カースオブダンジョン~あなたと私の心中旅行~
真夜中の景色
夜、物音がして目が覚める。
音のなる方に目をやると、アミカさんが自分のバッグをガサゴソやっているのが見えた。
「何やってるんですか?」
「あれ? 起きてたんだ。」
アミカさんは小さな透明の箱をいくつも持っていた。
「……それは?」
「これは、採取用に持ってきた虫かごだよ、今から生物採集をしようと思って、」
生物採集を……? こんな夜中に……?
「ドラゴンはみんな昼行性だから、寝てる間に巣に入れば、卵が採取できるし、小さめのリザード系とか、虫系とかは、夜行性だからたくさん見つかるし、夜の方が採取に都合が良いんだよね、」
「へ、へぇー……」
「この島にはどんな子がいるかな!!レア種とかにもばったり出会えちゃったりして……!!」
さすがはモンスターテイマー、飼育する生き物を手に入れるためなら手段を選ばない。
「そろそろ準備できたか?」
「あれ? Tellさんも起きてたんですか?」
「ああ、俺も一緒に行くからな、」
「えっ? そうなんですか?」
「今日初めて降り立った島だ、どんな奴がいるか分からない。そんな島を、しかも密林を女一人で歩かせるなんて危険すぎる。」
なんか、カッコイイな、そのセリフ、
しかもそんなにサラッと言えちゃうんだ。
「だから一緒に来てもらう約束したの、ごめんね、ワガママ聞いて貰っちゃって、」
「いいよ、俺も、お前のモンスターについての知識には助けられてるしな。」
「まっ、モンスター博士だからね!」
「モンスターオタクの間違いじゃないのか?」
「うっさいなぁ!!」
良いコンビだな……まるで長い間付き合ってるカップルの夫婦漫才を見てるみたいだ。
「そうだ、せっかくだし、KUMIさんも一緒に行こう?」
「えっ? 私もですか?」
どうしよう、せっかくのアミカさんからの誘いだけど、やばいモンスターに会ったらやだな……
「きっと楽しいよ?」
天秤にかけた結果、このテントで一人で寝ている方が心細いという結論になった。
しょうがない、ついて行こう。
たった今、私たちは狂気のモンスターマニアに絶賛振り回され中である。
「おお! すごい! ポイズンリザードの幼体だ!」
「ポイズンリザードって、皮膚から毒出すやつだろ? どうやって捕まえるんだ?」
なんと、猛毒を持つとされているポイズンリザードを、この女、素手で捕まえようというのだ。 
「大丈夫、毒が強いって言っても、直接体に入んなきゃ死にはしないから、」
「でも、触るだけでも十分アウトだろ? 30秒以上触ると、触れた部分から壊死するってこの前言ってたじゃないか。」
「大丈夫、30秒以内にちゃんと水で洗い流せば平気だって。」
なんかものすごく怖いことを話している……
そんなの捕まえようとするとか、頭大丈夫なのかな……?
「大丈夫だよ……怖くないよ……」
アミカさんはポイズンリザードに優しく話しかけながら、指を忙しなく動かし、自分の指を餌だと思わせて、ポイズンリザードを川の側へと誘導する。
「今だ! えい!」
アミカさんは思いっきりポイズンリザードの首根っこを掴み、ケースに入れて蓋を閉めたあと、直ぐに指を川の中へ入れた。
「ふぅ~危ない危ない、」
もし近くに川がなかったらと思うと、本当にゾッとする。
「しかし、幼体がいるとなると、この島には成体がいるって事だよな。」
「出くわさないようにしなきゃだね、成体は幼体と比べると毒は弱いけど、動きが速くて噛む力も強いから、気をつけないと……」
早くも帰りたくなってきた。
「さーて、川にはどんな子がいるかな?」
「結構流れが早いから、めぼしい生き物はいなさそうだぞ?」
Tellさんまでモンスターマニアに見えてきた。
「う~んいなさそうだね、現実だったら、岩にアミカの幼虫が引っ付いてたりするんだけど……」
ん? 『アミカ』の幼虫?
