カースオブダンジョン~あなたと私の心中旅行~
議論の内容
「よし、そろそろ行くか、」
スキルガチャを後にしてしばらく歩いていると、ふと、疑問が浮かんだ。
「でも、なんでこんな『スキルガチャ』なんてものを作ったんでしょうか?」
「Tellのような強いスキルを使いこなす、Tellに立ち向かえるプレイヤーを作るためだな、」
「でも、Tellさんもガチャを引ける訳ですよね?」
「ひとりで引ける数には限りがあるだろう、それに、同じプレイヤーに何十個もスキルを持たせる訳にも行かない、魔法石もそう簡単には手に入らないんじゃないか?」
そんな難しい状況でTellさんに匹敵するスキルを持ったプレイヤー、本当に現れるのかな……?
エンプラット文化美術館の前にまで来た
「いいや!! あれは残しておくべきだ!!」
「俺だって残したいさ!! でもこんな所に描かれても困るだろう!!」
何やら外が騒がしい、村人たちが揉めているようだ。
「どうしたんですか?」
「どうしたもこうしたも無いんだよ! お前、『カルキノス』っていう画家を知ってんだろ?」
カルキノス……確か、絵の中のダンジョンのボスだったよな、
「カルキノスさんは正体不明の画家だ、この世界のどこかの美術館に、いきなり現れては絵を描いて、我々に姿も見せずに去っていくんだ」
「あの人がなんと! 絵を描いて下さったんだよ!! なのにこいつが『あの絵は消すべきなんだ!!』とか言って、」
「しょうがないだろ!! 彫刻の裏に書いてあんだから!! 元々の展示品だった彫刻を優先すべきだろう!!」
「価値が高いのはカルキノスの絵だ!!」
「彫刻の作者が浮かばれないだろ!!」
「ガヤガヤワチャワチャ…………」
……キリが無いな、でもカルキノスってただの思念体だったよな、どうやって絵を描いたんだろう?
「あの、その絵を見せてくれませんか?」
「本当はまだ美術館は開館してないんだけど、特別に見せてやろう」
「ありがとうございます!」
見ると、確かに彫刻の裏に描かれていた。
『封印された男』
という、巨大な石版に体が埋まった男の彫刻、その石版の裏には、
『勇者たち』
と題された3匹のネズミの絵があった。3匹とも冒険者の格好をしており、そのうちの1匹はその体長をはるかに超える大剣を掲げていた。
「これって……」
「間違いないな、カルキノスの絵だ」
カルキノスさん、私たちの絵を描いてくれたんだ……
「なっ? 素晴らしいだろう? 力ない人間が強大な敵に立ち向かう姿を、地の底から這い上がっていくネズミに例えた、その発想力だよ!!」
なんか、めっちゃ熱弁されてるな。
「だからこの素晴らしい絵は残すべきなんだよ!!」
「彫刻を優先すべきだ!!」
「ガヤガヤワチャワチャ…………」
「…………もう、絵が描かれてる部分だけ、切り取ればいいんじゃないかな」
「……それだ!!」
これだけ人数がいてなぜ気が付かなかった…………
リハビリを終え、何とかRUSHさんの家までたどり着いた。
「ただいま、」
と、Tellさんが言うと、ライムさんが出迎えてくれた。
「あっ、おかえりなさい! 皆さん、」
ライムさんは先程まで店番をしていたようだ。
「RUSHさんは?」
「今、工房で作業をしています。お呼び致しましょうか?」
「いいよ、用があれば俺たちで行くし、」
「分かりました、では、そろそろ、お夕飯の準備をしないと」
そう言ってライムは店を閉め、調理場へと向かった。
「あれ? 妙だな……」
急にTellさんが呟いた。
「作業場で作業してんなら、鉄を打ち付ける音が聞こえるはずなんだけど……」
確かに、ライムさんが包丁で野菜を切る音が聞こえるだけで、他にはなんの音も聞こえない、
「工房の方に行ってみるか?」
「そうだね、様子を見に行こう」
工房に入ると、RUSHさんがビンの中身を覗き込みながら何やら独り言を喋っていた。その後、こちらの様子に気付き、
「おお、やっと来てくれたか! 待ってたんだよ、実はさっき庭で仕事をしていたんだが、こんなやつを捕まえて、」
その瓶の中にはどこか見覚えのある羽の生えた小人のような生き物が力一杯にビンを叩いていた。
「ほら、ピクシーってスライムを食うだろ? だから、うちのライムを襲うために偵察に来たんだろうって思って閉じ込めたんだ。
そしたらこいつ『Tellさんに用があるんです』って言ってるからさ、仕方なくお前が来るまで身柄を拘束してたわけだよ」
「あっTellさん! たすけてください! 私、この人に誤解されて捕まってるんです!!」
こいつやっぱり……
「ナビ妖精のナヴィエと申します。あなたの冒険をサポートさせていただきます!」
 
「RUSHさん、この人、私たちのナビ妖精だった人です。」
「えっ!? 本当にお前らの知り合いだったのか?」
「は、はい……」
ナヴィエ、かわいそうに……スライムのいる家に来てしまったばっかりに……
スキルガチャを後にしてしばらく歩いていると、ふと、疑問が浮かんだ。
「でも、なんでこんな『スキルガチャ』なんてものを作ったんでしょうか?」
「Tellのような強いスキルを使いこなす、Tellに立ち向かえるプレイヤーを作るためだな、」
「でも、Tellさんもガチャを引ける訳ですよね?」
「ひとりで引ける数には限りがあるだろう、それに、同じプレイヤーに何十個もスキルを持たせる訳にも行かない、魔法石もそう簡単には手に入らないんじゃないか?」
そんな難しい状況でTellさんに匹敵するスキルを持ったプレイヤー、本当に現れるのかな……?
