カースオブダンジョン~あなたと私の心中旅行~
本の不思議
本を開くと、童話や、昔話のような語り口調で、文章が綴られていた。
『ジャリバンと不思議な剣』
「むかしむかしのそのむかし、君がまだ、この世界に入ってくる前のことです。ジャリバンという名の若い鍛治職人がおりました。
彼の作る剣はとても丈夫で、切れ味も良いと言われ、町を守る兵士や、外へ冒険に向かう冒険者たちにとても重宝されました。
ジャリバンは元々、この世界を旅する冒険者の1人でした。だからこそ、外の世界で得た知識や経験を、武器の発明に活かすことが出来たのです。」
『それ以上は見ないで!!』
「うわっ!?」
次のページをめくると、そこに文章はなく、赤いクレヨンのようなもので書かれた落書きがあった。大きな文字で『それ以上は見ないで』と書かれている。
「もしかしたらこの本は、彼女の意志と繋がっているのかもしれないな、」
「なるほど、じゃあ……」
私はポルターガイストが散らかしたものの中に、割れたインク瓶と1本の羽根ペンを見つけた。瓶が割れた場所には、大きな黒いインク溜りが出来ている。
「これで、ライムさんとの意思疎通が出来るかどうか、試して見ます。」
私はクレヨンの落書きがあったページの余白に、『どうして見てはいけないんですか?』
と書いてみた。
『JHARIBANさんはいなくなったの、死んだのよ!』
また大きなクレヨンの落書きが出現した。
『お願いします、続きを読ませてください、あなたを助ける手がかりになるかもしれないんです。』
『あの人が望んだの、だからあの人は死んだの、』
JHARIBANさんが関わっているのか? もしや、この本に書かれているのはJHARIBANさんの行方? JHARIBANさんは死んだのではなかった?
『この本の続きには、JHARIBANさんの本当の行方が書かれているのですね?』
『それは』
『教えてくれませんか、何故そこまで、JHARIBANさんの死にこだわるのか、』
しばらくの沈黙の後、紙に水滴が落ちたように、ページが湿り始めた。
『でも、私にはJHARIBANさんしか』
この雫は、ライムさんの涙なのだろう、
『わかりました、読んでください。』
しばらくして、今までよりも小さい字で、ライムさんが文字を書いた。
『でも、この先で読んだこと、どうかRUSHさんにだけは、伝えないでください。お願いします。』
『わかりました。』
この先に、一体どんな秘密があるんだろうか? 2代目には絶対聞かれてはならない、先代の秘密……
ページを開くと、物語の続きが始まった、
「ある日のこと、ジャリバンがいつもの様に、刀鍛冶をしていると、黒い甲冑に身を包んだ集団客がやって来ました。彼らはジャリバンのお客さんのふりをして、ジャリバンに近づきました。
そして……
「ガサッ!」
「うわっ!?」
彼らは、ジャリバンを大きな麻袋の中に入れて袋を縛り、どこかへ連れ去ってしまったのです。
ジャリバンには、ラッシュという弟子がいましたが、ラッシュが走って追いかけても、彼らに追いつくことは出来ませんでした。」
本はここで最後のページを迎えた。なるほど、この黒い甲冑の人達は、おそらく黒ギルド達なのだろう、
JHARIBANさんはRUSHさんの目の前で連れ去られてしまったのか、でもその場にRUSHさんも居合わせたなら、隠す必要は無い、ということはまだ、この物語には続きがある。
「本棚に、この本の続編のような本はありませんか?」
「続編?その本で終わりではないのか?」
「はい、本が物語の途中で、途切れてしまっているんです。」
「そうか、Tell、手分けして探すぞ、」
「おう、わかった」
2人が本棚を探していると、一つだけかなり新しい本を見つけた。
