カースオブダンジョン~あなたと私の心中旅行~

蛇使い座のな~が

修行の時

「で、完成した姿がこちらになります。」

綺麗な水色の半透明の体はどこへやら、ライムさんは「ポイズンスライム」へと進化した。普段の体色は濃い黄緑、半透明な体はそのままで、体から毒素を放出し、体の色を紫色に変える能力を手に入れた。

「この状態なら、毒液を噴射したり、有毒ガスを放出したり出来ます。」

「よし、これで俺が居ない時は、ライムに用心棒を頼めるな、」

「はい! 任せてください!」

まぁ、本人たちが満足そうだからいいや、

「さすがのピクシーでも、こいつを食べようとは思わないだろうしな、」

「当たり前でしょ! 食べたら死にます!」

どうやらライムさんはかなり強力な能力を手に入れたらしい。

「RUSH、一応ライムに戦闘の仕方を教えてやった方がいいんじゃないのか?」

確かに、今まで戦闘をしてこなかったライムさんだ、毒の力を扱いきれなくて、大変な目にあいそうな気がする。

「戦闘か、俺はしばらく戦いからは身を引いていたからな……」

「では、KUMIが教えて見たらどうだ? Tellの怪我が治るまで暇だろう?」

「えっ、私っ!?」

想像もしていなかった。誰かに戦い方を教えるなど、

「それはいいですね、さっそく、町の外に行きましょう、ついでに風景画を描きたいので画材を持って行ってもいいですか?」

風景画か、確かに、ライムさんが絵を描いている所を見に行きたい気持ちもある。

「分かりました、行きましょうか、」

「ああ、絵を描くんなら、これを、」

そう言ってTellさんは、1本の絵の具を渡した。

「これって……」




『モンスターを倒した!』
『アイテムドロップ:魔力の剣
                                     魔法の絵の具
                                     魔法石』




「あの時の絵の具……」

「えっ!? 凄い!! 魔法の絵の具だ!! 誰でもプロ並みの絵を描くことができるって言うレアアイテム!!」

「誰でもプロ並みの絵をかけるんですか?」

「はい! 自分の想像した通りの色になってくれるんです。」

へぇー、まさに魔法だな、1本で何色にもなれるんだ……

「よし、さっそく行きましょう!」

「わ、分かりました……」

絵の方が目的みたいになってるな……ライムさんの中では……




「え~と…………」

ここは、エンプラットの外れの山、ルテケト湿原とは逆方向にある。ここには、モンスターが結構いるので、絵を描く絶好のポイントを探しながら戦闘の訓練をする。

「ここは、違うな……」

ライムさんには、この世界がどう見えているのだろうか?

「ブウゥゥン!!」

「うわっ!? ハチっ!?」

ライムさんがしゃがみこむ、

「いや、今のはフライングスコーピオン、ハサミがない代わりに羽が生えたサソリです。」

さて、目には目を、毒には毒をと言った所かな、

「ゆっくり狙いを定めてください、相手の動きをよく観察して、近づいてきたところを迎え撃つんです。」

空を飛びまわるタイプの敵は、なるべく後手に回った方が効率的に戦える。

「狙いを定めて……」

ライムさんは自分の人差し指を、銃を構えるように突き出した。体は紫色、攻撃態勢だ、

「ブウゥゥン!!」

フライングスコーピオンは、忙しなく右に左に飛び回っている。

「ビュウン!」

「発射!!」

「ビシャっ!!」

一気に距離を詰めてきた所を狙い撃つ、指から発射された毒液はフライングスコーピオンの顔面に命中した。

「ブブヴヴヴ……」

羽音が止み、そのままうごかなくなった。サソリの尻尾が少し痙攣している。どうやらかなり強力な神経毒を発射したらしい。

「ふぅ~、危なかった……」

「顔に触れるだけで命を奪うなんて、相当強力なんですね、」

「そうみたいですね、もう少し手加減出来れば、いいんですけど……」




それから私たちは修行をしては、絵を描きを繰り返した。その結果ライムさんは、相手に合わせて毒の強さをコントロールする術を手に入れた。店に飾る絵も前よりずっと増えた。

「いっぱい技も覚えたんですよ? 触手を突き刺して直接毒を注入してみたり、毒の強さを調節して、眠り薬や、麻酔薬にして相手に飲ませたり……」

「……俺は用心棒になれって言ったんだ、暗殺者になれとは言ってない」

あはは、意外と教えるの楽しくてつい……

「ところで、Tellさんの具合は?」

「ああ、すっかり良くなったよ、ナヴィエが言うには、そろそろ旅を再開しても良さそうだってさ、」

「じゃあ、次はどこに行きましょうか?」

上の階からヒラヒラとナヴィエが降りてきた。

「もう出発するんですか?」

「ああ、そろそろね、」

「次の行先はもう決めてあるんですか?」

「いや、まだだけど、」

まだなんかい……旅はちゃんと計画を立ててから行こうよ、

「もし、他の街に行くなら、なるべく知名度の低い、他のプレイヤーのいない街に行って欲しいのですが……」

確かに、今目立つとやばいもんな

「どこか、この近くでそういう知名度の低い街ってある?」

「そうですね、このまま北上した所にセイスモル山という雪山があります。その山の中腹に、小さな村があったはずです。」

雪山か、病み上がりで雪山は辛くないかな?

「OK、そこに行こう、」

「では、私が案内しますよ、久しぶりにナビゲートさせてください!」

「じゃあ、お願いしようかな、」

何だか、この雰囲気懐かしいな……よし、今までの冒険で、強くなったってところを、ナヴィエにも見せて上げないと、

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