後輩は積極的

Joker0808

第10話

「先輩って本当に変態ですね」

「うっ……違うと言えない状況だな……」

「まぁ、男の人ですし、仕方ないですよね。ちなみに私のポロリも期待してます?」

「いや、全く」

「えい」

「イデデデデッ!! な、なんで抓るの!?」

「なんか女として魅力が無いと言われた気分だったので」

 別に俺は彼女を怒らせているつもりは無いのだが、彼女の気に障ることばかり言っているようだ。
 俺の脇腹は度重なる愛実ちゃんからの攻撃で真っ赤になっていた。

「愛実ちゃん、暴力的な女の子はモテないよ?」

「まだ抓られたいんですか?」

「ごめんなさい、余計なお世話でした」

「私って優しいですよね? 暴力的なんかじゃないですもんね?」

「いや、でも最近なんか若干生意気な気が……」

「えい」

「あぁぁぁぁ!! だ、だから! もうわき腹はやめて!!」

 そんな事をしている間に、順番が回ってきた。
 俺はプールのスタッフの女性に言われるがままに、スライダーのスタート地点に座る。

「はい、じゃあ彼女さんは彼氏さんの足の間に座ってください」

「彼氏じゃないんだがな……」

 ため息混じりにそんな事を俺が言っていると、愛実ちゃんが俺の前に座る。
 近い、すごく距離が近い上に、愛実ちゃんの格好は水着だ。
 俺は息子が元気にならないように、頭の中で他の事を考えていた。

「あ、彼女さんもっと彼氏さんにくっついてください。毎晩やっているように!」

「やってねーよ!!」

 俺はスタッフの女性に対して思わずツッコミを入れてしまった。
 知り合いがいて、誤解でもされたらどうするつもりだ。
 そんな事を考えていると、愛実ちゃんが更に俺に密着してくる。

「はい、それでは彼氏さんは彼女さんの腰に手を当ててください。そう! 毎晩やっているように!」

「やってねーって言ってんだろ!!」

 マジでなんなんだこのスタッフは……。
 スタッフに文句を言いながら、俺は愛実ちゃんの腰に手を当てる。

「きゃっ!」

「あ、ごめん!!」

「す、すいません……び、びっくりしただけですから」

「じゃ、じゃあ……もう一回」

 俺は愛実ちゃんにそう言い、もう一度腰に手を当てる。
 柔らかい。
 別に変態ではないが、素直にそんな感想が頭の中に浮かんだ。
 
「先輩のエッチ」

「なんで!?」

 俺の心を読んだのか、それとも俺の手つきがエロかったのか、愛実ちゃんからそんな事を言われてしまう。

「はい、イチャイチャしながら、さっさと行ってください!」

「イチャイチャなんてしてな……おわっ!!」

「きゃっ!!」

「行ってらっしゃーい」

 スタッフの女性に背中を押され、俺と愛実ちゃんはスライダーを滑り始める。
 なかなかに勢いがある上に、コースも長い。
 俺は無意識のうちに愛実ちゃんの腰に手を回して、抱きしめる形になっていた。
 いや、別にエロ目的とかじゃないよ?
 普通に怖いからだよ。

「きゃぁぁぁぁ!!」

「うぉ! はやっ!!」

 あっという間にスライダーは終盤、勢いもどんどん増していき、俺の愛実ちゃんを抱きしめる力も強くなるが、今はそれどころじゃない。
 そして、スライダーはフィニッシュを迎え、俺と愛実ちゃんはゴールのプールにダイブする。

「ぷはっ!!」

「はぁっ!! す、すごかったね」

 俺が笑顔で愛実ちゃんにそう言うと、愛実ちゃんは胸を手で隠し、真っ赤な顔で俺を見ていた。

「先輩の……えっち」

「え!? な、何? 俺なんかした!?」

 俺が愛実ちゃんに尋ねると、愛実ちゃんは顔を赤くしたまま、小声で俺に言う。

「先輩が掴んでたの……私の胸なんですけど」

「え!?」

 そう言えばなんか、無性に柔らかいと思った。
 俺は手に感触を思い出しながら、顔が熱くなるのを感じた。
 愛実ちゃんは顔を真っ赤なにしたままで、一言も言葉を発しない。  

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