カースオブダンジョン~あなたと私の心中旅行~
レシピの内容
「さぁ、食べてみてください!」
食卓に着くと、人数分のカレーライスが盛り付けられていた。ニンジン、タマネギ、ジャガイモ、まだあちらの世界にいた頃に幾度となく食べたあの時のカレーライスが、何故か目の前にあった。ナヴィエの分は小皿に盛り付けてある。
「……これは?」
「『カレー』という異世界の食べ物です。冒険者の方々が、好んで食べていたものなんですよ?」
ナヴィエが小皿に盛られたカレーに近づき、手につけて舐めた
「美味しい……けど……」
「お気に召しませんでしたか?」
「か……辛い!」
「パヒュゥン!!」
水を貯めておいたバケツにすっ飛んで行った。どうやらナヴィエには辛すぎたらしい。
「辛くしすぎちゃったみたいですね……」
「いえ、私が辛いものに慣れてないだけなんです……出来れば、甘いものを横に添えていただければ……」
「……おい、なんでライムの方を見ている……?」
「いえ!!何も!!」
スライムって甘いのかな……
「ところで、なんでまたカレーライスを……?」
「ルシルさんがお好きだと仰っていたので、」
「ルシルさんが?」
「ああ、私からリクエストさせてもらった。昔からカレーは大好きでな、自分でも作ってよく食べていたんだが、こっちの世界に来てからは、ぱったりと料理をしなくなってしまった。」
確かに、仕事忙しいもんな、
「カレーは、JHARIBANさんもお好きで、よく2人で研究したんです。私が色々と試作品を作って、JHARIBANさんが、本物に似てるか判断してくれて、」
ここでもJHARIBANさんか、あの人が残した業績は凄いな……
「さぁ、食べよう、この世界のニンジンには自然治癒力を高める効能があるらしい。」
「おう、それはいいね、」
心なしかTellさんも嬉しそうだ。そういえば私も小学校の頃は、給食がカレーの日はいつもよりテンションが上がっていた気がする。懐かしいな、あの頃はまだ、学校、大好きだったのに……
ルシルさんもTellさんも、懐かしいカレーライスの味に大満足だったようだ。ナヴィエも、何回も水を飲みながらどうにか食べきったみたいだ。
ナヴィエ曰く、「辛さの方が強いけど美味しい」らしい。その後、ナヴィエの口直しのためにライムさんが木の実ジュースを作ってくれたので、みんなで飲んだ。
ルシルさんとRUSHさんは自室に戻った。あまり木の実は好きじゃないそうだ。
「はぁ、舌が生き返る……」
「あはは、良かったね、」
「そういえば、なんで急に居なくなったりしたんだ?」
そうだ……あの時……ナヴィエは急にいなくなってしまった。さよならも言えずに……
「いえ、私はもう必要ないって判断されたんです。私はあくまで、このゲームのナビゲーターであって、アドバイザーではないですから、いつまでもついてまわるなんて出来ませんし、教えてあげられる人がいるから、KUMIさんは大丈夫かなって、」
「ごめん、『さよなら』も言えなくて……」
「いいんです、私はそんな存在ですから。むしろ、覚えてくださってたんですね……ありがとうございます……。」
悲しいな、ナビ妖精って……多分この世界のNPCで1番頑張ってるのに、最初のチュートリアルの時間しか居られないから、いつの間にか存在を忘れられてしまう。
「ガチャ」
ドアからライムさんが部屋に入って来た。
「空いたコップお下げしますね、」
「ああ、ありがとうございます。」
3人分のコップを持って出て行こうとしている間も、ナヴィエはライムさんを見ていた。
「やっぱり、お互いNPCだと分かっていても、本能には逆らえないですね。」
「そ……そうですね、」
ライムさんは少し震えながら言った。
「まぁ、今はあいにく、おなかいっぱいですけどね、」
「それを聞いて安心しましたよ……カレーライスをお作りして正解でしたね。」
ほんとにスライムとピクシーって、捕食者と捕食対象の関係なんだな……でも、カレー食べながらあんなに水飲んだから、もう物が入るスペースがないのだろう。
「これ、どうやったら止められるんでしょう?」
「さぁ、自然の摂理に逆らう必要は無いんじゃないか?」
「せめてもう少しライムさんが美味しくなさそうに見えたらいいんですけどね……」
美味しくなさそうにって……
「美味しくなさそう……そうだ! どちらか『スライムの素』をお持ちでないですか?2つ必要なんですけど、」
「スライムの素……?」
『モンスターを倒した。』
『アイテムドロップ:スライムの素』
そういえば、まだナヴィエと一緒の頃にスライムを倒してドロップした気がする。というか、もしかして……
「粘性の液体だな、何かの素材だろう」
あれ?そういえばかなり前に、その液体を見たような?
