チートスキルはやっぱり反則っぽい!?

なんじゃもんじゃ

チート! 016 スキルマスターはチートのニオイ!

 


 ・・・【スキルマスター】を検証しようと思っていたのだが、スノーが瞬殺してしまうので魔物からスキルを奪う事ができない。
 この【スキルマスター】は生きている対象からしかスキルを奪ったり操作したりできないのがここまでで分かっている。
 このままスノーが見敵必殺では話にならないのでスノーには悪いが控えるように指示するしかないだろう。
 しかし魔物のスキルを操るには魔物に接触していなければならず、魔物が大人しく接触させてくれるわけもない。
 どうするかと考えたシローは【雷魔法】を思い出す。
 対象を【雷魔法】で痺れさせれば接触できるだろうと、そう考えたら更に思い出したのがスノーの【氷魔法】だ。
 対象を氷漬けにして体の一部だけ露出させれば接触も簡単ではないかと。


「スノー、次からは魔物を瞬殺するのではなく、最初に行動不能にして欲しい」
「と、言いますと?」
「そうだな、首から下を氷漬けにして殺さずに行動不能にできるかな?」
「はい、やってみます」


 丁度良いところにオークが現れたので早速オークの氷漬けを作って貰う。
 斧を持ったオークが所持しているスキルは【斧術】【身体強化】【悪食】【生殖】で、杖を持ったオークが所持しているスキルは【火魔法】【悪食】【生殖】だった。
 杖を持ったオークは体の自由は利かないが口は動かせるので【火魔法】で攻撃したり氷を溶かそうとしてくるので、このオークの頭を木の枝で軽く殴って気絶させる。
 そして触りたくはないと思いつつシローがオークの頭を手で触れて【火魔法】を奪うように念じる。
 スーっと何かがシローの体に入って来たような感覚があったのでステータスを確認してみると【火魔法】レベル1がレアスキルの欄に追加されていた。


 《【火魔法】を【炎魔法】に統合します。【炎魔法】はレベル3から変りません。実行しても宜しいでしょうか。Yes/No》


「うおっ!」
「どうされましたのですか?!」
「あ、いや、何でもない」


 いきなり脳内にアナウンスが流れてビックリしたとはスノーに言えないので、ちょっと躓いたと誤魔化しておく。


 (何と言うか、これが【スキルマスター】の能力である『自分のスキルを最適化する補助が得られる』ってやつですかね? 勿論、『No』だよ)


 《今後、【火魔法】と【炎魔法】の統合は指示がない限り確認を行いません。宜しいでしょうか。Yes/No》


 (何とまぁ! こんな能力まであるのですか? 毎回アナウンスして貰うのもウザイのでこれは『Yes』でしょう)


 次は同じオークから【悪食】を奪おうと念じたが、何も反応がなかった。


 (あらら? もしかしたら奪えるスキルには制限があるのだろうか、それとも1体から奪えるスキルは1つだけなのだろうか?)


 試しに斧を持ったオークから【斧術】を奪って更に【身体強化】を奪おうとしたら、今度はアナウンスが知らせてくれた。


 《【身体強化】は既にレベル10となっておりますのでこれ以上奪う事はできません》


 (ふむ、ならば【悪食】をば。 ・・・何もないか・・・【悪食】に種族などの限定があるのか、それとも1体から1つのスキルしか奪えないのか・・・要検証だ!)


「ご主人様・・・何をされているのでしょうか?」


 傍から見たらオークの頭に手を置いてブツブツ言っているシローの姿は異様だろう。


「魔物の生態と言うか、そう言うものを確認していたんだ。スノーのおかげで拘束ができるからね」
「ご主人様はとても強いのにもっと魔物を研究しようとしているのですね! 流石はご主人様です!」


 (ははは、何だか俺をリスペクトして頂いておりますが、中身は結構下種な事をしていますのであまり褒めないで下さいよ。やっている事は結構下衆な事だから)


「よし、この2匹はもう不要だから殺っちゃって良いよ。あ、そうだ!せっかくの的なので弓でも試そうか」
「はいっ!」


 元々スノーは【弓術】スキルがレベル2だったので、弓の経験さえ積んでいけば使い物になるだろうし、レベルだって上がる可能性がある。
 そこは努力しても身にならないシローから見ると羨ましい限りである。


