カースオブダンジョン~あなたと私の心中旅行~

蛇使い座のな~が

暗闇の先に

気がつくと私は、ベッドに寝かせられていた。

「……ここは……?」

「KUMI!! 気がついたのか!! 良かった……」

RAYさんはとても安心したようだ。私の手を握って喜んでいる。

「体調はどうだ……?」

「まだ……少し、苦しいです……動く度に……痛くて……」

視界もまだ定まっていない……RAYさんの顔もぼやけて見える。

「あの後私……どうなったんですか……?」

「ああ、あの後……」




「さて、こいつにもトドメを刺してやるか、」

「そうはさせない!! タイフーン!!」

「ビュオオオオ!!」

KUMIを助けるためには、1度、HIGANを君から遠ざける必要があった。

「無駄だ!!」

だが、風属性魔法はHIGANの相方でもあるAsBemも使用していたものだ。おそらく既に対策されていたのだろう、すぐに避けられてしまった。

でも、そんな時、あることに気がついた。

「ん? あれは……?」

それは一匹のたぬきだった。後でわかったことだが、そいつはNARIELさんの連れていたペットだった。

「あわわわ……どうしよう!!?」

「なぁ、頼みがある。あいつを何とか化かしてみてくれないか? 」

「で、でも、NARIEL様が……」

「あいつらは絶対助ける!! そのためにも協力してくれ!!」

ボクはそいつの協力を仰ぎ、

「HIGAN、俺はまだ終わっちゃいないぞ!!」

ボクの分身を作らせた。HIGANが幻覚のボクと戦っている間に君を連れて逃げ出した。




「あとはそのまま、ここまで君を運んだ。」

壮絶な戦いだったんだな……

「あれ? ポンちゃんは?」

「ポンちゃんは、NARIELさんの部屋にいるよ、なんか、罪の意識に囚われてるみたいだ、『自分の主を見捨てて、クレバスに落ちる前にNARIEL様の肩から飛び降りた自分が憎い』って」

可哀想に……

「よぉ、久しぶりだな、無事に目覚めてよかったよ」

奥の部屋から現れたのはゼットさんだった。RAYさんのギルドの軍医だ。

「具合はどうだ?」

「まだ少し症状が残っているらしい。」

「なるほどな……もしかしたら神経系に異常があるかもしれない。どこか、痺れるような痛みを感じる箇所はあるか?」

「痺れるような……?」

「確か、体を動かす度に、痛みを感じるんだよね、」

「はい……」

今も身体中に、細い針のようなものが刺さっている感じだ。前のナイフと比べて少し痛みは軽くなったが、これでもかなりの苦痛である。

「なるほど……」

「何かわかったのか?」

「ああ、俺には何も分からないということがわかった。」

分からんのかい……

「確か、『ヨミ』って言ってたよな? 」

「ああ、即死系の魔法らしい」

「即死系か……そんなものを使われてるんじゃ、体に何が起きてるかわからんな……」

心臓が本当に焼けてたりして……考えてたらまた熱くなってきた、やめよう、

「とりあえず、痛み止めを渡しておこう、薬が効いて動けそうになったら言ってくれ、検査してみる。」

そう言ってゼットさんは部屋に戻って行ってしまった。

「そういえば、RAYさん、Tellさん達はどこに?」

私がこう質問すると、RAYさんは急に固まってしまった。……少し沈黙してから、RAYさんは震えを隠しながら、言った。

「Tellは……分からない……」

「分からないって、どういうことですか……?」

「Tellは、クレバスに落ちた、アミカとNARIELと一緒に、でもさっきメールでメッセージが来たから、落下死は免れたらしい。」

「えっ……でもそれ、帰ってこられるんですか……?」

「それが分からないんだ……早くあいつを助けないと……」

「それは無謀だ、」

途中でゼットさんが割り込んできた。

「確かに、お前の風魔法で押しあげれば、あいつらをクレバスから救い出せんことも無い。でもそれは、お前が無事にクレバスの底に『辿り着けたら』の話だ。どう考えても無茶だろう」

確かに、そうかもしれない、でもだとしたら……どうしてTellさんは落下しても無事だったんだろう?

「『大丈夫だ』とは言ってたが、あいつ……本当に無事なのか……?」




俺たちがクレバスに落下した後、

「クッ!! クイックイクイップ!!」

「ジャキン!! ギュウウン……カッ!!」

「わぁっ!?」

「……こ、この締め付けられる感覚は……?」

「はぁ……危なかった……」

俺はクイックイクイップを使い、装備していた武器をクローショットに素早く持ち替え、鎖で2人を縛りながら壁にフックを打ち込むことで、上手く落下を免れた、あともう少しで地面に激突するというギリギリのタイミングだった。

「本当に危なかったじゃん!!」

「悪い、でも何とか助かったな、」

鎖を解き、安全な位置から着地した。

「あっ!?」

「おっと、大丈夫か?」

NARIELさんは少しバランスを崩したので、地面に着地する前に手で支えた。

「ええ、どうやら、私、ポンちゃんを置いて来てしまったみたいですわ……」

「じゃあ、今は何も見えないのか?」

「ええ、真っ暗ですわ……」

これはまずい事態になったな……どうやって2人を運んだらいいんだ……?

「仕方ない……望みは薄いけど、サモン!!」

「ボフンッ!!」

急に目の前に水色の鱗を持ったドラゴンが出現した。

「今のは?」

「召喚魔法、自分のペットのモンスターをいつでも召喚できる。」

「じゃあ、そのドラゴンもペットなのか?」

「うん、アイスドラゴンのアイちゃんなんだけど……背中に人を乗せるのが嫌いみたいで……お願い!! 一瞬だけでいいから乗せて!!」

「グルル…………」

めっちゃ睨まれてる……大丈夫か? これ、

「バサッバサッバサッ……」

「えっ、ちょっと!? 待ってよ!!」

どうやらご機嫌ななめらしい、そのドラゴンは翼をはためかせ、そのままクレバスを超えて飛び去ってしまった。

「困りましたわね……」

マジでどうするんだ? これ、

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