カースオブダンジョン~あなたと私の心中旅行~
絶望する私
「カーンカーンカーンカーン…………」
急に高台から甲高い鍾の音が聞こえた。その音を合図に、周りの人達はみな、一目散に走り出した。
「速くしろ!! あいつらが来るぞ!!」
「全員高台に逃げろ!!」
品物を売っていた人は商品を片付けて袋にしまい、街を歩く人は買い物袋を抱えながら走っている。
「何!? 何が起きてるの!?」
「あ……詰んだかも」
ナヴィエが縁起でもないことを呟いた。
「詰んだ……!?」
「え~と……ここら辺一体は森に囲まれていましてね、たまに来るんですよ……ヤベー奴が……」
「速くしろ!!!」
「そこのお前!! 早く逃げろ!! このままじゃあいつらに踏みつぶされるぞ!! こっちへ逃げるんだ!!」
「えっ!? えっ!?」
街の人達に言われるがまま逃げていく、すると後ろから、
「ドオォォォン」
街を守っていた砦が壊され、大量の巨大モンスターがこちらに向かってきた。
「グオオオ!!!」
大きな叫び声を上げている。
どうしよう、怖い、なのに足がすくんで逃げられない。さっきの砦が壊される音と、今の叫び声に驚いて、逃げるタイミングを失ってしまった。
「ちょっとKUMIさん!! 逃げてください!!このままじゃ……」
もう目の前に奴らは迫っていた。よく見ると彼らは巨大な牛のような姿をしていた。二足歩行の獣人のようなモンスターらしい、
そうか、私はこいつらに殺されるのか、これでもう、私の人生は、終わっ……
「スラッシュダイブ!!!」
「ドゴォォン!!」
「グオオオアアア!!?」
目の前のモンスターの1匹が突然、何者かに倒され、そこからドミノ倒しの様に後ろのモンスターも倒されていく、
先頭が倒され、倒れた死体に後続のものが激突し、勢いを殺せずそのまま倒れる。まさに大クラッシュだった。中にはそのまま遠くに吹き飛ばされたやつもいた。
「大丈夫? かなり大変な目に会ってたけど」
私は目の前の光景に唖然としすぎて、何が起こっているのか分からなかった。この人が助けてくれたの?
「さっきのは、一体……?」
「……大丈夫じゃなさそうだね、かなり混乱している」
街の人達は、壊れた建物を必死に直している。私は、命の恩人である見知らぬプレイヤーに連れられて、奇跡的に被害のなかった、飯屋へと入っていった。
「少し、話をしようか、君はなぜこの街に?」
「ゲームを始めた時には、もうこの街に、」
「なるほど、君はここにスポーンしたのか、チュートリアルはもう済ませた?」
「いえ、モンスターとの戦闘がまだ、」
私にとっては、あのおぞましい牛型獣人が、初めて会うモンスターだった。まだモンスターとの戦闘システムすら知らないまま、私はあのモンスターに殺されかけた。
「『デスバッファロー』か……」
「えっ?」
「アイツらの名前だよ、『デスバッファロー』、牛のようなモンスターでありながら雑食性で、動物も植物も食べる。それでいて臆病な性格であり、自分よりも強大な敵が現れると、集団で別の場所へと大移動する」
アイツらもアイツらで怖がってたんだ……
ということは、あんなに巨大なモンスターを脅かすモンスターがいるのか、あんまり出会いたくないな。
「どう? そろそろお腹減った? 奢るから何か頼みなよ」
「いや、やめときます。食欲無いです」
今日1日で色んなことがありすぎた。緊張がまだ解けず、何か食べても吐きそうな気がする。
ふと外を見ると、もう夕方になっていた。
「一応今、7時だね、ゲーム内時間では」
「あれ? もうそんな時間なのに、まだ日が沈みきってないんですね」
「まあ、この国は日の入りが遅いからね」
私はさっきので思い知った。この世界は全力で私たちを殺そうとしていること、私たちが元いた世界とは全く異なる世界にいること、そして、元いた世界の常識は、この世界では通用しないことだ。
「そう言えば、名前言ってなかったね、俺の名前は『Tell』、君は?」
「私は、『KUMI』です。」
「そっか、『KUMI』さんね、よろしく」
「よろしくお願いします、『Tell』さん」
「俺はしばらくこの街に、留まろうと思うから、俺が色々と教えてあげるよ、この世界のこと」
「ありがとうございます。」
あれ? これもしかしてナヴィエの仕事無くなったんじゃ……
「よし、今日はもう遅いから、宿屋に行こう。」
「そうですね、」
「宿代も俺が奢るよ、多分、チュートリアル後で剣とか胸当てとか買ってお金無くなってるでしょ?」
「まあ、はい……」
同じ経験したんだろうな、この人も
宿屋に着き、Tellさんに部屋をとってもらった。
「じゃあ、明日はモンスターとの戦闘の仕方を教えるよ、朝になったら、このロビーで落ち合おう」
「分かりました。」
さて、今日はものすごく疲れた。ふかふかのベッドに寝そべると、一瞬で眠ってしまった。明日もTellさんに会えると考えると、少し安心するな、明日、楽しみだな……
