カースオブダンジョン~あなたと私の心中旅行~

蛇使い座のな~が

闘いからの帰還

港のすぐ近くに、巨大な石の扉が見える。

「ここが入口?」
「ソウダ、コノ扉ハワシノ手デシカ開ケラレナイ」

船長が手をかざすと、ゆっくりと扉が開き始めた。

「ゴゴゴゴゴ……」

「開イタゾ?」

「おお~!!」

楽しそうだな、Tellさん。

岩の扉の先には、確かに、隠れ家のような大きな建物があった。いかにも機械仕掛けって感じだ。

「あれが秘密基地……」

「めちゃくちゃカッコイイ!!」

船長たちに案内され、私たちは、ひとつの部屋に案内された。

「ココガ、オ前タチノ部屋ダ。シバラクハココデ暮ラシテクレ」

結局、彼らの厄介になってしまった。




荷物を部屋に置いたあと、Tellさんはしきりにメインメニューの画面を操作していた。

「何してるんですか?」

「メールを送ってるんだよ、迎えに来てもらおうと思ってね。」

「迎えに来てくれる人なんているんですか?」

「俺の友達だよ、乗り物を持ってるんだ。」

乗り物? 船とか?

「よし、外に行こうか、KUMIさん、」
「えっ? なんでですか?」

「木を切りに行くんだよ、」

えっ……? 木を切りに? いかだでも作るつもりなのだろうか……?




せっかくのからくり屋敷だ、からくりを使わない手は無い、船長から教えて貰った、色々な仕掛けを使わせてもらおう。

「ウィーーーーーン……ガタンッ!!」

スイッチを入れると、床板が外れ、下へと続く滑り台が出現する。

「よし、ここを滑っていけば、外へと繋がっているはずだ。」

待って、めっちゃ高くない?  こんなところ滑ったら絶対危ないよね?

「行くよ!」

「えっ! ちょっ、まっ……」

「シューーー!!」

「うわぁぁぁぁ!!!」

やばい!! これすべり台なんかじゃない!! 安全バーのないジェットコースターだ!!

「ひゃっほーう!!」
「ぎゃあぁぁぁ!!」

Tellさんは呑気に楽しんでいるが、私はひたすら叫ぶことしか出来なかった。
もし、滑っている最中を写真にとる機能がこの滑り台にあったら、きっと、とんでもなく酷い作品が生まれていることだろう。

「ヒューーーーー……ボフッ」

何とか下にたどり着いた。どうやら、下にクッションが敷かれていたらしい。何とか大怪我は免れた。

「あー楽しかった! KUMIさん大丈夫?」

大丈夫なわけがないだろう……

「……もう二度とからくりは使わない。」

「あはは、」

ここはどうやら裏庭みたいだ。後ろには、森林が広がっている。

「ここから入ろうか、」
「……はい、」




そう言えば、木って剣で切れるのだろうか?
斧とか、ノコギリとか、使わないといけないんじゃ……?

「あっ! おーい!!手伝いに来たぞ!!」
「オオ!ホント二来テクレタンデスネ?」

そこにはたくさんの骸骨がいた。斧でせっせと木を切り続けている。

「ハイ! コレオフタリノ分、」

骸骨は私たちに鉄の斧を渡した。




どのくらい作業をしただろうか。Tellさんに言われた通りに、延々と木を切り続けた。
この木はどうやら、柔らかい樹種らしく、3回ほど斧を入れれば簡単に倒れた。

切り倒した木は、骸骨さんたちが、運んでいき、製材していく、

「よし、これぐらいあれば大丈夫だろう。」

私たちが木を切ったことにより、拓けた場所が出来た。

「はぁ、疲れた……」

「じゃあ、もう終わりにしよう、これぐらいの広さがあればもう大丈夫だよ」

こんなに広い場所作って何するつもりなんだろう?

「ほら、そろそろ来たみたいだよ?」

そう言うとTellさんは空を指さした。
見上げると、遠くの方に小さな影が見えた。

あれ? なんか影が大きくなってない? ていうか、なんだあれ? ドラゴンのモンスターみたいな……

「バサッ……バサッ……バサッ」

なんかこっちに向かってきてる……ていうか、めちゃくちゃデカい……

「バサッバサッ……ドォン!」
「ギャオオオ!!」

「ぎゃあああッ!!?」

やばい!!ドラゴンが襲ってきた!? こんな拓けた場所じゃ、隠れる場所がない!!

「おいおい、よく見なよ、KUMIさん、」

「えっ……?」

ドラゴンの背中には女の人が立っていた、その人はドラゴンの背中から飛び降りると、Tellさんに話しかけた。

「やっほ! 助けに来てあげたぜ?」
「サンキュー、正直言うと助かった。お前がいなかったら大変なことになってたよ、」

この人も、Tellさんの知り合いだろうか、ドラゴンを手懐けているのかな? ということは、この人はモンスターをペットにしてる人?

「……この子は?」
「KUMIさん、俺の新しい旅の仲間。」
「へえ! 可愛い子じゃーん!」

可愛い子って……ノリが随分と軽い人だな、

「あたしはアミカ、職業は……モンスターテイマーになるのかな? よろしくね?」

「よろしくお願いします。」

「よし、そんじゃ、みんな乗って?」

「えっ……まさか、Tellさんがメールしてた、『乗り物を持ってる人』って……」

「ほら! さっさと乗る!」

アミカさんに無理矢理ドラゴンの上に乗せられ、私たちは、大空へと飛び立った。心の準備も整わないまま、始まってしまった空の旅は、恐怖以外の何者でもなかった……

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品