クランを追い出されたのでクランを作って最強になる

なんじゃもんじゃ

008

 


「こっちにこいっ!」
 ペルトが暗黒神ユニクス様の加護である闇包敵意あんほうてきいを発動させる。
 この闇包敵意はペルトの周辺にいる敵の敵意をペルトに引き付ける効果がある。
 盾職のペルトにはもってこいの加護だ。
 ちなみに、使徒ではないのでペルトに対するユニクス様の加護はダメージ軽減の効果も少ない。
 残念ながら使徒と普通のウィラーでは差があるんだ。
 ただ、ダメージ軽減効果が少なくても闇包敵意は僕では持つこと自体が自爆となる強力な敵意集約効果がある。


 闇包敵意によってコボルトの敵意がペルトに向いたので、コボルトはペルトに向かってくる。
 コボルトの爪を盾で受け止めたペルトは鉄槌を振る。
 しかしコボルトは鉄槌をギリギリで避けてみせた。
 しかし闇包敵意によってペルトしか見えていないコボルトはがむしゃらにペルトを攻撃する。
 コボルトの攻撃を盾でしっかり受けて鉄槌で攻撃をするけど、ペルトの攻撃はなかなか当たらない。


「じり貧だね……」
 そばで見ていた僕はそう感想を漏らした。
 だからといってここで手を出すのはペルトに失礼だから我慢強く観戦する。
 それにここで手を出したらペルトのためにもならないと思うんだ。


 ペルトとコボルトの戦いは10分にもおよんだ。
 コボルトの攻撃は盾で受けられ、ペルトの攻撃はコボルトに躱される。
 その繰り返しが何十回と続いた。
 しかしどんなことでも終わりが訪れる。
 ペルトがコボルトの爪を盾で防いだ時にコボルトが体勢をくずしたんだ。
「やぁっ!」
 その隙をペルトは見逃さず鉄槌をコボルトの腹部に叩き込んだ。
 コボルトは吹き飛ばされたけど、辛うじて生きていた。
「トドメだ!」
 起きようとしていたコボルトの頭部に鉄槌を振り下ろしたペルト。
 コボルトは頭部から脳みそをまき散らしてその場に倒れた。
 ちょっとグロイけど、これは戦いなのでこういう場面もある。


「やったね」
「はぁはぁ、ありがとうございます!」
 十数分も戦い続けたからさすがに疲労している。
 普通はこんなものなのかもしれない。
 僕の場合は一撃必殺だから長期戦はあり得ないからな。


「次はペルトと僕で連携を確認しよう」
「はい、ガンバります!」
 ペルトの回復を待ってから僕たちは次の魔物を探した。
 そして見つけたのはレギルンだ。
 毛むくじゃらのレギルンはコボルトと違って棍棒を持っている。


「あれで試そう。ペルトが引きつけたところを僕が後ろからぐさりとやるから」
「はい!」
 簡単な打ち合わせの後に、ペルトが闇包敵意を発動させるとレギルンはペルトに攻撃を始めた。
 棍棒が盾に受け止められた時の音が意外と大きい。
 これでは早く戦いを終わらせないと他の魔物を呼び込んでしまう。


 僕は短剣を抜く。
 あの堕天神の使徒との戦いを経て僕の神器は形状を変えている。
 今の僕の神器は双短剣。つまり短剣が二本になっているんだ。
 なんだか一本の時よりもかっこいいから顔がにんまりしてしまう。
 いけない、今は戦闘に集中しないと!


 僕は気配を消してレギルンの後方に移動すると、短剣でレギルンの首をスパッスパッと二回切りつけた。
 血が飛び出しその場にレギルンが倒れたのを見たペルトが鉄槌でトドメを刺した。


「いい感じだね。この調子ならすぐに地下一層に行けると思うよ」
「ありがとうございます。おいら、ガンバります!」
 僕たちは連携を確認しながら魔物を狩っていった。
 気分が一人の時よりいくぶんか楽な気がした。
 やっぱり一人の時は気が張り詰めていたんだと思う。


「凄いです! こんなにWPが溜まりました」
 ペルトがクランカードを差し出してきたので見てみると180WPと表示されていた。
 僕も自分のクランカードを確認すると120WPが増えていた。
「よし、今日はここまでにして、次はアサルトボアだね」
「はい!」


 僕たちは無事にソロモンの天支塔から外に出た。
 今日は堕天神の使徒に会わなかったので順調だった。
 やっぱり一層で堕天神の使徒が現れるのは異常なんだと思う。
 僕は運がよかったのか悪かったのか……。


「帰りに買い物するから、疲れていると思うけど我慢してね」
「いえ、全然疲れてませんから、お気になさらず!」
 ペルトの戦闘を見ていて思ったけど、彼の体力は無尽蔵と思えるほどある。
 最初こそ息切れした場面があったけど、防御特化のせいで攻撃が当たらないためだった。
 だから盾役に集中してもらい、僕が攻撃を担当すれば、安定する。


「ボンズさん、ばら肉をいつもの倍ください」
「お、ゼクスか。今日も無事に帰ってきたな! ちょっとまってろよ! ん? そっちのは?」
 ボンズさんが僕の横にいるペルトに視線を止めたので紹介をしよう。
「彼はペルトです。僕のクランに入ってくれたんです」
「ペルトっていいます。よろしくお願いいたします!」
 自己紹介をしてぺこりと頭を下げたペルト。
 ペルトは誰にでも丁寧に接するんだね。


「おう、俺はボンズだ。ゼクスの仲間ならいつでも安くするぜ!」
「ありがとうございます!」
 嬉しいそうなペルト。尻尾があったらぶんぶんと揺れていたと思う。
 アゴの下を撫でてやったら「ゴロゴロ」言うかな?


 

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