ついに種明かし

「Tell、どういうつもりだ？」

「言葉の通りだよ、最終兵器が届いた。それを使う。」

最終兵器……？ Tellさん、何かを隠していたのか……？

「あいつを壊すことの出来る人間なんていない、ならば、人間を遥かに凌駕する様な、強大な力でぶっ叩く！ それしかない、」

「なるほどな、全て理解した。」

今のヒントで理解出来たんだ……凄いな……

「ルシルさんにも協力してもらうよ？ 君がやることは一つだけだ。俺がジャンプした時、ヴァオレスを俺に打つ、それだけだよ」

「ヴァオレスって……」

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「バキッ！！」

「うわぁっ！？」

「とまぁこんな感じに引きちぎる事が可能な訳だ。」

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「あの時、南京錠を引きちぎった魔法……」

「了解、少々不本意だが、その作戦、乗ったよ、」

「頼んだぞ……！」

Tellさんは息を整え、カルキノスの方に向かった。

「クイックイクイップ！！」

「ジャキンッ！！」

装備している武器がフラッシュレイピアに変わる。Tellさんはどんどん加速していき、カルキノスへと近づいていく、

「Tellのやつ、耐えられるかな？」

「えっ……！？ どういう事ですか！？」

「この作戦、かなりリスクが高い、もしかしたら、共倒れになるかもしれん、」

「そ、そんな……！？」

「その時の為に、一応治療の準備をしておけ、お前の相棒は、お前が守るんだ。」

私の相棒は、私が守る……

「シュタッ！！」

Tellさんがジャンプした！ フラッシュレイピアを装備しているせいか、いつもより高く飛び上がった。

「今だ！！ ルシル！！」

「ヴァオレス！！」

「クイックイクイップ！！」

「ジャキィィィンッ！！」

……私は目の前の光景を見て、目を疑った。

「あ、あれは……！？」

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「人間を遥かに凌駕する様な、強大な力でぶっ叩く！」

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「一時的な攻撃力アップの魔法だ。」

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「すげぇなぁ……人類にはまだ早すぎる剣……」

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Tellさんが持っていたのは、あの時、RUSHさんのお店で失敗作だと言われていた。『裂星剣れっせいけんパーセク』だった。

「うわ、あいつ、本当にやりやがった……」

Tellさんは巨大なその剣を軽々と持ち上げ、大きく振りかぶった。

「切り裂け！！『裂星剣パーセク』よ！！ スラッシュダァァァイブ！！」

「ジャキンッ！！……ドゴォォォォン！！！」

巨大な魔法石は真っ二つに切り裂かれ、結界牢は崩壊した。

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「……やってくれたか、ありがとう」

カルキノスは結界牢から解き放たれ、ふわふわと浮いていた。

「君たちが僕を導いてくれたおかげで、また、僕は画家に戻れそうだ。またどこかで逢おう、勇者たちよ！」
 
カルキノスの姿が光り、そのまま光の粒子となって、カルキノスは消えた。

『モンスターを倒した！』
『アイテムドロップ:不思議な絵の具
                                     魔力の剣
                                     魔法石』

部屋の隅にワープホールが出現した。これでようやく帰れる。

「Tellさん、やりましたね！！」

「ああ……そう……だな……」

「…………バタッ！」

突如Tellさんが倒れてしまった。

「……！？ Tellさん！？」

「Tell！！ 大丈夫か！？」

「あはは……ちょっと疲れちゃったみたいだ……」

「むしろよくそこまで持ったよ、クイックイクイップの連続使用でspを使いまくったくせに、あんなバカでかい剣を持ち上げるなんて……」

しかもヴァオレスは自分に返ってくる反動も大きい、今のTellさんはもう、ボロボロだった。

「そうだ！ さっきぼたんが薬草を出してくれて、ポーションを作ったんです。」

再生ポーションとHP回復ポーションを渡した。

「ありがとう、」
 
ポーションと包帯で応急処置をし、ワープホールを通ってダンジョンの外に出た。

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「助けてくださってありがとうございました！！」

「良かったです、ライムさんが無事で、」

はぁ、長かった……

今回のダンジョンは普段より大分長かったような気がする。時刻は既に3時を超えていた。

「ところでTell、あれ、どうやったんだ？」

「ん？ なんのこと？」

「何って、あのでっかい剣だよ、」

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「切り裂け！！『裂星剣パーセク』よ！ スラッシュダァァァイブ！！」

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「明らかにあれ、人の装備できるような武器じゃないだろう、どういうからくりだ？」

確かに、あの剣はとても装備できるような武器じゃなかった。パーセクの装備適正レベルは4560、プレイヤーレベルは999でカンスト、普通に考えて無理な話だ。

「実はさ、さっきのラスボス戦でレベルが上がって、レベル40になったんだ。ちなみにさっきのバトルで使ってたフラッシュレイピアは装備適正レベルが40、これ、どういうことだと思う？」

「どういう事って……ん？……なんかこれ、矛盾してません？」

ボスを倒してレベル40になったなら、その前はレベル39だったってことだ。でも、Tellさんは装備適正レベルが40の武器を、ボス戦で使っていたってこと……？

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「『クイックイクイップ』だって、」

「どんなスキルなんですか？」

「なんか、アイテムストレージにある武器と、装備している武器を入れ替えるらしい、」

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「そう、あくまで『武器を入れ替える』だけ、だから武器が入れ替わったあとも、入れ替わる前の武器を装備している判定になる。例え装備適正レベルに届いていなくとも、『装備していない状態』で武器を扱えるんだよ、」

「ただのインチキじゃないですか！！！」

「完っ全にチートだな、」

「いや、チートというより、バグ技に近いかもしれない。」

バグ技を使ったという、ちょっとした罪悪感に襲われながら、私たちは警備員のいなくなった美術館をあとにした。