担任がやたらくっついてくるんだが……
お世話(新井先生編)2
学校に着いてからも、新井先生はとても気を遣ってくれた。
休み時間の度に声をかけてくれて、その度に何だか心強い。他の男子からの視線が痛かったけど……。
そして昼休み……
「はい、あ~ん」
「んぐ……」
「じ~……」
「次は唐揚げにしましょうかね~、はい、あ~ん」
「ん……」
「じ~……」
「うふふ~、餌付けしてるみたいで楽しいですね~」
「「じ~……」」
ひたすら気まずい!
現在の状況を説明すると、生徒指導室にて新井先生と向き合って座り、弁当を食べさせてもらっているのだが、左右には森原先生と奥野さんがいて、じ~っと僕を見ている。かなり食べづらい。僕はまた二人を知らないうちに怒らせたのだろうか?
「あの……」
「「どうかした?」」
「いえ、なんでもありません」
うん、こわい。とってもこわい。足が震えてしまいそうだ。
今日一日の行動を思い返し、何が悪かったのかを考えていると、新井先生がほんわかした笑顔で口を開いた。
「ダメですよ~、そんなに睨んじゃ~。浅野君が怖がってるじゃないですか~」
「「睨んでない」」
「はいはい、今日は私がお世話する番なんですから、二人はおとなしくしててくださいね~」
「たしかにそうね。ごめんなさい」
「むむっ、反論できない……明日は私、明日は私……」
ようやく二人の視線から逃れてほっとしていると、新井先生が何かを思い出したように、ぽんと手を叩いた。
「そうだっ、浅野君に聞きたいことがあるのですが、いいですか~?」
「あ、はい、なんですか?」
すると、新井先生はじぃっとこちらを見つめ、柔らかそうな唇をそっと動かした。
ちなみに、森原先生と奥野さんも興味深そうに注目している。
「浅野君って……好きな人いますかぁ?」
「……ええっ!?」
一瞬何を聞かれたのか理解できなかった。それくらいには意外な質問だった。
「え?え?な、何でいきなり?」
奥野さんも同じ事を考えているのか、あたふたとし始めていた。少し動揺しすぎな気もするけど……。
「新井先生、生徒に何を聞いているのかしら?その……きょ、教師が生徒を誘惑するなどあってならないことだわ……」
森原先生は、やたら早口+小声で何かを呟いていた。そして、それに対し、奥野さんが何故か「おまいう……」とジト目を向けている。
そして、その間もずっと新井先生の目は僕を捉えたままだった。
何かを探るでもなく、ただ真っ直ぐな瞳。からかっているだけではない気がした。
なので僕は、思いつくままに、なるべく飾り気のない言葉を紡いだ。
「いる……かもしれません」
「かもしれない、ですか~。詳しく聞いてもいいですか~?」
新井先生の質問の理由はわからないが、僕はそのまま丁寧に話を続けた。
「……はい。ええと、本当の意味で、そういうことをあまり考えたことないからって、言うのもあるんですけど……あんまり自分には縁がなかったというか……」
「ふむふむ、浅野君は鈍感ですからね~」
新井先生の言葉に、そういうのも関係あるのかと頷きながら、僕は絶対に顔を動かさないように、新井先生の目を見続けた。
そして、また話を続けた。
「でも、最近は何て言うか……たまに、そういうのを考えることがあるというか……色んな人と接しているうちに、その……もっと知りたくなったというか……」
「ふむふむ、どうやら気になる人はいるみたいですね~」
「……まあ、さっき行ったように自分でもよくわかってないんですけど」
「「…………」」
左右から視線をバシバシ感じるが、顔を意地でも動かさず、何とか誤魔化した。
そうこうしているうちに、昼休みの終了を告げるチャイムが
*******
昼休みが終わってからも、帰りのホームルームまで、新井先生は何かと気を遣ってくれた。
森原先生の挨拶でホームルームを終えてから、僕はすぐに教室の後方にいる新井先生の元へ駆け寄った。
「新井先生、今日はありがとうございました」
「いえいえ~、副担として当然のことをしたまでですよ~。それより、今日昼休み質問したこと、しっかり考えてくださいね~」
「えっ、あ、はい……」
そう言って、いつもより少し謎めいた笑みを見せる新井先生に、僕は頷くことしかできなかった。
*******
「そっか、裕一君……好きな人がいるんだ。……私だったらいいな」
休み時間の度に声をかけてくれて、その度に何だか心強い。他の男子からの視線が痛かったけど……。
そして昼休み……
「はい、あ~ん」
「んぐ……」
「じ~……」
「次は唐揚げにしましょうかね~、はい、あ~ん」
「ん……」
「じ~……」
「うふふ~、餌付けしてるみたいで楽しいですね~」
「「じ~……」」
ひたすら気まずい!
現在の状況を説明すると、生徒指導室にて新井先生と向き合って座り、弁当を食べさせてもらっているのだが、左右には森原先生と奥野さんがいて、じ~っと僕を見ている。かなり食べづらい。僕はまた二人を知らないうちに怒らせたのだろうか?
