カースオブダンジョン~あなたと私の心中旅行~
立ち上がった結果
「君、名前は?」
「ライ厶です。先生が付けてくださった名前です。」
「先生?」
「鍛冶屋の先生です。いつもそこで働かせてもらっています。」
鍛冶屋で働いているのか、モンスターでも、人間界で働けるってことか、
「実は、私おつかいの最中だったんです。」
「おつかい?」
「はい、剣の材料を届けないといけなくて、製鉄用の燃料とか、鉄鉱石とかを採掘場の人から買ってきて、」
大変だな……
「ちなみにその鍛冶屋って言うのは作った武器も売ってたりするの?」
「はい、『鍛冶屋の店 JHARIBAN』っていうんですけど……」
「なんだって!?」
今、確かに、『JHARIBAN』って言ったよな……
ということは、Tellさんの探している人がエンプラット町にいるのか!
「……なんでおふたりともそんな難しい顔に?」
「教えてくれないか? JHARIBANがどんな人物なのか、」
「えっ、え? わ、わかりました……」
ライムさんは困惑しながらも、私たちに話してくれた。
JHARIBANさんはとても腕のたつ鍛冶屋さんでした。様々な剣を作る傍ら、自分だけのオリジナルの武器さえ創作していました。
私は話だけにしか聞いていませんが、JHARIBANさんは昔、冒険者として戦っていたそうです。
でもある時、自分の力で剣を作る機会があって、そこで大失敗してしまったそうです。負けず嫌いだったJHARIBANさんは、自分で満足に剣を作れるようになるまで、一生懸命鍛治に打ち込んだそうです。
その後私はJHARIBANさんと出会い、JHARIBANさんの元で働かせてもらうことになりました。
「私が話に聞いているのはここまでです。」
「なるほど、そこから、有名な鍛冶屋に……」
「もう……とっくの昔の話ですけどね……」
ライムさんは悲しそうな表情をした。
「やはり、JHARIBANさんはもう?」
「はい、今の先生の師匠に当たる人でしたが、先生がJHARIBANさんのあとを引き継いだのを、見届けた後、もう帰らぬ人となってしまいました……」
「そうだったんですね……」
さぞ辛かったろうな、大切な人を、しかも自分に仕事の場を与えてくれた恩人を亡くしてしまったのだから、
「ちなみに、JHARIBANさんが亡くなってしまったのは、何年前?」
悲しみムードに水を刺すようにTellさんが質問する。
「確か、30年は前かと、」
「えっ!?」
私は耳を疑った、JHARIBANさんは元冒険者だ。ということは、30年前、いや、それよりも前からプレイヤーが存在していたことになる。
「それに、武器屋として武器を作り、それを買っていた人間がいた以上、それなりにプレイヤーの数も多かったに違いない、」
このゲーム、いつからプレイヤーを殺し続けてきたんだ……? これまでに一体何人が犠牲に……?
「あっ!?」
「うわぁっ!?」
考え事してる時に大きな声出さないでよ……
「まずいぞ、雨が止む、天気が晴れる!」
雲の切れ間から太陽が覗いた、時刻は5時を過ぎていた。
想像を絶する蒸し暑さ、この地獄のサウナの中を歩き回り、なんとか私たちは日陰に移動した。
「暑い……暑いよ……」
「ほら、水、」
「ありがとう……ございます……」
「出来れば……私にも……暑さで融ケテしまいそウデ……」
いや、かなり融けてるよ、ライムさん、
「わかった、はい、」
どうしよう、このままじゃ水が無くなってしまう、
「キュ~~……」
あっ、ぼたんも暑さでやられてる、
「Tellさん、ぼたんにも少しあげていいですか?」
「いいよ、」
「ありがとうございます。ほら、飲んで?」
「キュッ」
ぼたんはボトルの中の水を勢いよく飲んだ。
「キュキュッ! ピュ!!」
ぼたんの吐き出した種が芽吹いて、何やら膨らみのある植物が出現した。
「これは……サボテン?」
「ぼたん! でかしたぞ! これで飲み水が確保出来る!」
そうか、 サボテンは水を溜め込む性質があるから、切ったら中から水が出てくるんだ。
「ぼたん本当に賢いな、」
「キュッ!」
「今何時ですか……?」
「5時30分だよ、」
「今日の日の入りは?」
「7時だね、あと1時間30分の辛抱だ。」
私達はひたすらに耐え続けた。幸い、ぼたんの生やすサボテンのおかげで、水分補給は十分に出来た。でも、全員が命の危機を感じていた。
「このままじゃ、死ぬな、」
「でも、今動くのは危険すぎます。」
「仕方ない、夜、出発しよう。暗くて危険だが、早くここから脱出しないともっと危険だ、」
私達はひたすらに待ち続けた。ずっと、永遠とも思える時間を耐え抜いた。
日の入りになる頃には、すっかり体力を消耗していた。
「よし、行くぞ、」
それでもTellさんは立ち上がった。そんなTellさんに、私達も続かないと、
「あれ? ライムさんは?」
「ここです、」
ライムさんはとても小さくなっていた。ぼたんと同じくらいのサイズ感だ。
「体力の消耗を抑えるために、体を収縮させていたんです。必要な水分量も少なく済みますからね、」
なにそれずるい
「それより、早く追いかけないと、」
「そうですね、じゃあライムさんはこの空きボトルに、」
「はい、」
さっきまで飲み水の入っていた空き容器にライムさんを押し込め、Tellさんのあとを追いかけた。
「ライ厶です。先生が付けてくださった名前です。」
「先生?」
「鍛冶屋の先生です。いつもそこで働かせてもらっています。」
鍛冶屋で働いているのか、モンスターでも、人間界で働けるってことか、
「実は、私おつかいの最中だったんです。」
「おつかい?」
「はい、剣の材料を届けないといけなくて、製鉄用の燃料とか、鉄鉱石とかを採掘場の人から買ってきて、」
大変だな……
「ちなみにその鍛冶屋って言うのは作った武器も売ってたりするの?」
「はい、『鍛冶屋の店 JHARIBAN』っていうんですけど……」
「なんだって!?」
今、確かに、『JHARIBAN』って言ったよな……
ということは、Tellさんの探している人がエンプラット町にいるのか!