「Tellさん、あの時の宝箱から出てきた、水色のやつを貸してください!」
「えっ!? わ、わかった、」
ふたつのスライムの素をならべてみた。たしかに同じものだ。
「あとは、何か、進化素材になるものを……」
「進化素材なんてあるんですか……?」
「はい、モンスターと合成させて、新たなモンスターを生み出すアイテムです。でも、完璧に手懐けたモンスターに使わないと、暴走させてしまう可能性もあります。KUMIさんのペットのぼたんちゃんも、ラット系統のモンスターに『世界樹の苗木』とかを混ぜれば作れると思いますよ?」
「そ、そうなの?」
「キュキュッ?」
本人も知らないみたいだ……
「まぁ、自然界で合成してしまうパターンもあるからな」
「で、何か、私を不味そうにさせられるような進化素材持ってませんか?」
「え、えーと……?」
『モンスターを倒した!』
『アイテムドロップ:超回復の薬
                                     毒薬の素
                                     ポイズンダガー』 
うわ、見つけちゃったよ、最強のやつ、
「あの、これとかどうですか……?」
私は毒薬の素をバッグから取り出した。
「うげっ!? どどど、毒!?」
「おお! ナヴィエさんに効果覿面です!」
効果覿面どころの話じゃない気がする。
「じゃ、早速RUSHさんに合成してもらいに行ってきます!!」
「えっ!? あっ、ちょっ!?」
「バタン……」
ライムさん、コップ置いてったよ…………
食卓に着くと、人数分のカレーライスが盛り付けられていた。ニンジン、タマネギ、ジャガイモ、まだあちらの世界にいた頃に幾度となく食べたあの時のカレーライスが、何故か目の前にあった。ナヴィエの分は小皿に盛り付けてある。
「……これは?」
「『カレー』という異世界の食べ物です。冒険者の方々が、好んで食べていたものなんですよ?」
ナヴィエが小皿に盛られたカレーに近づき、手につけて舐めた
「美味しい……けど……」
「お気に召しませんでしたか?」
「か……辛い!」
「パヒュゥン!!」
水を貯めておいたバケツにすっ飛んで行った。どうやらナヴィエには辛すぎたらしい。
「辛くしすぎちゃったみたいですね……」
「いえ、私が辛いものに慣れてないだけなんです……出来れば、甘いものを横に添えていただければ……」
「……おい、なんでライムの方を見ている……?」
「いえ!!何も!!」
スライムって甘いのかな……
「ところで、なんでまたカレーライスを……?」
「ルシルさんがお好きだと仰っていたので、」
「ルシルさんが?」
「ああ、私からリクエストさせてもらった。昔からカレーは大好きでな、自分でも作ってよく食べていたんだが、こっちの世界に来てからは、ぱったりと料理をしなくなってしまった。」
確かに、仕事忙しいもんな、
「カレーは、JHARIBANさんもお好きで、よく2人で研究したんです。私が色々と試作品を作って、JHARIBANさんが、本物に似てるか判断してくれて、」
ここでもJHARIBANさんか、あの人が残した業績は凄いな……
「さぁ、食べよう、この世界のニンジンには自然治癒力を高める効能があるらしい。」
「おう、それはいいね、」
心なしかTellさんも嬉しそうだ。そういえば私も小学校の頃は、給食がカレーの日はいつもよりテンションが上がっていた気がする。懐かしいな、あの頃はまだ、学校、大好きだったのに……
ルシルさんもTellさんも、懐かしいカレーライスの味に大満足だったようだ。ナヴィエも、何回も水を飲みながらどうにか食べきったみたいだ。
ナヴィエ曰く、「辛さの方が強いけど美味しい」らしい。その後、ナヴィエの口直しのためにライムさんが木の実ジュースを作ってくれたので、みんなで飲んだ。
ルシルさんとRUSHさんは自室に戻った。あまり木の実は好きじゃないそうだ。