 矢を番えヒュンッと放った矢はしっかりとオークの右目に刺さった。
 才能値である【弓術】スキルだが、スノーは努力によって既にレベル2の実力を持っているようだ。


「あれ・・・額を狙ったのに・・・」


 どうやら右目を狙ったわけではないようだ。
 右目に矢が刺さったオークはまだ光にならないし、刺さった矢が痛いのだろう呻いている。
 次は額に命中し、3射目を喉に受けて絶命する。


 オークには可哀想だがスノーの糧になって貰おうと目を瞑るシロー。
 それにもし肉がドロップしたら俺が有り難く頂くなどと考えてもいる。


 2体のオークが絶命し光となり消えて行くとアイテムを残す。


 (あれ、今回は2体ともアイテムを残していたよな?)


 偶然かな? などと思っていたが、偶然ではなくその後もアイテムはドロップしている。
 どうやらシローが戦闘に加わるとアイテムのドロップ率が上がるようだと検討をつける。


 ファーストアタックもラストアタックもスノーが行っており、シローは身動きができない魔物のスキルを奪うだけではあるが、それでもシローが戦闘に関与したと判断されるようで、アイテムのドロップ率が100%になっている。
 更に【スキルマスター】の制限についても継続して検証した結果、1体の魔物から1つのスキルしか奪えないというのも分かった。


 そんな感じで日が暮れる頃まで魔物を狩りながら旅をする。
 そこそこの数を狩ったおかげで【火魔法】【水魔法】【風魔法】【地魔法】【斧術】【剣術】【槍術】をゲットしたのだが、【斧術】【剣術】【槍術】は努力が報われないシローには無用の長物であった。
 更にスキルを奪った時のレベル加算はレベルの足し算ではなく、経験値の足し算だという事も分かった。
 つまりレベル1に更にレベル1を奪って加算してもレベル2にはならない事が多いのだ。
 これはスキルの統合でも同様の考え方ができるのだが、下位スキルの経験値は何割か少なく計算されるようだ。


「今日はご苦労だったね。ところで、スノーに新しい力が発現していてもおかしくないと思うのだけど、何か感じないかな?」


 シローは今日の簡易家を作りながらスノーにスキルの発現について何か感じなかったかと聞いてみる。


「え?・・・あの、よく分かりません」
「そうか、なら【火魔法】のファイアボールを放ってみようか。もしスノーに【火魔法】が発現していたらできるはずだよ」
「【火魔法】ですか? そんな簡単には・・・」
「まぁ、騙されたと思って試してみなよ」
「はい・・・『火の球となりて顕れ我に従え』・・・ファイアボール!」


 スノーの掌の上に直径10cmほどの火の球が顕れるとスノーは目を見開き、暫くその火の球を見つめて呆然としている。


「お~い、スノー君や~い」
「え、あ、はいっ!」
「それ、早く処分しないとドンドンMPを消費するよ」
「は、はい」


 スノーは火の球を誰も居ない方に放ちまた呆然とする。
 スノーの基本属性は氷なので火とは相性が悪くこれまで何度も【火魔法】を覚えようと訓練をしてみたが覚える事はなかったのだ。
 それが今になって使えるようになったので、呆然とするのは分からない話ではない。


「そんなに呆けているとオークに襲われて孕まされるぞ」
「な、な、な、何を言っているのですかっ!」
「と言うわけで、風呂の用意はスノーに任せるからね。俺は夜ご飯を作るよ」
「どんなわけか分かりませんが、お風呂は頑張ってお湯をはります!」


 シローは風呂をスノーに任せ、夜ご飯を作り出す。
 今日のメニューはオーク肉のソテーとミネストローネにパンだ。


 オークの肉はブロックでドロップするので、厚切りにして小量の油をフライパンに引いて焼く。
 味付けは塩と胡椒のみのシンプルなものだが、ニンニクやショウガ、それに醤油などの調味料が入手できないので仕方がない。


 そしてミネストローネ用にトマトをベースにして細かく切り刻んだ人参、玉ねぎ、ジャガイモ、キャベツ、ベーコンを投入する。
 残念ながらこちらも塩と胡椒のみの味付けしかできないが、野菜やベーコンから美味しいエキスが出ているので、意外と美味しい。
 今日はコッペパンのようなパンをストレージから取り出す。
 ミネストローネに浸して食べても美味しいが、そのままでも甘味があり美味しいのでシローのお気に入りのパンなのだ。


