カースオブダンジョン~あなたと私の心中旅行~
我が道を進む
朝、下の階から聞こえる金属音で目が覚めた。
「キーン カーン キーン カーン」
JHARIBANのお弟子さんがひたすらに剣を叩いている。ライムさんはその様子をちらちらと確認しながら、4人分の朝食を用意していた。
下の階へと降りる、
「おはようございます。」
「あれ? ごめんな、起こしちまったみたいだ。おはよう、」
お弟子さんの叩いている剣には、JHARIBANの名前はなかった。柄の部分に大きく『RUSH』と書かれている。
「これは?」
「ああ、これは、『ブラックウィンド』っていう剣を模倣して作ったんだ。」
「模倣して?」
「実際にアイテムとして存在する剣を模倣して、剣を作るんだよ。」
「この、『RUSH』っていうのは、」
「ああ、そういえば、自己紹介がまだだったな、俺は『RUSH』この鍛冶屋で武器を作って販売している。JHARIBANっていうのは、俺の師匠の名だ。って、ここまでは聞いてたっけ?」
「はい、ライムさんから、」
なるほど、RUSHさんか、でも、なんで自分の名前を彫っていたんだ? 普通は店名を彫るべきなのに、
「ちなみに、この剣は売り物じゃない、練習用に作ったものだ。」
「練習用?」
「ああ、1回テストで作ってみてから、商品を作る。練習用と完成品を区別するために、練習用には俺の名前、完成品には店名を彫るんだ。」
RUSHさんの説明を聞いていると、Tellさんが降りてきた。
「おはよう、」
「おはようございます、Tellさん、」
Tellさんはまだ、眠そうだったが、すぐに作りかけの剣に興味を示した。
「これは、君が?」
「ああ、俺の作品だ」
Tellさんは剣をまじまじと見つめて、
「ブラックウィンドか、」
と呟いた。
「知ってるんですか?」
「まあね、レベル40から装備できるようになる、1番スタンダードな剣だろう、」
そういえば、
「ちなみに40になると装備できる武器の数がめちゃくちゃ増えるよ、」
「へぇ~そうなんですね、」
なんてことをTellさんから言われてたっけ、
「そういえば、Tellさんは今レベル39なんですよね?」
「そうだね、レベルがあと1つ上がれば装備できる。装備できるレベルになったら、また買いに来るよ、」
「いや、実はこの剣はまだ試作段階でさ、悪いけど製品版が出てからにしてくれないか? かなり先の話にはなりそうなんだけど、」
「考えておくよ、」
「先生? 朝食が出来ましたよ?」
「おお、ありがとう、」
「KUMIさん達もご一緒にどうぞ?」
「ありがとう、いただくよ、」
ふと、自分がかなりお腹が減っていたことに
気づいた。よし、早く食べよう。
私達は声を合わせて「いただきます」と言った。こうして誰かと食卓を囲うのはいつぶりだろうか……
美味しかった、特別な調味料もない、平凡な料理なのに、何故か特別な暖かさを感じた。「愛情の味」とでも表現しようか、
「ごちそうさまでした。お皿はどこに下げればいいですか?」
「ああ、そのままでいいですよ、お下げしますので、」
RUSHさんは朝食を食べ終えて席を立つと、先程の作業場へと戻った。
「ライム、しばらく俺仕事に戻ってっから、」
「はい、先生、私、野暮用があるので外に出てますね、」
「わかった、遅くならないうちに帰ってこいよ? 店番は俺がやっとくから、」
「はい、じゃあ行ってきます、」
「行ってらっしゃい、」
ライムさんは肌の色を、通常の人間とも遜色のない肌色へと変化させた。確かにそれは、パッと見はほかの人間のNPCとも見分けがつかないほどの見事な変そうだった。
「あの、RUSH、」
「ん? どうした?」
「店の方を見させてもらってもいいかな?」
「ああ、いいぜ、こっちだ、」
RUSHに手を引かれて店の方へと案内された。
「ここが、俺の師匠の店だ。今は俺が引き継いでる。」
そこは確かに武器屋の装いだったが、商品を覆うショーケースや、ディスプレイなどから、美術館のようにも感じられた。
「……凄い」
「だろ? 師匠の残した最後の作品だよ、」
私はふと、この店の美術館っぽさに拍車をかけている、数枚の絵に目をやった。綺麗な水彩画が3点、鉛筆画が1点、さらには、あのルテケト湿原の風景を描いた油絵もあった。
「この絵はなんですか?」
「ライムが描いたんだよ、ここいらは絵の文化も盛んだから、素人がちょちょっと描いた絵でも、意外と高く売れるんだよ、」
「あっ、そうなんですね、」
「だからたまに、うちの経営の足しにするために、あいつは画材を持って外に出ては、風景画を描いて路上で売ってるんだ、」
確かにこのあたりは工房ばっかりあるもんな、そのほとんどが芸術家の人が使っているアトリエなのかもしれない。
「1枚何マニくらいなんだ?」
「500マニ、くらいかな?」
このゲームの世界で考えると結構高いけど、現実世界で考えると安いな……
「キーン カーン キーン カーン」
