カースオブダンジョン~あなたと私の心中旅行~

蛇使い座のな~が

ギルドの仲間

「どうだった?」
「すごく美味しかったです。」
「それは良かった。体調が悪くなったら、Tellにメールをくれ、Tell経由でボクにも連絡が行く」

「そうですか、ところで、Tellさんはどこに?」
「Tellは多分、会議室でギルドの仲間と談笑してるよ」

そういえば、RAYさんはギルドのリーダーって言ってたな。

「ギルドっていうのは、プレイヤー同士の組合みたいなものだ。君も、Tellと一緒にパーティを組んでいるのだろう?」
「はい、」
「仲間同士で作ったチームがパーティ、パーティ同士で集まったより大きなチームがギルド、そんなとこかな。」

パーティ同士で、より大きなチームを作ることができるってことか。

「体調が良くなったら、彼らとも話してみるといいよ、それじゃ、ボクはまだ作業があるから、じゃあね」

RAYさんは、そう言って、部屋を出ていった。私が使ったスープ皿と、鍋は置き去りのままだった。

「RAYさん、忘れてったのかな、」

よし、厨房に届けてあげよう。




鍋を抱えて歩いていると、厨房を見つけた。厨房は、きちんと整頓されており、誰かが熱心に皿洗いをしていた。女の人かな?

「あの……こんにちは……」

「シュンッ!」

「うわぁっ!!?」

目の前の皿洗いをしていた女性は、いきなり私の背後に回り、首元にナイフを突きつけてきた。私は、いきなりの出来事に混乱し、その場から動けなかった。

「合格……」
「……え?」
「テストに合格……私に攻撃されても、逃げなかった……」

はっ? えっ? どういうことなの?

「RAYさまは……この殺伐とした世界に癒しを与えてくださった……だからこそこのアジトは私たちが守らなければならない……」

「あ、うん……」

「そのために……あなたが危険因子かどうか……調べた……RAYさまの癒しを受け取る資格があるかを試したの……」

ああ、この人は恐らく、私とは話が合わないタイプの人種だな。

「RAYさまは尊き存在……決して、RAYさまを侮辱するような汚らわしい真似は慎むように……」

めちゃくちゃ怖い……ギルドってこんなやつばっかりなのかな……

「そうでも無いよ?」

Tellさんが厨房に入ってきた。良かった、助かった。殺されるかと思った。このヤンデレに……

「みやびはただ、RAYのことが好きなだけだよ、」
「みやび……?」
「この子はみやび、森に迷い込んでモンスターに襲われてたところをRAYが助けたんだって、そっから好きになったらしいよ?」

それだけであそこまで狂えるかな……?

「みやび、この人はKUMI、君と同じくRAYに助けられた人だ」
「そう……だから?」
「あまり、怖がらせないであげてよ、」
「怖がらせているつもりは無い……」

じゃあ、素でこうなっているってこと……?
なにそれこわい……

「そうだKUMIさん、案内してあげるよ、談笑室のほうに、」
「談笑室じゃなくて会議室……まあいいや……私も行く」

なんとか、警戒を解けたみたいだ。よし、会議室に行こう、




会議室では、3人のメンバーが集まっていた。

「やあ、少しは体調が優れたかい? 大変だったね、君も、」
「ああ、お前か、リーダーの前でぶっ倒れたってのは、」
「さあ、ここに座って、お話しましょ?」

流されるまま、ソファに座る。

「リーダーから話は聞いてるよ、KUMIちゃんだね、」
「はい……」

「俺はAlphaアルファこのギルドのサブリーダーをやってるよ、」
「オレは、ゼット、軍医だ、よろしくな」
「そして私がareaエリア、狙撃手よ、」

なんか、アルファベットの人もいて、カタカナの人もいて、かなりややこしいな、みやびさんに至ってはひらがなだし、

「まあ、他にもあと2人いるんだが、リーダーと食料を取りに行ったから、しばらくは戻ってこないな。」

Alphaが時計を見ながら言った、時刻はまだ4時ぐらいだった。

「ざっくと、RyuOリュウオーっていうふたりなんだけど、2人は息ぴったりなんだよ?」

areaが嬉しそうに話す。そんなに2人は強いのだろうか?

「まあそんな所だ、KUMIさんも気になるなら入ればいいよ、」

Tellさんはそう言ってるけど、どうしようかな……他のみんなは優しくていい人達なんだけど、みやびさんがな……

「相当トラウマなんだな、あの子のこと、」 

「まあ、俺たちの中で初めに会ったやつだからな、」

「でもね、RAYくんに危険が迫った時は、命懸けで助けてくれるんだよ?」

「……当たり前のことしてるだけ」
「なんだよいっちょ前にヒーロー気取りやがって、」
「違うよ、RAYくんがみやびちゃんのヒーローなんだよ、」
「違いねえ」

「「「アハハハハ」」」

「……うるさい、」

そう言ってるけど、かなりみやびちゃんの顔が赤い

「そうだ! せっかく今日はTellがいるんだから、何か旅の話をしてもらおうぜ?」

「そうだな、Tellの自殺旅行の話、聞かせてくれよ、」

えっ!? 自殺旅行!?

「あれ? もしかしてKUMIちゃん知らなかったの?」
「いや、自殺のためにこのゲームに入ったのは知ってましたけど、旅行って、」

「……じゃあ、初めてのお客さんもいるようだし、聞かせてあげようかな、俺の『死に場所を探す旅』について」

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