「あの……」
「「どうかした?」」
「いえ、なんでもありません」
うん、こわい。とってもこわい。足が震えてしまいそうだ。
今日一日の行動を思い返し、何が悪かったのかを考えていると、新井先生がほんわかした笑顔で口を開いた。
「ダメですよ~、そんなに睨んじゃ~。浅野君が怖がってるじゃないですか~」
「「睨んでない」」
「はいはい、今日は私がお世話する番なんですから、二人はおとなしくしててくださいね~」
「たしかにそうね。ごめんなさい」
「むむっ、反論できない……明日は私、明日は私……」
ようやく二人の視線から逃れてほっとしていると、新井先生が何かを思い出したように、ぽんと手を叩いた。
「そうだっ、浅野君に聞きたいことがあるのですが、いいですか~?」
「あ、はい、なんですか?」
すると、新井先生はじぃっとこちらを見つめ、柔らかそうな唇をそっと動かした。
ちなみに、森原先生と奥野さんも興味深そうに注目している。
「浅野君って……好きな人いますかぁ?」
「……ええっ!?」
一瞬何を聞かれたのか理解できなかった。それくらいには意外な質問だった。
「え?え?な、何でいきなり?」
奥野さんも同じ事を考えているのか、あたふたとし始めていた。少し動揺しすぎな気もするけど……。
「新井先生、生徒に何を聞いているのかしら?その……きょ、教師が生徒を誘惑するなどあってならないことだわ……」
森原先生は、やたら早口+小声で何かを呟いていた。そして、それに対し、奥野さんが何故か「おまいう……」とジト目を向けている。
そして、その間もずっと新井先生の目は僕を捉えたままだった。
何かを探るでもなく、ただ真っ直ぐな瞳。からかっているだけではない気がした。
なので僕は、思いつくままに、なるべく飾り気のない言葉を紡いだ。
「いる……かもしれません」
「かもしれない、ですか~。詳しく聞いてもいいですか~?」
新井先生の質問の理由はわからないが、僕はそのまま丁寧に話を続けた。
「……はい。ええと、本当の意味で、そういうことをあまり考えたことないからって、言うのもあるんですけど……あんまり自分には縁がなかったというか……」
「ふむふむ、浅野君は鈍感ですからね~」
新井先生の言葉に、そういうのも関係あるのかと頷きながら、僕は絶対に顔を動かさないように、新井先生の目を見続けた。
そして、また話を続けた。
「でも、最近は何て言うか……たまに、そういうのを考えることがあるというか……色んな人と接しているうちに、その……もっと知りたくなったというか……」
「ふむふむ、どうやら気になる人はいるみたいですね~」
「……まあ、さっき行ったように自分でもよくわかってないんですけど」
「「…………」」
左右から視線をバシバシ感じるが、顔を意地でも動かさず、何とか誤魔化した。
そうこうしているうちに、昼休みの終了を告げるチャイムが
*******
昼休みが終わってからも、帰りのホームルームまで、新井先生は何かと気を遣ってくれた。
森原先生の挨拶でホームルームを終えてから、僕はすぐに教室の後方にいる新井先生の元へ駆け寄った。
「新井先生、今日はありがとうございました」
「いえいえ~、副担として当然のことをしたまでですよ~。それより、今日昼休み質問したこと、しっかり考えてくださいね~」
「えっ、あ、はい……」
そう言って、いつもより少し謎めいた笑みを見せる新井先生に、僕は頷くことしかできなかった。
*******
「そっか、裕一君……好きな人がいるんだ。……私だったらいいな」
「担任がやたらくっついてくるんだが……」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
-
2.1万
-
7万
-
-
6,681
-
2.9万
-
-
176
-
61
-
-
66
-
22
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
5,217
-
2.6万
-
-
5,039
-
1万
-
-
9,711
-
1.6万
-
-
8,191
-
5.5万
-
-
3,152
-
3,387
-
-
2,534
-
6,825
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
3,548
-
5,228
-
-
9,448
-
2.4万
-
-
6,199
-
2.6万
-
-
1,295
-
1,425
-
-
2,860
-
4,949
-
-
6,675
-
6,971
-
-
23
-
3
-
-
218
-
165
-
-
3万
-
4.9万
-
-
6,044
-
2.9万
-
-
344
-
843
-
-
76
-
153
-
-
450
-
727
-
-
6,237
-
3.1万
-
-
62
-
89
-
-
3,653
-
9,436
-
-
1,863
-
1,560
-
-
1,000
-
1,512
-
-
62
-
89
-
-
14
-
8
-
-
108
-
364
-
-
1,658
-
2,771
-
-
2,629
-
7,284
-
-
89
-
139
-
-
398
-
3,087
-
-
2,951
-
4,405
-
-
3,224
-
1.5万
-
-
183
-
157
-
-
408
-
439
-
-
86
-
288
-
-
9,173
-
2.3万
-
-
104
-
158
-
-
164
-
253
-
-
51
-
163
-
-
614
-
221
-
-
88
-
150
-
-
42
-
14
-
-
1,391
-
1,159
-
-
614
-
1,144
-
-
7,474
-
1.5万
-
-
220
-
516
-
-
215
-
969
-
-
2,799
-
1万
-
-
1,301
-
8,782
-
-
4,922
-
1.7万
-
-
2,431
-
9,370
コメント