エンプラット文化美術館の前にまで来た
「いいや!! あれは残しておくべきだ!!」
「俺だって残したいさ!! でもこんな所に描かれても困るだろう!!」
何やら外が騒がしい、村人たちが揉めているようだ。
「どうしたんですか?」
「どうしたもこうしたも無いんだよ! お前、『カルキノス』っていう画家を知ってんだろ?」
カルキノス……確か、絵の中のダンジョンのボスだったよな、
「カルキノスさんは正体不明の画家だ、この世界のどこかの美術館に、いきなり現れては絵を描いて、我々に姿も見せずに去っていくんだ」
「あの人がなんと! 絵を描いて下さったんだよ!! なのにこいつが『あの絵は消すべきなんだ!!』とか言って、」
「しょうがないだろ!! 彫刻の裏に書いてあんだから!! 元々の展示品だった彫刻を優先すべきだろう!!」
「価値が高いのはカルキノスの絵だ!!」
「彫刻の作者が浮かばれないだろ!!」
「ガヤガヤワチャワチャ…………」
……キリが無いな、でもカルキノスってただの思念体だったよな、どうやって絵を描いたんだろう?
「あの、その絵を見せてくれませんか?」
「本当はまだ美術館は開館してないんだけど、特別に見せてやろう」
「ありがとうございます!」
見ると、確かに彫刻の裏に描かれていた。
『封印された男』
という、巨大な石版に体が埋まった男の彫刻、その石版の裏には、
『勇者たち』
と題された3匹のネズミの絵があった。3匹とも冒険者の格好をしており、そのうちの1匹はその体長をはるかに超える大剣を掲げていた。
「これって……」
「間違いないな、カルキノスの絵だ」
カルキノスさん、私たちの絵を描いてくれたんだ……
「なっ? 素晴らしいだろう? 力ない人間が強大な敵に立ち向かう姿を、地の底から這い上がっていくネズミに例えた、その発想力だよ!!」
なんか、めっちゃ熱弁されてるな。
「だからこの素晴らしい絵は残すべきなんだよ!!」
「彫刻を優先すべきだ!!」
「ガヤガヤワチャワチャ…………」
「…………もう、絵が描かれてる部分だけ、切り取ればいいんじゃないかな」
「……それだ!!」
これだけ人数がいてなぜ気が付かなかった…………
リハビリを終え、何とかRUSHさんの家までたどり着いた。
「ただいま、」
と、Tellさんが言うと、ライムさんが出迎えてくれた。
「あっ、おかえりなさい! 皆さん、」
ライムさんは先程まで店番をしていたようだ。
「RUSHさんは?」
「今、工房で作業をしています。お呼び致しましょうか?」
「いいよ、用があれば俺たちで行くし、」
「分かりました、では、そろそろ、お夕飯の準備をしないと」
そう言ってライムは店を閉め、調理場へと向かった。
「あれ? 妙だな……」
急にTellさんが呟いた。
「作業場で作業してんなら、鉄を打ち付ける音が聞こえるはずなんだけど……」
確かに、ライムさんが包丁で野菜を切る音が聞こえるだけで、他にはなんの音も聞こえない、
「工房の方に行ってみるか?」
「そうだね、様子を見に行こう」
工房に入ると、RUSHさんがビンの中身を覗き込みながら何やら独り言を喋っていた。その後、こちらの様子に気付き、
「おお、やっと来てくれたか! 待ってたんだよ、実はさっき庭で仕事をしていたんだが、こんなやつを捕まえて、」
その瓶の中にはどこか見覚えのある羽の生えた小人のような生き物が力一杯にビンを叩いていた。
「ほら、ピクシーってスライムを食うだろ? だから、うちのライムを襲うために偵察に来たんだろうって思って閉じ込めたんだ。
そしたらこいつ『Tellさんに用があるんです』って言ってるからさ、仕方なくお前が来るまで身柄を拘束してたわけだよ」
「あっTellさん! たすけてください! 私、この人に誤解されて捕まってるんです!!」
こいつやっぱり……
「ナビ妖精のナヴィエと申します。あなたの冒険をサポートさせていただきます!」
 
「RUSHさん、この人、私たちのナビ妖精だった人です。」
「えっ!? 本当にお前らの知り合いだったのか?」
「は、はい……」
ナヴィエ、かわいそうに……スライムのいる家に来てしまったばっかりに……
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