急に高台から甲高い鍾の音が聞こえた。その音を合図に、周りの人達はみな、一目散に走り出した。
「速くしろ!! あいつらが来るぞ!!」
「全員高台に逃げろ!!」
品物を売っていた人は商品を片付けて袋にしまい、街を歩く人は買い物袋を抱えながら走っている。
「何!? 何が起きてるの!?」
「あ……詰んだかも」
ナヴィエが縁起でもないことを呟いた。
「詰んだ……!?」
「え~と……ここら辺一体は森に囲まれていましてね、たまに来るんですよ……ヤベー奴が……」
「速くしろ!!!」
「そこのお前!! 早く逃げろ!! このままじゃあいつらに踏みつぶされるぞ!! こっちへ逃げるんだ!!」
「えっ!? えっ!?」
街の人達に言われるがまま逃げていく、すると後ろから、
「ドオォォォン」
街を守っていた砦が壊され、大量の巨大モンスターがこちらに向かってきた。
「グオオオ!!!」
大きな叫び声を上げている。
どうしよう、怖い、なのに足がすくんで逃げられない。さっきの砦が壊される音と、今の叫び声に驚いて、逃げるタイミングを失ってしまった。
「ちょっとKUMIさん!! 逃げてください!!このままじゃ……」
もう目の前に奴らは迫っていた。よく見ると彼らは巨大な牛のような姿をしていた。二足歩行の獣人のようなモンスターらしい、
そうか、私はこいつらに殺されるのか、これでもう、私の人生は、終わっ……
「スラッシュダイブ!!!」
「ドゴォォン!!」
「グオオオアアア!!?」
目の前のモンスターの1匹が突然、何者かに倒され、そこからドミノ倒しの様に後ろのモンスターも倒されていく、
先頭が倒され、倒れた死体に後続のものが激突し、勢いを殺せずそのまま倒れる。まさに大クラッシュだった。中にはそのまま遠くに吹き飛ばされたやつもいた。
「大丈夫? かなり大変な目に会ってたけど」
私は目の前の光景に唖然としすぎて、何が起こっているのか分からなかった。この人が助けてくれたの?
「さっきのは、一体……?」
「……大丈夫じゃなさそうだね、かなり混乱している」
街の人達は、壊れた建物を必死に直している。私は、命の恩人である見知らぬプレイヤーに連れられて、奇跡的に被害のなかった、飯屋へと入っていった。
「少し、話をしようか、君はなぜこの街に?」
「ゲームを始めた時には、もうこの街に、」
「なるほど、君はここにスポーンしたのか、チュートリアルはもう済ませた?」
「いえ、モンスターとの戦闘がまだ、」
私にとっては、あのおぞましい牛型獣人が、初めて会うモンスターだった。まだモンスターとの戦闘システムすら知らないまま、私はあのモンスターに殺されかけた。
「『デスバッファロー』か……」
「えっ?」
「アイツらの名前だよ、『デスバッファロー』、牛のようなモンスターでありながら雑食性で、動物も植物も食べる。それでいて臆病な性格であり、自分よりも強大な敵が現れると、集団で別の場所へと大移動する」
アイツらもアイツらで怖がってたんだ……
ということは、あんなに巨大なモンスターを脅かすモンスターがいるのか、あんまり出会いたくないな。
「どう? そろそろお腹減った? 奢るから何か頼みなよ」
「いや、やめときます。食欲無いです」
今日1日で色んなことがありすぎた。緊張がまだ解けず、何か食べても吐きそうな気がする。
ふと外を見ると、もう夕方になっていた。
「一応今、7時だね、ゲーム内時間では」
「あれ? もうそんな時間なのに、まだ日が沈みきってないんですね」
「まあ、この国は日の入りが遅いからね」
私はさっきので思い知った。この世界は全力で私たちを殺そうとしていること、私たちが元いた世界とは全く異なる世界にいること、そして、元いた世界の常識は、この世界では通用しないことだ。
「そう言えば、名前言ってなかったね、俺の名前は『Tell』、君は?」
「私は、『KUMI』です。」
「そっか、『KUMI』さんね、よろしく」
「よろしくお願いします、『Tell』さん」
「俺はしばらくこの街に、留まろうと思うから、俺が色々と教えてあげるよ、この世界のこと」
「ありがとうございます。」
あれ? これもしかしてナヴィエの仕事無くなったんじゃ……
「よし、今日はもう遅いから、宿屋に行こう。」
「そうですね、」
「宿代も俺が奢るよ、多分、チュートリアル後で剣とか胸当てとか買ってお金無くなってるでしょ?」
「まあ、はい……」
同じ経験したんだろうな、この人も
宿屋に着き、Tellさんに部屋をとってもらった。
「じゃあ、明日はモンスターとの戦闘の仕方を教えるよ、朝になったら、このロビーで落ち合おう」
「分かりました。」
さて、今日はものすごく疲れた。ふかふかのベッドに寝そべると、一瞬で眠ってしまった。明日もTellさんに会えると考えると、少し安心するな、明日、楽しみだな……
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