「……なんでおふたりともそんな難しい顔に?」
「教えてくれないか? JHARIBANがどんな人物なのか、」
「えっ、え? わ、わかりました……」
ライムさんは困惑しながらも、私たちに話してくれた。
JHARIBANさんはとても腕のたつ鍛冶屋さんでした。様々な剣を作る傍ら、自分だけのオリジナルの武器さえ創作していました。
私は話だけにしか聞いていませんが、JHARIBANさんは昔、冒険者として戦っていたそうです。
でもある時、自分の力で剣を作る機会があって、そこで大失敗してしまったそうです。負けず嫌いだったJHARIBANさんは、自分で満足に剣を作れるようになるまで、一生懸命鍛治に打ち込んだそうです。
その後私はJHARIBANさんと出会い、JHARIBANさんの元で働かせてもらうことになりました。
「私が話に聞いているのはここまでです。」
「なるほど、そこから、有名な鍛冶屋に……」
「もう……とっくの昔の話ですけどね……」
ライムさんは悲しそうな表情をした。
「やはり、JHARIBANさんはもう?」
「はい、今の先生の師匠に当たる人でしたが、先生がJHARIBANさんのあとを引き継いだのを、見届けた後、もう帰らぬ人となってしまいました……」
「そうだったんですね……」
さぞ辛かったろうな、大切な人を、しかも自分に仕事の場を与えてくれた恩人を亡くしてしまったのだから、
「ちなみに、JHARIBANさんが亡くなってしまったのは、何年前?」
悲しみムードに水を刺すようにTellさんが質問する。
「確か、30年は前かと、」
「えっ!?」
私は耳を疑った、JHARIBANさんは元冒険者だ。ということは、30年前、いや、それよりも前からプレイヤーが存在していたことになる。
「それに、武器屋として武器を作り、それを買っていた人間がいた以上、それなりにプレイヤーの数も多かったに違いない、」
このゲーム、いつからプレイヤーを殺し続けてきたんだ……? これまでに一体何人が犠牲に……?
「あっ!?」
「うわぁっ!?」
考え事してる時に大きな声出さないでよ……
「まずいぞ、雨が止む、天気が晴れる!」
雲の切れ間から太陽が覗いた、時刻は5時を過ぎていた。
想像を絶する蒸し暑さ、この地獄のサウナの中を歩き回り、なんとか私たちは日陰に移動した。
「暑い……暑いよ……」
「ほら、水、」
「ありがとう……ございます……」
「出来れば……私にも……暑さで融ケテしまいそウデ……」
いや、かなり融けてるよ、ライムさん、
「わかった、はい、」
どうしよう、このままじゃ水が無くなってしまう、
「キュ~~……」
あっ、ぼたんも暑さでやられてる、
「Tellさん、ぼたんにも少しあげていいですか?」
「いいよ、」
「ありがとうございます。ほら、飲んで?」
「キュッ」
ぼたんはボトルの中の水を勢いよく飲んだ。
「キュキュッ! ピュ!!」
ぼたんの吐き出した種が芽吹いて、何やら膨らみのある植物が出現した。
「これは……サボテン?」
「ぼたん! でかしたぞ! これで飲み水が確保出来る!」
そうか、 サボテンは水を溜め込む性質があるから、切ったら中から水が出てくるんだ。
「ぼたん本当に賢いな、」
「キュッ!」
「今何時ですか……?」
「5時30分だよ、」
「今日の日の入りは?」
「7時だね、あと1時間30分の辛抱だ。」
私達はひたすらに耐え続けた。幸い、ぼたんの生やすサボテンのおかげで、水分補給は十分に出来た。でも、全員が命の危機を感じていた。
「このままじゃ、死ぬな、」
「でも、今動くのは危険すぎます。」
「仕方ない、夜、出発しよう。暗くて危険だが、早くここから脱出しないともっと危険だ、」
私達はひたすらに待ち続けた。ずっと、永遠とも思える時間を耐え抜いた。
日の入りになる頃には、すっかり体力を消耗していた。
「よし、行くぞ、」
それでもTellさんは立ち上がった。そんなTellさんに、私達も続かないと、
「あれ? ライムさんは?」
「ここです、」
ライムさんはとても小さくなっていた。ぼたんと同じくらいのサイズ感だ。
「体力の消耗を抑えるために、体を収縮させていたんです。必要な水分量も少なく済みますからね、」
なにそれずるい
「それより、早く追いかけないと、」
「そうですね、じゃあライムさんはこの空きボトルに、」
「はい、」
さっきまで飲み水の入っていた空き容器にライムさんを押し込め、Tellさんのあとを追いかけた。
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