異世界でも自由気ままに

月夜 夜

新たな家族

 窓から朝日が差し込み、部屋を照らし始める。 


 イグニスとの出会いから早くも6年が経ち、俺は11歳になった。俺の外見は、身長が145cmまで伸びたこと以外は変わっていない。そう、変わっていないのだ。どれだけ食べても太ることがなく、鍛え続けても力がついている感覚はあるのだが、華奢な体格は変わらなかった。相変わらずの少女のような姿は、もうどうにもならないと諦めているが、容姿と言動が余りにも合っていないのは何とかしたいと思っている。まあ、思っているだけなので具体的にどうするかは決めていないが。


 そして問題なのが俺のステータスである。いや、自分でもやり過ぎたと思っているのだが、取りあえず確認してみようか。


 シグルズ 11歳 男 レベル10000
 種族 人族
 職業 無職
 体力 ∞/∞
 魔力 ∞/∞
 筋力 ∞/∞
 敏捷 ∞/∞
 耐性 ∞/∞
 知力 ∞/∞
 器用 ∞/∞
【スキル】気功10(3↑)・縮地10(4↑)・天駆10(new)・調教10(new)・気配遮断10・隠密10(3↑)・威圧10(2↑)・手加減10(3↑)・演奏10(1↑)・歌唱(1↑)・家事10(1↑)・礼儀作法10(2↑)・全物理耐性10(9↑)・全魔法耐性10(9↑)・全状態異常耐性10(9↑)
【ユニークスキル】配下強化・軍略・無詠唱(new)・多数同時発動(new)・混合魔法(new)・魔力支配・魔力消費1/2・完全記憶・並列思考・アイテムボックス・上位武具作成・上位魔道具作成・完全調薬・促成栽培・地質改良・瞬間装飾・瞬間換装・完全解体・体力自然超回復・魔力自然超回復・限界突破・必要経験値1/2・獲得経験値2倍・完全偽装
【エクストラスキル】武の極み(new)・生産の極み(new)・超再生(new)・武闘神の覇気・メニュー・物質変換・神の威圧・神眼・神光・眷属化・言語理解・最適化・スキル簡易取得
【魔法】全属性魔法10(new)・生活魔法10(9↑)・回復魔法10(9↑)・時空魔法10(new)・重力魔法10(9↑)・結界魔法10(9↑)・付与魔法10(9↑)・精霊魔法10(9↑)・召喚魔法10(9↑)・創造魔法10(new)
【加護&寵愛】武闘神の寵愛・軍神の寵愛・魔導神の寵愛・知識と知恵の神の寵愛・技能神の寵愛・鍛冶神の寵愛・武具神の寵愛・薬神の寵愛・豊穣神の寵愛・創造神の寵愛・狩猟神の寵愛・芸術神の寵愛・治癒神の寵愛・最高神の寵愛・神々の寵愛
【称号】転生者・神々に愛されし者・武闘を極めし者・魔導を極めし者・スキルコレクター・覚醒者(new)・超越者(new)・武闘王(new)・魔導王(new)・生産王(new)




 うん、能力値がおかしいし、いろいろと増えたり消えているがさっさっと確認してしまおう。( )が表示されているのは、新たに覚えた物やレベルが上がった物だ。


 天駆……空中に魔力で足場を作り、駆けることが出来る・足場の数は魔力量に依存する


 調教……相手を調教することで自身の支配下における・成功率は自身の知力と器用値に依存する


 無詠唱……詠唱無しで魔法を使える


 複数同時発動……複数の魔法を同時に使うことが出来る


 混合魔法……違う属性同士の魔法を組み合わせることが出来る


 武の極み……【最適化】によって【刀剣術】【槍術】【槌術】【斧術】【盾術】【暗器術】【鞭術】【鎌術】【弓術】【銃術】【拳闘術】【体術】【二刀流】【双剣術】【投擲】が統合されたスキル・統合されている全てのスキルはレベル10で使う事が出来る・武術系スキルを新たに取得した場合、全てこのスキルに統合される


 生産の極み……【最適化】によって【裁縫】【鍛冶】【木工】【建築】【装飾】【農作】【錬金】【調薬】【料理】が統合されたスキル・統合されている全てのスキルはレベル10で使うことが出来る・生産系スキルを新たに取得した場合、全てこのスキルに統合される


 超再生……自身の欠損した部位を自動で復元する・他者を対象に使うことも出来るが、その場合は欠損に応じた魔力を消費する


 全属性魔法……全ての属性魔法が【火属性魔法】→【火炎魔法】、【水属性魔法】→【流水魔法】、【風属性魔法】→【風旋魔法】、【土属性魔法】→【森土魔法】、【氷属性魔法】→【氷結魔法】、【雷属性魔法】→【雷迅魔法】、【光属性魔法】→【神聖魔法】、【闇属性魔法】→【暗黒魔法】に昇華し、【無属性魔法】も含めて統合された魔法


 時空魔法……【時魔法】【空間魔法】が統合された魔法


 創造魔法……自身が想像した魔法を作り出せる・作り出した魔法を使うには、それに応じた魔力を消費する 


 覚醒者……自身のレベルが100を超えた者に与えられる称号・自身のレベルup時の能力値の成長率が極大up
 

 超越者……自身のレベルが10000に到達した者に与えられる称号・【超再生】を取得


 武闘王……【武の極み】を取得した者に与えられる称号・体力、筋力、敏捷、耐性が極大up


 魔導王……【全属性魔法】を取得した者に与えられる称号・【創造魔法】を取得・魔力、知力が極大up


 生産王……【生産の極み】を取得した者に与えられる称号・自身の生産活動時に必要な材料の量が1/2・器用が極大up


「やっちまったな……」


 以前からのチートぶりに更に磨きがかかっているが、それはこの6年間シグルズが鍛錬を続けてきたことの証明に他ならない。もっともスキルなどによる成長率の上昇がなければ、どれほど鍛え続けてもこんなステータスになる事はあり得ないのだが。