『ジャリバンと黒い騎士団』
「これだ!」
「でかしたTell、早速読んでみてくれ」
『ジャリバンと黒い騎士団』
あれからラッシュは、町中を探し回りましたが、彼らの姿は見当たりませんでした。街の人に黒い騎士団について聞いてみても、誰もそんなものを見ていないと言って、ジャリバンを連れ去った集団の手がかりは掴めずに終わりました。
ジャリバンが捕まってから、いくつもの月日が流れました。
ラッシュがジャリバンのことを思い出しながら、刀鍛冶をしていると、1匹の伝書鳩が、手紙を咥えたまま窓から入ってきました。
伝書鳩は手紙を置いて、どこかへ飛び去ってしまいました。手紙は筒状に丸められ、赤い紐で結ばれていました。
ラッシュは、その紙をライムに見せ、ライムは紐を解きました。手紙は全部で2枚ありました。ラッシュに当てられたものと、ライムに当てられたものです。
2人はそれぞれの手紙を読みました。ライムに当てられた手紙には、こう書かれていました。
「ライムへ、急にこんなことになってしまって、本当に申し訳ない、
私は今、黒ギルドと呼ばれる組織に幽閉されている。黒ギルドは犯罪者組織だ、悪逆非道の限りを尽くす。
私はそんな彼らに協力しなければならない状況に陥ったのだ。理由は簡単だ。君たちを人質に取られた。
しかし、私は諦めないつもりだ。今でもひっそりと脱出のチャンスを伺っている。
私は必ず君たちの元に帰ってくる。だからそれまで、私は死んだことにしてくれないか?
ラッシュは真っ直ぐな少年だ。私が生きていると知ったら、きっとこの場所にまで来てしまう。あらゆる常識の通じない、とんでもなく危険なこの場所に、
だから、ラッシュのこと、君に頼んだよ。君しか、彼を守れないからね。」
ここで最後のページを迎えた。
『絶対秘密ですからね』
ページの余白に小さな文字が出現した。
『JHARIBANさんが私に課してくれた、最後の仕事になるかもしれないんです。最後まで、全うさせてください。』
『分かりました。絶対秘密にしておきます。』
そう書いて、私は本を閉じた。
『ジャリバンと不思議な剣』
「むかしむかしのそのむかし、君がまだ、この世界に入ってくる前のことです。ジャリバンという名の若い鍛治職人がおりました。
彼の作る剣はとても丈夫で、切れ味も良いと言われ、町を守る兵士や、外へ冒険に向かう冒険者たちにとても重宝されました。
ジャリバンは元々、この世界を旅する冒険者の1人でした。だからこそ、外の世界で得た知識や経験を、武器の発明に活かすことが出来たのです。」
『それ以上は見ないで!!』
「うわっ!?」
次のページをめくると、そこに文章はなく、赤いクレヨンのようなもので書かれた落書きがあった。大きな文字で『それ以上は見ないで』と書かれている。
「もしかしたらこの本は、彼女の意志と繋がっているのかもしれないな、」
「なるほど、じゃあ……」
私はポルターガイストが散らかしたものの中に、割れたインク瓶と1本の羽根ペンを見つけた。瓶が割れた場所には、大きな黒いインク溜りが出来ている。
「これで、ライムさんとの意思疎通が出来るかどうか、試して見ます。」
私はクレヨンの落書きがあったページの余白に、『どうして見てはいけないんですか?』
と書いてみた。
『JHARIBANさんはいなくなったの、死んだのよ!』
また大きなクレヨンの落書きが出現した。
『お願いします、続きを読ませてください、あなたを助ける手がかりになるかもしれないんです。』
『あの人が望んだの、だからあの人は死んだの、』
JHARIBANさんが関わっているのか? もしや、この本に書かれているのはJHARIBANさんの行方? JHARIBANさんは死んだのではなかった?
