担任がやたらくっついてくるんだが……
ハーレムはいやっ!でもないけど……
……どうしよう。
混乱に乗じて、こっそりキスしちゃったけど……思ったより唇に近かったわ……。
ああ、どうしよう……顔赤いかも。
いえ、気を引き締めなきゃ。今日はまだいける気がする……!
*******
僕達は、突然入ってきた奥野さんに正座させられていた。まあ、確かに……怒られても仕方ないよな。ていうか、助かった……あのままだったら、やばかったかも。色々と……それに……
頬の辺り……割と唇に近い場所を指で触れると、そこには何か痕があるような、不思議な感覚がした。
僕の勘違いかもしれないけど、あの感触って……。
すると、そんな夢心地といえなくもない思考を断ち切るように、奥野さんの盛大な溜め息が聞こえてきた。
「はあ、まったくもう……何やってるんですか。いい大人が揃いも揃って」
「「「ごめんなさい……」」」
「浅野君も、嫌なら嫌って言わなきゃダメだよ?」
「……は、はい、いや、でも別に嫌とかじゃ……」
「…………」
僕の反応に、奥野さんがジト目を向けてきた。
「そりゃあ、浅野君は綺麗なお姉さん達に囲まれてご満悦だったかもしれないけどさ?」
「うっ、い、いや、そんなんじゃ……」
「まあまあ、奥野さん。今回は私達も悪かったわけですし~」
「ていうか、何で新井先生がここに……最近なんか怪しいと思ったら、やっぱり……」
「何の事ですか~?」
「と、とぼけても無駄ですからね!最近、妙に浅野君との絡みが多いというか……その……」
そこで、姉さんが「はい、は~い」と手を上げる。
「裕くん、一応聞いておくけど……この子は裕くんの彼女じゃないよね?」
「えええっ!?か、彼女!?わ、私は、えっと……「違います」何でそこで先生が否定するんですかぁ!?」
「と、とりあえず、裕くんのクラスメイトね。わかったわ」
「あの、お姉さんは?」
「私?私は裕くんの姉の蛍です。あなたは?」
「お、お姉さん?あっ、すいません、勝手に上がり込んじゃって。私は……クラスメイトの奥野愛美です」
「へえ、クラスメイト?裕くんのクラスの女子がウチに来るなんて、どんなファンタジーかしら」
「姉さん。僕への罵倒になってるよ」
「お姉さん?むむっ……」
「クラスメイト、ねぇ……」
簡単な自己紹介を済ませた二人は、何故か数秒間じっと見つめ合う。そこには、初対面らしい遠慮みたいなのを、あまり感じなかった。
やがて二人は無言のまま頷き合う。
「なるほど……そういうことなんですね」
「ええ。そういうことなのよ」
「浅野君……こんなところにまでライバルを……ほんともう……バカ」
「そこが裕くんクオリティだからね。許してあげて。おバカなのは同意するけど」
「…………」
えっ?この二人、何で通じ合ったの?そして、さりげなく僕が罵倒されたのは何故?確かにバカなところはあるけど……。
「よしよし、お姉さんは味方だからね~。浅野君♪」
「……私も味方」
「は、はあ……」
新井先生に頭を撫でられていると、森原先生がいつもより控えめな声のトーンで割り込んでくる。心なしか、少し顔が赤いような……。
そこで、玄関の扉が勢いよく開く音が聞こえてきた。この音は母さんだろう。
予想通り、スーツ姿の母さんが気だるげな表情で居間に入ってきた。出張お疲れ様。
「ただいまーっと。あら、今日は来客が多いわね。てか、蛍じゃない。アンタ、一体どうしたの?」
「ふふっ、裕くんに会いに来たに決まってるじゃん!」
「そっか、相変わらずやばいくらいブラコンだな。はやく彼氏でも作れ」
「反応薄っ!せっかく可愛い長女が帰ってきてるのに!」
「いや、なんかこの不思議な光景見ればねぇ?そりゃあ、それどころじゃなくなるわ……あれ?私はまだ夢の中にいるのかしら?」
「母さん、どうかした」
「どうしたもこうしたも……ウチの息子がこんなハーレム形成してるとか……あれ本当に私の息子?」
母さん……間違いなく息子ですよ……。
「ていうか、失礼だよ母さん!いきなりそんなこと言われたら先生達も……!」
「浅野君……ハーレムがいいの?」
「違いますよ!?」
ハーレムはイヤっ!とまでは言わないけれど、自分には到底無理そうだ。まず、そこまでモテないだろうし。
「ここに若葉も加わるのか……まあ、一人くらい年下がいたほうがバランスが……」
「ハ、ハーレム……浅野君、そういうのがいいの?」
「いや、だから違うよ!?」
「そりゃあ、浅野君ですから~」
「新井先生!?いや、何ですか。僕がそういう願望を口に出してるみたいな反応!」
「……まあとりあえず、孫は期待してもよさそうだな」
「母さん、とりあえずやめようか。それ以上母さんが喋ると、よくないことが起きそうな気がする」
気がするというか、実際起きてるんだけどね……。
「……お任せください」
今、森原先生が何か呟いた気がするけど、目を向けても、いつも通りの無表情だった……き、気のせいかな。
すると、そこで新井先生が「あれ~?」と可愛らしく小首を傾げた。
「そういえば、私達は何しに来たんですかね~?」
『…………』
何故か冷たい隙間風が通り抜けた気がした。
混乱に乗じて、こっそりキスしちゃったけど……思ったより唇に近かったわ……。
ああ、どうしよう……顔赤いかも。
いえ、気を引き締めなきゃ。今日はまだいける気がする……!