「なんですか? アミカの幼虫って、」
「ああ、『アミカ』っていう虫が居て、こういう流れの速い川の、大きい岩に吸盤で張り付いてるんだ。なんか、虫型のロボットみたいな形してて、可愛いんだよ?」
「で、その虫の名前を自分に付けたと……」
「そうなの!」
本当に生き物が好きなんだな、この人。
「うおあぁぁっ!!?」
遠くの方で、男性の叫び声が聞こえた。Tellさんかな、
「どうしたんですか?」
「け……毛虫がっ……!?」
Tellさんの近くに、地面を這う毛虫がいた。大量の茶色の毛で覆われ、一見すると哺乳類のようにも見えるが、ゆっくりと波打って移動しているのを見ると、やはり毛虫のようだ。
「俺、本当に毛虫苦手なんだよ……子供の頃に刺されて、トラウマで……」
そう言えば、あの時も……
「まあまあ、そうカッカすんなって、わっ!?毛虫!?」
「うわあっ!!?」
「ハハッ、嘘だよ、」
毛虫がいるって驚かされて、必要以上にビックリしてたっけ、
「これは、テディモスっていう蛾の幼虫だね、毒はないから安心していいよ、こうやって、毛をはやすことによって、ほかの毒持ちの毛虫に擬態するんだよ」
「なんだよ……ビックリして損したじゃないか……」
何故だろう、毒が無いと思ったら急に可愛く見えてきた。モッフモフだし、
その後も、モンスターマニアに振り回されながら、色んなモンスターの生態を知った。この世界に存在するモンスターたちも、現実世界の生き物たちとよく似ていて、とても面白かった。
「KUMIちゃんも、記念に、何か捕まえて飼って見たら?」
「そうですね……」
「毒持ちの生き物とか、結構オススメだよ!!」
「毒は……遠慮しておきます……」
「え~、毒かっこいいじゃん! 体色も綺麗だし……」
さすがに、ポイズンリザードを見た後に毒持ちを飼おうとは思わないな。出来れば、あれ飼いたい、テディモス、
音のなる方に目をやると、アミカさんが自分のバッグをガサゴソやっているのが見えた。
「何やってるんですか?」
「あれ? 起きてたんだ。」
アミカさんは小さな透明の箱をいくつも持っていた。
「……それは?」
「これは、採取用に持ってきた虫かごだよ、今から生物採集をしようと思って、」
生物採集を……? こんな夜中に……?
「ドラゴンはみんな昼行性だから、寝てる間に巣に入れば、卵が採取できるし、小さめのリザード系とか、虫系とかは、夜行性だからたくさん見つかるし、夜の方が採取に都合が良いんだよね、」
「へ、へぇー……」
「この島にはどんな子がいるかな!!レア種とかにもばったり出会えちゃったりして……!!」
さすがはモンスターテイマー、飼育する生き物を手に入れるためなら手段を選ばない。
「そろそろ準備できたか?」
「あれ? Tellさんも起きてたんですか?」
「ああ、俺も一緒に行くからな、」
「えっ? そうなんですか?」
「今日初めて降り立った島だ、どんな奴がいるか分からない。そんな島を、しかも密林を女一人で歩かせるなんて危険すぎる。」
なんか、カッコイイな、そのセリフ、
しかもそんなにサラッと言えちゃうんだ。
「だから一緒に来てもらう約束したの、ごめんね、ワガママ聞いて貰っちゃって、」
「いいよ、俺も、お前のモンスターについての知識には助けられてるしな。」
「まっ、モンスター博士だからね!」
「モンスターオタクの間違いじゃないのか?」
「うっさいなぁ!!」
良いコンビだな……まるで長い間付き合ってるカップルの夫婦漫才を見てるみたいだ。
「そうだ、せっかくだし、KUMIさんも一緒に行こう?」
「えっ? 私もですか?」
どうしよう、せっかくのアミカさんからの誘いだけど、やばいモンスターに会ったらやだな……
「きっと楽しいよ?」
天秤にかけた結果、このテントで一人で寝ている方が心細いという結論になった。
しょうがない、ついて行こう。
たった今、私たちは狂気のモンスターマニアに絶賛振り回され中である。
「おお! すごい! ポイズンリザードの幼体だ!」
「ポイズンリザードって、皮膚から毒出すやつだろ? どうやって捕まえるんだ?」
なんと、猛毒を持つとされているポイズンリザードを、この女、素手で捕まえようというのだ。 
「大丈夫、毒が強いって言っても、直接体に入んなきゃ死にはしないから、」
「でも、触るだけでも十分アウトだろ? 30秒以上触ると、触れた部分から壊死するってこの前言ってたじゃないか。」
「大丈夫、30秒以内にちゃんと水で洗い流せば平気だって。」
なんかものすごく怖いことを話している……
そんなの捕まえようとするとか、頭大丈夫なのかな……?
