戦国生産無双伝!

なんじゃもんじゃ

51話

 


 ロイド歴三八八八年一二月上旬


 順調にイゼとスマの国を平らげた。
 まさかカホコの説得でほぼ全ての国人衆が降伏してくるとは思っても居なかった。
 降伏してきた国人衆は全て領地替えを行い知行地を半分にすると申し付けていたので抵抗は激しいと思っていたが、カホコは予想以上に国人衆の信任を得ていたようだ。
 国人衆も降伏の条件が半知召し上げとなれば面子が潰れたり家臣を食わしていけないとニシバタケと心中する方に傾いていたようだが、そこに主人筋のカホコが使者としてやってきて降伏を進めたことで国人衆の面子が潰れることなく更にカホコから減った知行分の家臣をカモン家が直臣として召し抱えると聞けば降伏に傾いたようだ。


 最後まで抵抗したのはニシバタケ一族でノリアツの弟の一人だった。
 彼はニシバタケ宗家を僭称し国人衆に檄文を送っていたが、傲慢な性格でノリアツからも見放されていた彼を宗家として敬う者はいなかった。
 だから俺は城を包囲し爆破大弩の集中運用で城内に立て篭もる将兵全てを皆殺しにした。
 ここまで来て俺に降伏もしないのだから徹底的にやってやったし、彼に従う兵も戦を長引かせる罪を背負っているのだから躊躇せずに断罪した。


 国人衆を説得したカホコは俺の予想を大きく上回る結果を出してくれたので約束通り女子供を助け更に化粧代として年間三〇〇〇石の玄米を彼女に与えることにした。
 ニシバタケの直系であるカホコを優遇することで旧ニシバタケ家の家臣たちの反感も抑えることができるので丁度良かったしこれだけあれば生き残ったニシバタケ一族が慎ましやかに暮らすことはできるだろう。
 生き残った子供が将来俺に仕官したいと言うのであれば受け入れることも約束した。これらを感状に認めカホコに渡した。
 尤も、彼女を始め一族の者は俺を恨んでいるだろうから反抗する可能性も多分にある。そうなったらそうなったで今度こそニシバタケ一族を完全に滅ぼすまでだ。


 イゼとスマの国を平定したことで、両国の国人衆を先鋒として直ちにキエの国に軍を進めた。
 キエの国でも俺へ投降してくる国人衆が殺到したが、サイガ衆を中軸とした念後呂寺の勢力が徹底抗戦の姿勢をみせている。
 既に海岸線は押さえ、イゼ方面、ダイワ方面、レイセン方面と陸続きの全方向を封鎖しているので念後呂寺勢を支援するのは僅かな国人衆だけとなった。
 この国人衆にもカホコを使者としているのでかなりぐらついているだろう。






 ここでアワウミへ侵攻したアサクマ勢が引いて行ったと報告があった。
 何度か剣を交えたようだが、味方には大きな被害はなかった。逆にアサクマ勢は鉄砲隊や中筒隊の活躍によって大きな被害を出したそうだ。
 そしてここでトシマサ・マツナミの名が挙がった。彼は配下の兵を率いアサクマ勢に大きな打撃を与え副将格のフサカゲ・アサクマを討ち取ってアサクマの負けを確定させたのだ。
 トシマサは今回の防衛戦で功績を挙げたので褒美を与えなければならない。このまま彼に力を与えて良い物か悩むところだ。
 もし彼が俺を討ちカモン家を乗っ取ろうと考えているなら早めに排除する必要があるが、無実の罪で彼を排除するわけにもいかない。困ったものだ。






 念後呂寺勢の主力はサイガ衆なので、サイガ衆が運用している鉄砲の射程外から爆破大弩やライフルで敵を爆殺、あるいは射殺する。
 鉄砲の性能なら数段上だし、サイガ衆が鉄砲以外に火薬を使うことはない。何故なら火薬は非常に貴重で鉄砲の運用以外に使う余裕がないのだ。
 このワ国では硝石が産出しないので硝石を糞尿から作り出せても量が限られているので必然的に火薬の製造量も限られているのだ。


 さて、味方は火薬を大量に投入し爆破大弩やライフルによって念後呂寺勢を追い詰める。
 奴らが籠城しようと城から打って出ようと最早同じ結果となる。
 籠城すれば雨あられの様に降り注ぐ爆破大弩によって、城から打って出ればライフルによって、どちらにしても彼らに待つのは悲惨な運命だ。
 これも彼ら自身で選んだ運命なので俺は何も思うことはない。嫌なら戦いを選択しなければ良いのであって自分は殺されたくないけど、他人なら殺しても良いと思っているなら頭が腐っているのだろう、殺される覚悟もなく戦争を選ぶなっていうことだ。
 特に宗教によって洗脳されている奴らは始末が悪い。盲目な信者ほど始末が悪いものはないのだ。


 念後呂寺勢は当初三千の兵で城に立て籠もっており、対しカモン家は八万の兵で包囲し既に籠城している城もあちこっちから火の手が上がっており生き残りは少ない。


「兄上、念後呂寺勢は何故降伏しないのでしょうか?」


 この様な状況になっても降伏しない念後呂寺勢に疑問を投げかけるシュテン。


「盲目なのだよ」
「盲目……ですか?」


 分かりずらいのは分かっている。しかし宗教についてどうやって説明すれば良いか俺にも分からないんだ。


「シュテン、敵を知るのはとても重要なことだ」
「はい」
「それ以上に重要なことは何だと思う?」
「敵を知る以上に重要なことですか…………己を鍛えることでしょうか?」


