カースオブダンジョン~あなたと私の心中旅行~

蛇使い座のな~が

冥府へと続く道

エンジン音を響かせて、エンジン付きボートは、海上を一心不乱に進んでいく。

ほかの参加者達は、みな、釣りを楽しんでいたが、Tellさんはひたすらに双子岩を目指していた。

「Tellさん、大丈夫なんですかね?」
「大丈夫も何も、戦うしかないだろう、宝は奪い取るのが海の男の流儀だ。」

いっちょ前に海賊っぽいこと言ってるけど、私たちが乗っているのはあくまでもボートなんだよな。

「なんなら、奴らの船を奪って帰ろうぜ?」

幽霊船なんて、そんな気味悪いものに乗って帰りたくはないんですけど、

「おっ!!  あれじゃないか? 双子岩!」

双子岩、たしかに目の前にそっくりな形のふたつの岩があった。

「これを超えた先が、呪いの海域……」

どうしよう、直前になって怖くなってきた。幽霊船と言うぐらいだから、幽霊は確実にいるだろう。剣の攻撃とか効くのかな……

「ああ、そういえば、レベルが上がってから、使えるようになった技とかあった?」
「まぁ、少しずつ増えてきてはいます。」
「魔法系は?」
「一応持ってます。あまりspを使わないようなやつが1個だけ、」
「なら大丈夫だろう、」

確かに、魔法しか効かない敵がいたら厄介だもんな、

私たちの周りには、緊張した空気が流れていた。

「ゴロゴロ……ゴロゴロ……」

雲行きも怪しくなってきた、

双子岩を通り過ぎ、岩の後ろ側を見ると、うっすらと顔のような模様が入っていた。

ここに来た人の多くは、そのまま帰ってこられなくなったと言っていた。だから、岩の裏が顔になっているなんて、誰も知らなかったんだろうな、

「ゴロゴロ……ゴロゴロ……」
「ザーーー……」

「ビュオオオゥ!!」

風と雨が強くなってきた。

「Tellさん! 嵐になってきました!」
「しっかりと捕まっておいて、あと、船酔いはしないように、」
「はい……!」

船は激しく揺れている。地震に例えるなら、震度5は、ゆうに超えているだろう。

「ドォン!!……ドォン!! ドォン!!」

遠くの方で、大砲の音が聞こえる。霧がかかってよく見えないが、確かにそこには、巨大な船のようなものが見えた。

「すげぇ! めちゃくちゃでかい船!」

近づいてみると、船がいかに巨大かが分かる。

「じゃあ、乗り込むよ? しっかり掴まって!」
「えっ!? 乗り込むってどうやるんですか?」

「ギュウウン……カッ!」

「なんですか? これ?」
「クローショットっていう武器、かなり前にレアクエストで手に入れた。」

クローショット……? クローショットってあれだよね? 鎖の先にフックがついてて、ワイヤーアクション見たいのができるやつだよね……?

「いくぞっ!!」
「うわぁぁぁっ!!?」

次の瞬間、私たちは、宙を舞った。




「ギュウウン……カチッ!」

「シュタッ……」

船内には、海賊の服を着た骸骨たちが大量にいた。

「貴様ラハ誰ダ!」
「俺たちはトレジャーハンター! あんたらの長い戦いを終わらせ、宝を手に入れるためにここに来た!!」

なんかTellさんがピーターパンみたいに見えてきた。

「野郎ドモ! 出会エ!  迷イコンダネズミドモニ思イ知ラセテヤレ!」

「シャキンッ」

骸骨たちは一斉に剣を引き抜いた。中には銃を装備している者もいた。

「来るぞ!!」
「はい!!」




私は襲い来る骸骨の軍勢に、必死で攻撃した。

「ファイアボール!!」
「グワァァ!」

銃を使ってくる相手には、こちらも遠距離から魔法で対抗した。

「大丈夫?」
「これぐらいなら平気です。」

私もレベル上げやらなんやらで、モンスターを倒しまくったからか、かなり感覚が麻痺してきた。私たち2人を囲めるほどの、大人数を相手にしても、なんとも思わなかった。

「ザコ敵は余裕だね、」
「そうですね、」
「背中は任したよ?」
「大丈夫です!」

私たちは、背中合わせになり、お互いに回り込まれないように戦った。やはり骸骨たちは骨だけのからだだからなのか、防御力が格段に低い。攻撃力はそこそこあるので注意しなくちゃならないが、当たりさえしなければどうってことない。

「船長! 大変デス!」
「ドウシタ!」
「敵船ノヤツラガ、コチラノ混乱ニ乗ジテ乗リ込ンデ来マシタ!!」
「ナンダト!?」

向こうを見ると、敵の船がこちらの船に寄せ、橋のような板をこちらに渡して乗り込んできた。

「アイツらも俺が倒してやる!」
「ナンダト!?」
「俺たちは、『お前らの』持っている宝を奪いに来たんだ。お前たちの船は、俺たちが最初に襲った船に過ぎないのさ、よっと!!」
「ナッ!? 待テ!!」

Tellさんはあの時使ったクローショットで、敵どうしの骸骨が争っているところに向かった。

「スラッシュダイブ!!」


骨たちが空に飛び散る、あの分だと、もっと暴れるな……

「喰らえ! ストライクスピン!! クエイクブレード!!」

Tellさんは、ああやってたくさんのスキル技を使ってコンボを決めるのが得意だ、

今のは、スラッシュダイブで敵に奇襲を仕掛けた後、ストライクスピンで回転しながら攻撃し、風を起こして空中に打ち上げる。

最後は、地面に落ちた敵に斬撃が這うようにして飛ぶ飛び道具攻撃で遠くまで吹き飛ばす。

「ナルホド、コイツハ驚イタ、」

敵の船の船長がついに乗り込んできた。よく見ると、彼らは格好が似ていて骨格が瓜二つだった。

「兄者、1時休戦トシヨウカ、コヤツラハワシラノ奥ノ手ヲ使ワント勝テン」

「弟者、ソノ提案、乗ッタゾ!!」

「こいつら、兄弟だったのか……」

「船長! ヤメテクダサイ! 敵船ノ主ト共闘スルナド!」

「フンッ! 貴様ラニ教エテヤロウ、カツテ血ヲ分ケタ兄弟ノ、コンビネーションノチカラヲ!! ソシテコノ若造ドモヲ、冥府ノ世界ヘト誘ッテヤロウ!!」


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