「はぁ、舌が生き返る……」
「あはは、良かったね、」
「そういえば、なんで急に居なくなったりしたんだ?」
そうだ……あの時……ナヴィエは急にいなくなってしまった。さよならも言えずに……
「いえ、私はもう必要ないって判断されたんです。私はあくまで、このゲームのナビゲーターであって、アドバイザーではないですから、いつまでもついてまわるなんて出来ませんし、教えてあげられる人がいるから、KUMIさんは大丈夫かなって、」
「ごめん、『さよなら』も言えなくて……」
「いいんです、私はそんな存在ですから。むしろ、覚えてくださってたんですね……ありがとうございます……。」
悲しいな、ナビ妖精って……多分この世界のNPCで1番頑張ってるのに、最初のチュートリアルの時間しか居られないから、いつの間にか存在を忘れられてしまう。
「ガチャ」
ドアからライムさんが部屋に入って来た。
「空いたコップお下げしますね、」
「ああ、ありがとうございます。」
3人分のコップを持って出て行こうとしている間も、ナヴィエはライムさんを見ていた。
「やっぱり、お互いNPCだと分かっていても、本能には逆らえないですね。」
「そ……そうですね、」
ライムさんは少し震えながら言った。
「まぁ、今はあいにく、おなかいっぱいですけどね、」
「それを聞いて安心しましたよ……カレーライスをお作りして正解でしたね。」
ほんとにスライムとピクシーって、捕食者と捕食対象の関係なんだな……でも、カレー食べながらあんなに水飲んだから、もう物が入るスペースがないのだろう。
「これ、どうやったら止められるんでしょう?」
「さぁ、自然の摂理に逆らう必要は無いんじゃないか?」
「せめてもう少しライムさんが美味しくなさそうに見えたらいいんですけどね……」
美味しくなさそうにって……
「美味しくなさそう……そうだ! どちらか『スライムの素』をお持ちでないですか?2つ必要なんですけど、」
「スライムの素……?」
『モンスターを倒した。』
『アイテムドロップ:スライムの素』
そういえば、まだナヴィエと一緒の頃にスライムを倒してドロップした気がする。というか、もしかして……
「粘性の液体だな、何かの素材だろう」
あれ?そういえばかなり前に、その液体を見たような?
「Tellさん、あの時の宝箱から出てきた、水色のやつを貸してください!」
「えっ!? わ、わかった、」
ふたつのスライムの素をならべてみた。たしかに同じものだ。
「あとは、何か、進化素材になるものを……」
「進化素材なんてあるんですか……?」
「はい、モンスターと合成させて、新たなモンスターを生み出すアイテムです。でも、完璧に手懐けたモンスターに使わないと、暴走させてしまう可能性もあります。KUMIさんのペットのぼたんちゃんも、ラット系統のモンスターに『世界樹の苗木』とかを混ぜれば作れると思いますよ?」
「そ、そうなの?」
「キュキュッ?」
本人も知らないみたいだ……
「まぁ、自然界で合成してしまうパターンもあるからな」
「で、何か、私を不味そうにさせられるような進化素材持ってませんか?」
「え、えーと……?」
『モンスターを倒した!』
『アイテムドロップ:超回復の薬
                                     毒薬の素
                                     ポイズンダガー』 
うわ、見つけちゃったよ、最強のやつ、
「あの、これとかどうですか……?」
私は毒薬の素をバッグから取り出した。
「うげっ!? どどど、毒!?」
「おお! ナヴィエさんに効果覿面です!」
効果覿面どころの話じゃない気がする。
「じゃ、早速RUSHさんに合成してもらいに行ってきます!!」
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