 暫く考えたシュテンの答えはあまり良い答えではなかった。これは兵法書をしっかり勉強させなければ。


「シュテンは己一人を鍛えて数千、数万の敵に勝てると思っているのか?」
「……いいえ……」
「シュテン、お前は私の弟であり五年後、十年後のカモン家の中枢を担うことになるのだ、もっと大きな視野で物事を見ることができるようにならねばな」
「……はい」


 シュテンの声が小さい。俺が言い過ぎたのか?しかしここで甘やかしたらシュテンの為にならないと心を鬼にしてシュテンを導こう。


「殿、ご舎弟様はまだ若くこれから色々なことを経験し大きく成られましょう」
「左様、ご舎弟様が殿のようになられては我らの立つ瀬がないですからな」


 しょんぼりするシュテンを励まそうとするシゲアキとコウベエ。


「あまり甘やかすな。戦場ではいつ命を落とすか分からぬのだ。甘い考えで死ぬのはシュテンとその部下たちだ」
「殿は戦場では鬼になりますからな」
「左様、敵には容赦が御座いませんな」


 こいつら俺を出汁にシュテンの気持ちを軽くしようとしてやがるな。


「シュテン、俺は一度死にかけたことがある。そのことは知っているか?」
「い、いえ……」
「領内を見回っていた時に暗殺者によってな。生きていたのは奇跡に近い。それ以来、敵だけではない、どのような場においても決して油断しないように心がけている」
「そんなことが……」
「シュテン、味方と敵、全てを見極めろ。情報を甘く見るな、些細な情報だと思った情報がお前や部下たちを助けることもあるのだ」


 神妙な表情で俺の話を聞くシュテン。前線指揮官であれば脳筋でも勇猛な将だと言われるが、シュテンには俺に代わって全軍を指揮してもらわなければならないのだ、この程度で凹んでいては困る。


 ここに城が陥落したと報せがきた。てか、完全に廃城にしてしまった。
 城郭などあたようだ、程度まで徹底的に爆発され天守も無惨に焼け落ちている。


 これでキエの国もほぼ平定した。エイベエに残党狩りを指示して俺は四万の兵を率いてダイワの国に入りロクロウ・ツツミと会談の場を持った。


「左大将殿、此度の援軍忝い」
治部大輔じぶだいふ殿、義理とは言え兄弟となるのです、お気になさらないように」


 正五位下治部大輔、ロクロウ殿の官位官職だ。本来は太政官の一員で家の相続や冠婚葬祭に社寺や僧尼の監督を司る治部省の次官なのだが今は形骸化している。
 ロクロウが京の都で治部省の職務を全うしている事実はない。
 そして名目上は俺の方が官位官職が上なのでロクロウよりも上座に座っているが、年齢は彼の方が上である。


「義父殿、此度は御骨折り頂いて申し訳ありませんでした」
「何、隣国のダイワの国をニシバタケの好きにさせたくなかっただけだ」


 更に上座に座るホウオウの義父殿に俺は挨拶をする。


「ところで、ヒサアキ殿は如何なされたので?」
「内大臣様に預けてあり申す」
「ダイワの国からは離しておいた方が良かろうと思って引き受けたのだ」


 ロクロウは弟のヒサアキを殺すことはしなかった。
 非情になれないのか、まだ使い道があると思っているのか、恐らくは前者だろう。
 他に敵対していたイエオキ・ツツミ、ホウゼン・カザミのダイワ勢力もロクロウの傘下に収まったのでロクロウはダイワの国を統一しているのでこれ以上は望まないのだろう。


 今回、俺はイゼ、スマ、キエの三ヶ国を手に入れた。ツツミ家は助けられた側だしダイワの国を再統一できたので三ヶ国に対して何も要求していない。
 ホウオウの義父殿も表面上は何も言わないが、このまま帰してはホウオウ家だけタダ働きになってしまうし、援軍を要請したのは俺なのでこのまま帰すわけには行かない。
 だからホウオウ家にレイセンの国の境港を移譲することにした。元々はワ国最大の港を移譲すると言う俺に義父殿は驚いていたが太平洋艦隊を組織したので太平洋航路として境港は重要な港なので年が明けたら港の工事を命じようと思っていたのだ。勿論、費用は全て境商人に負担させるつもりだったので、それを移譲と共に発表しようと思う。


 実を言うとホウオウ家が治めるカワウチの国は海に面していないが境港から京の都までの道中でカワウチを通ることになる。つまり境港をホウオウ家が治めれば境港から京の都まで街道整備をしてもらい物流を活発化できると思っているのだ。
 後はレイセンを実質的に支配している国主代のミナミ家を納得させるだけだ。ミナミは先の戦で大打撃を受け今は雌伏の時を過ごしている。少なくともミナミ家の治めるレイセンを商人が行き来するのでミナミにもチャンスがあるので懸命な判断をしてくれると思う。


「既に婿殿にはカワウチを取らして貰ったのだ、これ以上望むのは身を亡ぼすものだがな」
「そう言われますな、ミナミに組したことで境商人を無罪放免といかなかったのですが、そろそろ境の港にも太平洋艦隊を寄港させようと考えております。それを義父殿にして頂きたいのです」
「良いのか?境港に艦隊を寄港させればカモンが潤うと思うが?」
「我がカモン家は今更境港からの税収に頼る必要はございませぬ、それにイゼ、スマ、キエの三ヶ国を手中にしカモンは大きく成り過ぎました。義父殿にその片棒を担いで貰わねば」
「ふ、世の嫉妬心をカモンとホウオウで分け合うと言うのだな」


 ホウオウ、ツツミ、カモンの三者会談を終えて俺はもう一つの目的を果たすことにした。


「ソウシン・カモンだ」
「カナに御座います」


 ツツミ家のカナ姫は幼い顔をしているが、これでも一七歳だ。そしてその見た目は所謂ロリ巨乳だった。
 俺はロリコンではないが可愛いげのある顔立ちをしていると思う。






 

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