラゴンがもう1匹増えたな、
こうして私たちは改めて山を降りることにした。
「う~ん、やっぱ雪山に住むモンスターって種類が少ないね……」
「そうですね、でもその方が戦闘が少なくていいです。」
いくら人数が増えても、クレバス地帯を通る怖さが薄れるわけじゃない。足元には十分注意して進む。幸い、さっきの戦闘の時よりは、風は弱くなっており、視界も晴れているため幾分かは進みやすい。
「ん? なんだろう、あれ……」
どうやら小さな何かが、長いひものような物を持って忙しなく飛び回っているみたいだ。
「あ、やべ、あいつのことすっかり忘れてたな……お~い!!」
Tellさんがひもを持った何かに向かって呼びかけている。
その呼び掛けに答えるように、小さな何かは空を飛びながらこっちに向かってきた。って……あれナヴィエじゃない? なんでひもなんか持って……
「Tellさん!? どうしてここに!?」
「まぁ、色々あって、自力で出られた。」
「じゃあわざわざ村まで戻って命綱を取りに行った私の苦労は!?」
話が見えてきたな。無駄働きで可哀想に、
「まぁいいじゃん、帰ってこられたんだし、」
「Tellさんが言うならそれでいいですけど……意外と大変だったんですよ……? こんなに長い綱を探しに行くのって、」
確かに、この長さの綱を探すのは大変そうだな……上から垂らしたらクレバスの底までゆうに届きそうだ。
「とりあえずその綱は貰っておくよ、何かに役立ちそうだし、ありがとうね、わざわざ探しに行ってくれて」
綱か、何かアイテム加工に使えそうだな。
「よし、先を急ごう、早くしないと日が暮れる」
私たちは少しずつペースを上げ、何とか日暮れまでに下山し終えた。
あとはこのまま南へと進み、雪原地帯を抜けたところで、RAYギルドの他の仲間と合流する。
「さっきメールの返信があったよ、予定通りの場所に明日の昼頃にはつけるそうだ。」
「じゃあここら辺で夜を明かそう、早朝から出発すればその時間帯にはつけるだろう」
早朝か、粉雪が舞うほどの、この寒い平原の中で、私は起きられるのだろうか……?
「食料と調理器具なら俺が持ってる。みやびとゼットは先にテントを設営しててくれ、」
「わかった、」
「OK、」
alphaさんが取り出したのは、私たち全員がすっぽりと入れそうなくらいの広々とした巨大テントだった。どうやら通常のテントに使う布を継ぎ接ぎして、1枚の大きな布を作っているらしい。
「よくこんなものつくりましたね……」
「まぁ、ギルドメンバー全員で使えるようにするには、このぐらいは広くなきゃないからな、」
そしてその巨大テントを2人はテキパキと設営し、alphaさんも、調理に使う鍋と焚き火を作り上げてしまった。どうやら私のファイアーボールに出る幕は無かったらしい。
「よし、それじゃあリーダー、材料はあるから、いつものあれ、作ってくれよ、」
そう言ってalphaさんは食料の入った袋をいくつか取りだした。
「おお、あれな? 分かった、」
材料を確認するとRAYさんはそれらを無造作に鍋に放り込み、水を大量に入れた。
「これって……もしかして、」
「ほら、お食べ? チキンスープだよ、今日はいつもより美味しく出来たんだ!!」
「うちのリーダーの十八番、チキンスープだよ、」
やっぱりか、この人チキンスープ好きだな、アメリカじゃ風邪ひいた時に飲むスープだぞ? 別にメインで食べるようなものじゃないのに……
まぁでも、今はとてもありがたい、冬に温かいものを食べると美味しいし、とても暖まる。
「よし、できたぞ、」
こんな大人数で鍋を囲むなんて、滅多にないからな、今日はいい晩餐になりそうだ。
コメント
蛇使い座のな~が
1ヶ月ぶりの更新となってしまい、長らくお待たせしてしまって大変申し訳ありませんでしたこれからまた投稿頻度をあげていきますのでこれからもご愛読の程をよろしくお願い致します