『この本の続きには、JHARIBANさんの本当の行方が書かれているのですね?』
『それは』
『教えてくれませんか、何故そこまで、JHARIBANさんの死にこだわるのか、』
しばらくの沈黙の後、紙に水滴が落ちたように、ページが湿り始めた。
『でも、私にはJHARIBANさんしか』
この雫は、ライムさんの涙なのだろう、
『わかりました、読んでください。』
しばらくして、今までよりも小さい字で、ライムさんが文字を書いた。
『でも、この先で読んだこと、どうかRUSHさんにだけは、伝えないでください。お願いします。』
『わかりました。』
この先に、一体どんな秘密があるんだろうか? 2代目には絶対聞かれてはならない、先代の秘密……
ページを開くと、物語の続きが始まった、
「ある日のこと、ジャリバンがいつもの様に、刀鍛冶をしていると、黒い甲冑に身を包んだ集団客がやって来ました。彼らはジャリバンのお客さんのふりをして、ジャリバンに近づきました。
そして……
「ガサッ!」
「うわっ!?」
彼らは、ジャリバンを大きな麻袋の中に入れて袋を縛り、どこかへ連れ去ってしまったのです。
ジャリバンには、ラッシュという弟子がいましたが、ラッシュが走って追いかけても、彼らに追いつくことは出来ませんでした。」
本はここで最後のページを迎えた。なるほど、この黒い甲冑の人達は、おそらく黒ギルド達なのだろう、
JHARIBANさんはRUSHさんの目の前で連れ去られてしまったのか、でもその場にRUSHさんも居合わせたなら、隠す必要は無い、ということはまだ、この物語には続きがある。
「本棚に、この本の続編のような本はありませんか?」
「続編?その本で終わりではないのか?」
「はい、本が物語の途中で、途切れてしまっているんです。」
「そうか、Tell、手分けして探すぞ、」
「おう、わかった」
2人が本棚を探していると、一つだけかなり新しい本を見つけた。
『ジャリバンと黒い騎士団』
「これだ!」
「でかしたTell、早速読んでみてくれ」
『ジャリバンと黒い騎士団』
あれからラッシュは、町中を探し回りましたが、彼らの姿は見当たりませんでした。街の人に黒い騎士団について聞いてみても、誰もそんなものを見ていないと言って、ジャリバンを連れ去った集団の手がかりは掴めずに終わりました。
ジャリバンが捕まってから、いくつもの月日が流れました。
ラッシュがジャリバンのことを思い出しながら、刀鍛冶をしていると、1匹の伝書鳩が、手紙を咥えたまま窓から入ってきました。
伝書鳩は手紙を置いて、どこかへ飛び去ってしまいました。手紙は筒状に丸められ、赤い紐で結ばれていました。
ラッシュは、その紙をライムに見せ、ライムは紐を解きました。手紙は全部で2枚ありました。ラッシュに当てられたものと、ライムに当てられたものです。
2人はそれぞれの手紙を読みました。ライムに当てられた手紙には、こう書かれていました。
「ライムへ、急にこんなことになってしまって、本当に申し訳ない、
私は今、黒ギルドと呼ばれる組織に幽閉されている。黒ギルドは犯罪者組織だ、悪逆非道の限りを尽くす。
私はそんな彼らに協力しなければならない状況に陥ったのだ。理由は簡単だ。君たちを人質に取られた。
しかし、私は諦めないつもりだ。今でもひっそりと脱出のチャンスを伺っている。
私は必ず君たちの元に帰ってくる。だからそれまで、私は死んだことにしてくれないか?
ラッシュは真っ直ぐな少年だ。私が生きていると知ったら、きっとこの場所にまで来てしまう。あらゆる常識の通じない、とんでもなく危険なこの場所に、
だから、ラッシュのこと、君に頼んだよ。君しか、彼を守れないからね。」
ここで最後のページを迎えた。
『絶対秘密ですからね』
ページの余白に小さな文字が出現した。
『JHARIBANさんが私に課してくれた、最後の仕事になるかもしれないんです。最後まで、全うさせてください。』
『分かりました。絶対秘密にしておきます。』
そう書いて、私は本を閉じた。
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蛇使い座のな~が
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