「大丈夫だよ……怖くないよ……」
アミカさんはポイズンリザードに優しく話しかけながら、指を忙しなく動かし、自分の指を餌だと思わせて、ポイズンリザードを川の側へと誘導する。
「今だ! えい!」
アミカさんは思いっきりポイズンリザードの首根っこを掴み、ケースに入れて蓋を閉めたあと、直ぐに指を川の中へ入れた。
「ふぅ~危ない危ない、」
もし近くに川がなかったらと思うと、本当にゾッとする。
「しかし、幼体がいるとなると、この島には成体がいるって事だよな。」
「出くわさないようにしなきゃだね、成体は幼体と比べると毒は弱いけど、動きが速くて噛む力も強いから、気をつけないと……」
早くも帰りたくなってきた。
「さーて、川にはどんな子がいるかな?」
「結構流れが早いから、めぼしい生き物はいなさそうだぞ?」
Tellさんまでモンスターマニアに見えてきた。
「う~んいなさそうだね、現実だったら、岩にアミカの幼虫が引っ付いてたりするんだけど……」
ん? 『アミカ』の幼虫?
「なんですか? アミカの幼虫って、」
「ああ、『アミカ』っていう虫が居て、こういう流れの速い川の、大きい岩に吸盤で張り付いてるんだ。なんか、虫型のロボットみたいな形してて、可愛いんだよ?」
「で、その虫の名前を自分に付けたと……」
「そうなの!」
本当に生き物が好きなんだな、この人。
「うおあぁぁっ!!?」
遠くの方で、男性の叫び声が聞こえた。Tellさんかな、
「どうしたんですか?」
「け……毛虫がっ……!?」
Tellさんの近くに、地面を這う毛虫がいた。大量の茶色の毛で覆われ、一見すると哺乳類のようにも見えるが、ゆっくりと波打って移動しているのを見ると、やはり毛虫のようだ。
「俺、本当に毛虫苦手なんだよ……子供の頃に刺されて、トラウマで……」
そう言えば、あの時も……
「まあまあ、そうカッカすんなって、わっ!?毛虫!?」
「うわあっ!!?」
「ハハッ、嘘だよ、」
毛虫がいるって驚かされて、必要以上にビックリしてたっけ、
「これは、テディモスっていう蛾の幼虫だね、毒はないから安心していいよ、こうやって、毛をはやすことによって、ほかの毒持ちの毛虫に擬態するんだよ」
「なんだよ……ビックリして損したじゃないか……」
何故だろう、毒が無いと思ったら急に可愛く見えてきた。モッフモフだし、
その後も、モンスターマニアに振り回されながら、色んなモンスターの生態を知った。この世界に存在するモンスターたちも、現実世界の生き物たちとよく似ていて、とても面白かった。
「KUMIちゃんも、記念に、何か捕まえて飼って見たら?」
「そうですね……」
「毒持ちの生き物とか、結構オススメだよ!!」
「毒は……遠慮しておきます……」
「え~、毒かっこいいじゃん! 体色も綺麗だし……」
さすがに、ポイズンリザードを見た後に毒持ちを飼おうとは思わないな。出来れば、あれ飼いたい、テディモス、
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