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僕達は、突然入ってきた奥野さんに正座させられていた。まあ、確かに……怒られても仕方ないよな。ていうか、助かった……あのままだったら、やばかったかも。色々と……それに……
頬の辺り……割と唇に近い場所を指で触れると、そこには何か痕があるような、不思議な感覚がした。
僕の勘違いかもしれないけど、あの感触って……。
すると、そんな夢心地といえなくもない思考を断ち切るように、奥野さんの盛大な溜め息が聞こえてきた。
「はあ、まったくもう……何やってるんですか。いい大人が揃いも揃って」
「「「ごめんなさい……」」」
「浅野君も、嫌なら嫌って言わなきゃダメだよ?」
「……は、はい、いや、でも別に嫌とかじゃ……」
「…………」
僕の反応に、奥野さんがジト目を向けてきた。
「そりゃあ、浅野君は綺麗なお姉さん達に囲まれてご満悦だったかもしれないけどさ?」
「うっ、い、いや、そんなんじゃ……」
「まあまあ、奥野さん。今回は私達も悪かったわけですし~」
「ていうか、何で新井先生がここに……最近なんか怪しいと思ったら、やっぱり……」
「何の事ですか~?」
「と、とぼけても無駄ですからね!最近、妙に浅野君との絡みが多いというか……その……」
そこで、姉さんが「はい、は~い」と手を上げる。
「裕くん、一応聞いておくけど……この子は裕くんの彼女じゃないよね?」
「えええっ!?か、彼女!?わ、私は、えっと……「違います」何でそこで先生が否定するんですかぁ!?」
「と、とりあえず、裕くんのクラスメイトね。わかったわ」
「あの、お姉さんは?」
「私?私は裕くんの姉の蛍です。あなたは?」
「お、お姉さん?あっ、すいません、勝手に上がり込んじゃって。私は……クラスメイトの奥野愛美です」
「へえ、クラスメイト?裕くんのクラスの女子がウチに来るなんて、どんなファンタジーかしら」
「姉さん。僕への罵倒になってるよ」
「お姉さん?むむっ……」
「クラスメイト、ねぇ……」
簡単な自己紹介を済ませた二人は、何故か数秒間じっと見つめ合う。そこには、初対面らしい遠慮みたいなのを、あまり感じなかった。
やがて二人は無言のまま頷き合う。
「なるほど……そういうことなんですね」
「ええ。そういうことなのよ」
「浅野君……こんなところにまでライバルを……ほんともう……バカ」
「そこが裕くんクオリティだからね。許してあげて。おバカなのは同意するけど」
「…………」
えっ?この二人、何で通じ合ったの?そして、さりげなく僕が罵倒されたのは何故?確かにバカなところはあるけど……。
「よしよし、お姉さんは味方だからね~。浅野君♪」
「……私も味方」
「は、はあ……」
新井先生に頭を撫でられていると、森原先生がいつもより控えめな声のトーンで割り込んでくる。心なしか、少し顔が赤いような……。
そこで、玄関の扉が勢いよく開く音が聞こえてきた。この音は母さんだろう。
予想通り、スーツ姿の母さんが気だるげな表情で居間に入ってきた。出張お疲れ様。
「ただいまーっと。あら、今日は来客が多いわね。てか、蛍じゃない。アンタ、一体どうしたの?」
「ふふっ、裕くんに会いに来たに決まってるじゃん!」
「そっか、相変わらずやばいくらいブラコンだな。はやく彼氏でも作れ」
「反応薄っ!せっかく可愛い長女が帰ってきてるのに!」
「いや、なんかこの不思議な光景見ればねぇ?そりゃあ、それどころじゃなくなるわ……あれ?私はまだ夢の中にいるのかしら?」
「母さん、どうかした」
「どうしたもこうしたも……ウチの息子がこんなハーレム形成してるとか……あれ本当に私の息子?」
母さん……間違いなく息子ですよ……。
「ていうか、失礼だよ母さん!いきなりそんなこと言われたら先生達も……!」
「浅野君……ハーレムがいいの?」
「違いますよ!?」
ハーレムはイヤっ!とまでは言わないけれど、自分には到底無理そうだ。まず、そこまでモテないだろうし。
「ここに若葉も加わるのか……まあ、一人くらい年下がいたほうがバランスが……」
「ハ、ハーレム……浅野君、そういうのがいいの?」
「いや、だから違うよ!?」
「そりゃあ、浅野君ですから~」
「新井先生!?いや、何ですか。僕がそういう願望を口に出してるみたいな反応!」
「……まあとりあえず、孫は期待してもよさそうだな」
「母さん、とりあえずやめようか。それ以上母さんが喋ると、よくないことが起きそうな気がする」
気がするというか、実際起きてるんだけどね……。
「……お任せください」
今、森原先生が何か呟いた気がするけど、目を向けても、いつも通りの無表情だった……き、気のせいかな。
すると、そこで新井先生が「あれ~?」と可愛らしく小首を傾げた。
「そういえば、私達は何しに来たんですかね~?」
『…………』
何故か冷たい隙間風が通り抜けた気がした。
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