 風呂のお湯をはっていたスノーが戻ってきたのだが、かなり疲れ切っている。
 慣れないお湯作りは大変のようだ。
 だから今日はご褒美としてデザートを作ってやるシローだった。
 デザートの事はサプライズにするつもりだったので言ってはいないが、スノーは今日も幸せそうに食事をし腹一杯になるまで食べる。


「今日はデザートを用意した。まだ食べれるか?」
「えっ?! デザートですかっ!」


 スノーは自分の腹を撫でながらまだ入るのかと自分の腹と相談している。
 そして意を決したようにグーを作り「お願いします!」と気合を入れている。
 シローが作ったデザートはアイスクリームだ。
 バニラはないので牛乳ならぬ水牛の乳と卵に高価な砂糖を材料として作り上げたアイスクリームだ。
 しかしこんなところで水牛の乳から生クリームを作るのに【錬金術師】が役に立つとは思ってもいなかったシローだった。
 それとスノーから内緒で分けてもらった【氷魔法】も役に立っている。
 勿論の事だが、スノーの【氷魔法】から経験値1分しか貰っていないのでスノーの【氷魔法】には殆ど影響はない。


「こ、これはっ!」


 アイスクリームを1口、口に入れたスノーは飛び上がりそうなくらいに驚き、手をバタバタさせ感動を表している。


「な、な、なんですか、これはっ!」
「アイスクリームと言うデザートだ。美味しいか?」
「美味しいなんてものではありませんよ。甘くて冷たくて、そしてこんなに濃厚なのに後味はスッキリとしています」


 君はどこかのグルメリポーターか? などと心の中で突っ込みを入れるシロー。
 スノーはパクパクと口の中にアイスクリームを放り込むのだが、あの苦しみがスノーを襲う。


「う゛~、あ、頭が」


 コメカミの辺りを押さえて苦しんでいるスノーを見て笑いを堪えるシロー。


「冷たいものを一度に大量に摂取するとそうなるんだ。だからユックリ食べると良いぞ」
「そういう事は早めに教えて下さい!」


 苦しみを乗り越えたスノーは3杯のお変わりをして満足した。
 夕食で腹が一杯だったのではないのか? と思うシローだったが、デザートは別腹なのを思い出した。




 ■ 個人情報 ■
 シロー
 人族 男 12歳
 冒険者


 ■ 能力 ■
 HP:486/486
 MP:1,512/1,512
 STR:300
 VIT:300
 AGI:200
 DEX:200
 INT:500
 MND:300
 LUK:200


 ■ ユニークスキル ■
 チート
 スキルマスター


 ■ ウルトラレアスキル ■
 解析眼Lv10
 時空魔法Lv10
 神聖魔法Lv1(NEW)


 ■ スーパーレアスキル ■
 MP値増加200%
 HP値増加50%
 雷魔法Lv10
 木魔法Lv3(NEW)
 炎魔法Lv3(NEW)
 氷魔法Lv1(NEW)


 ■ レアスキル ■
 隠密Lv10
 空間把握Lv10
 危機感知Lv10
 剣士Lv10
 料理人Lv4(NEW)
 火魔法Lv1(NEW)
 水魔法Lv2(NEW)
 風魔法Lv3(NEW)
 地魔法Lv2(NEW)


 ■ ノーマルスキル ■
 気配感知Lv10
 魔力感知Lv10
 身体強化Lv10
 斧術Lv4(NEW)
 剣術Lv3(NEW)
 槍術Lv2(NEW)


 ■ 状態 ■
 エクリプ神の加護


 ■ 称号 ■
 世界を渡りし者


 ■ 奴隷 ■
 スノー


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ■ 個人情報 ■
 スノー
 エルフ 14歳 女
 シローの奴隷 元姫


 ■ 能力 ■
 HP:26/26
 MP:197/197
 STR:42
 VIT:30
 AGI:78
 DEX:63
 INT:141
 MND:117
 LUK:50


 ■ ユニークスキル ■
 白雪姫


 ■ウルトラレアスキル ■
 精霊術師Lv1


 ■ スーパーレアスキル ■
 氷魔法Lv4(UP)
 魔力操作Lv1(NEW)


 ■ レアスキル ■
 火魔法Lv3(NEW)


 ■ ノーマルスキル ■
 礼儀作法Lv4
 弓術Lv2


 ■ 状態 ■
 不幸の呪い




 

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