JHARIBANのお弟子さんがひたすらに剣を叩いている。ライムさんはその様子をちらちらと確認しながら、4人分の朝食を用意していた。
下の階へと降りる、
「おはようございます。」
「あれ? ごめんな、起こしちまったみたいだ。おはよう、」
お弟子さんの叩いている剣には、JHARIBANの名前はなかった。柄の部分に大きく『RUSH』と書かれている。
「これは?」
「ああ、これは、『ブラックウィンド』っていう剣を模倣して作ったんだ。」
「模倣して?」
「実際にアイテムとして存在する剣を模倣して、剣を作るんだよ。」
「この、『RUSH』っていうのは、」
「ああ、そういえば、自己紹介がまだだったな、俺は『RUSH』この鍛冶屋で武器を作って販売している。JHARIBANっていうのは、俺の師匠の名だ。って、ここまでは聞いてたっけ?」
「はい、ライムさんから、」
なるほど、RUSHさんか、でも、なんで自分の名前を彫っていたんだ? 普通は店名を彫るべきなのに、
「ちなみに、この剣は売り物じゃない、練習用に作ったものだ。」
「練習用?」
「ああ、1回テストで作ってみてから、商品を作る。練習用と完成品を区別するために、練習用には俺の名前、完成品には店名を彫るんだ。」
RUSHさんの説明を聞いていると、Tellさんが降りてきた。
「おはよう、」
「おはようございます、Tellさん、」
Tellさんはまだ、眠そうだったが、すぐに作りかけの剣に興味を示した。
「これは、君が?」
「ああ、俺の作品だ」
Tellさんは剣をまじまじと見つめて、
「ブラックウィンドか、」
と呟いた。
「知ってるんですか?」
「まあね、レベル40から装備できるようになる、1番スタンダードな剣だろう、」
そういえば、
「ちなみに40になると装備できる武器の数がめちゃくちゃ増えるよ、」
「へぇ~そうなんですね、」
なんてことをTellさんから言われてたっけ、
「そういえば、Tellさんは今レベル39なんですよね?」
「そうだね、レベルがあと1つ上がれば装備できる。装備できるレベルになったら、また買いに来るよ、」
「いや、実はこの剣はまだ試作段階でさ、悪いけど製品版が出てからにしてくれないか? かなり先の話にはなりそうなんだけど、」
「考えておくよ、」
「先生? 朝食が出来ましたよ?」
「おお、ありがとう、」
「KUMIさん達もご一緒にどうぞ?」
「ありがとう、いただくよ、」
ふと、自分がかなりお腹が減っていたことに
気づいた。よし、早く食べよう。
私達は声を合わせて「いただきます」と言った。こうして誰かと食卓を囲うのはいつぶりだろうか……
美味しかった、特別な調味料もない、平凡な料理なのに、何故か特別な暖かさを感じた。「愛情の味」とでも表現しようか、
「ごちそうさまでした。お皿はどこに下げればいいですか?」
「ああ、そのままでいいですよ、お下げしますので、」
RUSHさんは朝食を食べ終えて席を立つと、先程の作業場へと戻った。
「ライム、しばらく俺仕事に戻ってっから、」
「はい、先生、私、野暮用があるので外に出てますね、」
「わかった、遅くならないうちに帰ってこいよ? 店番は俺がやっとくから、」
「はい、じゃあ行ってきます、」
「行ってらっしゃい、」
ライムさんは肌の色を、通常の人間とも遜色のない肌色へと変化させた。確かにそれは、パッと見はほかの人間のNPCとも見分けがつかないほどの見事な変そうだった。
「あの、RUSH、」
「ん? どうした?」
「店の方を見させてもらってもいいかな?」
「ああ、いいぜ、こっちだ、」
RUSHに手を引かれて店の方へと案内された。
「ここが、俺の師匠の店だ。今は俺が引き継いでる。」
そこは確かに武器屋の装いだったが、商品を覆うショーケースや、ディスプレイなどから、美術館のようにも感じられた。
「……凄い」
「だろ? 師匠の残した最後の作品だよ、」
私はふと、この店の美術館っぽさに拍車をかけている、数枚の絵に目をやった。綺麗な水彩画が3点、鉛筆画が1点、さらには、あのルテケト湿原の風景を描いた油絵もあった。
「この絵はなんですか?」
「ライムが描いたんだよ、ここいらは絵の文化も盛んだから、素人がちょちょっと描いた絵でも、意外と高く売れるんだよ、」
「あっ、そうなんですね、」
「だからたまに、うちの経営の足しにするために、あいつは画材を持って外に出ては、風景画を描いて路上で売ってるんだ、」
確かにこのあたりは工房ばっかりあるもんな、そのほとんどが芸術家の人が使っているアトリエなのかもしれない。
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コメント
蛇使い座のな~が
最近リアルの方が一段落し、また、普段通りに投稿出来そうです。皆さまお待たせして本当に申し訳ありませんでした。それでは最新話をお楽しみください