 魔法に関してはイグニスから学び始めて3年で、全てのレベルが上がりきってしまった。元々魔力支配のスキルがあったために魔力の扱いは完璧だったので、上位の魔法のコツさえ教えてもらえれば、レベルは簡単に上がっていった。その後はオリジナルの魔法を作ったり、魔法の精度や威力を高めることに専念してきた。その成果で初級と言われている魔法でも小さな山を吹き飛ばすくらいの威力を出すこともできるようになった。


「まあ、後悔はないけどな!」


 イグニスに聞いたところ、俺のステータスは神をも超えているそうなので、これならば理不尽な力に屈することもなく、自分のやりたいことが出来るだろう。俺自身の変わったことはこれぐらいだが、ほかに変わったことと言えば家族が増えた事だな。


 まずイグニスだが、龍神という衝撃的な告白の後なんやかんやあって一緒に暮らすことになった。ただドラゴンの姿のままでは一緒に暮らすには不便だという事で、【人化】というスキルをイグニスが使い、くせのないロングの金髪と眠そうな黄金の瞳に、メリハリのついた170cm位の体でまったりとした雰囲気の美女に姿を変えて過ごしている。


 元々イグニスはボールスが魔の森に引っ越してくるよりも前からあの洞窟に住んでいた普通のドラゴンだったそうだ。魔の森に漂っている高い魔力を長い年月吸収し続け、周囲の魔物を狩り尽くしていたらレベルやステータスが上がり過ぎてしまい、それを知ったミレディや他の神々から先代の龍神が「もう仕事したくないから適当に転生してくるわ」と言って神を止めてしまったので新たな龍神にならないか?と誘われ、それを承諾したそうだ。


 それからは、この森の魔物が溢れて人里を襲うことがないように、時々魔物を間引いて見守ってきたのだとか。確かにこの森にいる魔物はゴブリンでさえ一般的な騎士よりもステータスが高かったが、あれでもこの森の中では最底辺の力しかない。深部に生息している高ランクの魔物なら国一つ、中部にいる物なら街一つを一体で蹂躙できるだけの力を持っている。まあ、最底辺と言ったゴブリンでも3~5体程集まれば小さな村ぐらいは落とせるかもしれないが。このことを考えれば、誰かが森の監視をしなければ世界はすぐに魔物に蹂躙されてしまうだろうからイグニスが見守っているのも不思議ではない。またここ以外にも魔の森と呼ばれている場所はいくつかあり、そこもほかの神々によって監視されているそうだ。


 次に黒龍のバルドと、フェンリルのエレインだ。二体とも眷属がほしくて深部を探し回っているときに出会い、戦闘とも言えない蹂躙の後、眷属化のスキルを使い仲間になった。それが3年前で今では家族同然の存在になった。バルドはイグニスより10m程小さくなり、漆黒の鱗と翼を持ったドラゴンだ。エレインは白銀の毛で覆われた10mもの身長を持つフェンリルである。二体とも千歳を超えており、高い知性を持っている。そのため人語を理解していて会話することもでき、今では非常に俺を慕ってくれている。【人化】のスキルは神にしか使えない様で、バルドとエレインは人の姿をとることが出来ないのだが、代わりに自身の大きさを自由に変えることが出来るので、普段はバルドが俺の膝の上に丸まって寝れるサイズで、エレインが日本でいう中型犬位のサイズにまで、小さくなって、生活している。因みに二体とも女性というかメスである。


 そして最後になるが、光の精霊ゼスだ。彼は精霊魔法を使うために契約した精霊だ。精霊魔法とは近くにいる精霊の力を借りて魔法を発動させるものでエルフが得意とする魔法なのだが、精霊の力を借りるため同じ魔法でも属性魔法より威力が高くなり、消費する魔力も減少する。これは精霊の方が魔力の扱いに長けているからだ。普通に精霊魔法を使うだけなら特定の精霊と契約をする必要はないのだが、契約することが出来れば魔法を使うときの効率が圧倒的に上がるので、それならばとこの森にある聖泉に向かいそこにいた精霊たちの中からゼスと契約してきたのだ。勘違いしてはいけないが、これは俺が異常なだけで精霊との契約はそう簡単に出来るものではない。


 これは蛇足だが、聖泉は聖水が沸き上がっている小さな池で、その中心に神木という小さな木が生えた陸地がある神秘的な光に包まれた場所であった。そしてゼスは体長20cm程の金髪碧眼美少年だ。純白の服に身を包んだその姿は、女性ならば誰もが見惚れてしまうだろう。彼に出会ったのが5年前なのでバルドとエレインに比べてかなり付き合いが長い。


 そんなわけで、家族が少し増えた。この面子なら世界征服もできそうな気がする。する気はないがな。


「シグルズ~朝ご飯できたよー」


 階下からイグニスが俺を呼ぶ声が聞こえてきた。そういえば今日の料理当番はイグニスだったな。


「はいよ~今行く~」


 俺は読んでいた本を閉じ、ベットから起き上がると乱れた服を軽く整え、一つ伸びをするとドアを開いた。


「さあて、今日も頑張りますかね」


 こうして俺の一日が始まるのだった。





「異世界でも自由気ままに」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く