クランを追い出されたのでクランを作って最強になる

なんじゃもんじゃ

011

 


「こんにちは。買い取りをお願いします」
 僕はペルトと一緒に狩ったアサルトボアからドロップしたばら肉2つと、ロース肉1つをカウンターに置く。
 ここはソロモンの天支塔の入り口横に併設されている買い取り専門クラン、『ネゴスヘルエス』へ来ている。
 このネゴスヘルエスはソロモンの天支塔の中でウィラーが得たアイテムを買い取るクランなんだ。
 だからネゴスヘルエスはクランランクがなく、所属する人は『買取所の職員』や『職員』と呼ばれている。
 そして買い取りカウンターに座っている女性職員は『受付嬢』と言われていて、このネゴスヘルエスの花形職と言われている。
 たしかに、六人いる受付嬢さんはみんな綺麗で、花があると思う。
 僕たちのようなソロモンの天支塔に入って魔物と戦うウィラーだけじゃなく、そういったウィラーを支援するクランもあるんだ。


「いらっしゃいませ。アサルトボアのばら肉が2つと、ロース肉が1つでよろしいでしょうか?」
 受付嬢は僕よりも少し年上に見えるヒューマンの女性だ。
 淡いピンクの髪の毛がサラサラしていそうで、清潔感があって感じが良い。
 それに物腰が柔らかくて僕のような初心者にも丁寧に接してくれる。


 僕は受付嬢さんに肯定する。
「ばら肉2つが合わせて30Kg、ロース肉が3Kgですから―――」
 5体のアサルトボアを倒してばら肉が2回、ロース肉が1回ドロップするとだいたいこんな感じの重量になる。
 ばら肉の買い取りは1Kgが50WP、ロース肉は1Kgで300WPなので全部で2,400WPで買い取ってもらった。
 僕たちは二人しかいないので、これだけの肉を持ち運ぶのも大変だった。
 一般的にはアサルトボアを狩るウィラーはソロモンの天支塔に数日籠ってアサルトボア狩りをするので、ポーターを雇ってソロモンの天支塔に入ることが多い。


 ポーターと言うのは荷物運び専用のウィラーなんだ。
 ネゴスヘルエスと同じようにクランランクはないからクラン員の人数制限はない。
 力はあるけど戦闘は苦手って人がポーターになる傾向かな。
 ポーターは往路で野営用の装備や食料を満載していき、復路では魔物からドロップしたアイテムを満載して帰ってくる。
 ポーターへの報酬はポーターが背負って帰ってきたアイテムを売ったWPの20%が相場らしいけど、初心者は15%くらいだったり、熟練者になると道案内も込みで30%くらいの報酬になるって聞いたことがある。
 だから4人から5人の戦闘をするウィラーに対して1人のポーターを雇うのが一般的になっている。
 この人数で行動するときはパーティーっていうらしい。
 それ以上の人数になるとウィラーの取り分が少なくなってしまうし、人数が少ないと籠った日数に対して稼げるお金が少なくなるんだ。
 ポーターの取り分が多いと思うかもしれないけど、ウィラーには戦闘で倒した魔物のWPが入ってくるけど、ポーターにはそれがなく運搬したアイテムに対しての報酬なので、昔からこんな感じらしい。


「「かんぱーーいっ」」
 ゴク、ゴク、ゴク。
「美味い!」
「美味しいですね」
 僕たちはアサルトボアを倒して得たWPで祝勝会をしている。
 初めてのアサルトボア戦で大きな怪我もせずに戦えたことをユニクス様に感謝して美味しいエールをジョッキの半分くらいまで一気に飲んだ。


「ペルトのおかげで安全にアサルトボアを倒せるから、収入も安定するよ」
「そんなことないです。使徒様のおかげです!」
 つまみ兼食事用に頼んだ厚切り肉を切り分けれ口に放り込む。
 この街へやってきてからこんな贅沢な食事は初めてだよ。美味しい。


 僕たちが入っている店はウィラー御用達と言っていい酒場で、エールはキンキンに冷えているし料理も美味しい。
 それに安いのがいい!


 僕たちの他にも多くのウィラーがお酒を飲んだり、食事をしたりしているけど店の雰囲気はいい。
 綺麗な女の子がウエイトレスをしていて目の保養にもなる。
 この半年はWPもなくてこんな店に入れるなんて思ってもいなかったよ。
「使徒様、どうかしましたか?」
 僕が以前のことを思い出して少し目を潤ませていたのでペルトが心配してくれた。
「なんでもないよ。さぁ、今日はお祝いだから飲もう!」
「はい!」


 僕とペルトはエールを沢山飲んで、肉を沢山食べた。
 帰りは二人で躰を支え合って帰ったのは覚えている。
 もちろん、ユニクス様にお土産を買うのも忘れてはいない。


「……頭がいたい……」
 僕は翌朝二日酔いに苦しめられている。
「もう少しで朝ご飯ができますから」
 ペルトはケロッとした顔だ。やっぱりハーフとは言え、ドワーフの血が入っているから酒には強いようだ。
 ドワーフは赤ちゃんの頃からお乳や水の代わりにお酒を飲むと言うのは本当のようだ。


「二日酔いは加護では治らんからな」
 僕とペルトの二人で楽しく飲んで帰ってきたのがユニクス様には気に入らなかったようで、すこし臍を曲げている。
 でもユニクス様に外で食事をしようと言うと断ってくるのだから、仕方がないよね?
 ユニクス様は滅多なことではこの家から外に出ない。
 引き籠りのユニクス様なんだ。


「ちょっと井戸で水を浴びてくるね」
 二日酔いなので頭の中をシャキッとさせるために裏庭にある井戸で水を汲んで上半身裸になって頭から被る。
 多少はこれでスッキリとするけど、今日はソロモンの天支塔にはいけないと思った。


 濡れた髪の毛を拭いていると風が吹いたので、ブルっと震える。
 もうすぐ冬になるので、風が冷たく感じた。
 そう言えば、この家も冬が来る前に補修しないといけないな、と思いながらボロボロの家を見上げる。


 家の中に入ると既に食事の用意ができていた。
「遅いぞゼクス」
「すみません、ユニクス様」
「早く座るのだ!」
 僕が椅子に座るとユニクス様はスープを口に運んだ。
 こうやって待っていてくれているユニクス様のなにげない優しさが心地よい。
 僕もスープを口に運ぶ。
「美味しいね」
「うむ、ゼクスのスープほどではないが、十分美味いぞ」
 僕のスープよりも美味しいと思うけど、僕のスープの味つけの方がユニクス様向けなのかもしれないね。
「ありがとうございます。もっともっと美味しく作れるようにガンバります!」
 ペルトは褒められて嬉しいようで、ニコニコ顔で朝食を食べた。


「あと何回かソロモンの天支塔に入ったら、この家を補修しようと思います」
「うむ、隙間風が入ってきて冬は寒そうだからな。いいと思うぞ」
 隙間風もそうだけど、雨漏りの方も酷いのでなんとかしたいと思うんだ。
「それでしたら、おいらにお任せを! 田舎ではよく家の補修とかをしてましたから」
「本当かい? それはいい、僕はあまりそう言うの得意じゃないから、助かるよ!」


 

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