カードメーカー【最強の魔物をつくりあげろ!】

なんじゃもんじゃ

005 カードのお値段

 


 将磨の前ではどうみてもこんな浅い層で活動するような装備と実力ではない女性たちがゴブリンを瞬殺する。
 そんな女性四人の探索者パーティーの後を追うような形となってしまい傍から見たらストーカーにしか見えない将磨。
 一本道なのでどうしても同じ方向に進むことになるので仕方がないが、落ち着かない。


 斥候職の女性に至っては軽装なので形の良いお尻がプリプリと将磨を誘っているようだ。
 そんな四人から視線を外しながら後をつける形の将磨は彼女たちからすれば非常に怪しい奴だろう。


 暫くして三層のボス部屋の前に到着する。
 この三層では一回も戦っていない将磨は疲弊とは無縁だ。
 ボス部屋の前には冒険者が二十人近く順番待ちをしており、皆が思い思いに待ち時間を使っている。
 一番先頭に並んでいるパーティーと思われる男性ばかりの六人組は地面にどっかりと腰を下ろしてはいるがソワソワして落ち着きがない。
 将磨と大して変わらない装備を見る限り、このパーティーは初心者だと思われる。
 二番目のパーティーは男女四人づつの八人パーティーで物静かな男性陣とは真逆に女性四人はお喋りに夢中だ。
 装備はどれも初心者には思えないものでこの三層にいるべきパーティーではない。
 そして三番目の集団は四人の女性パーティーだ。
 つまり将磨がストーカーをしていたパーティーであり、四人とも二十歳前後に見え全員が容姿端麗と言っても過言ではないだろう。
 下世話な男性探索者にとっては入ってみたいパーティーの上位にランクインするのは間違いない。
 しかも魔術師系の一人はどこかのモデル事務所に所属しているのではと思わせるほどに美しい顔立ちと今どきの若い女性にしては珍しく背中の中ほどまで伸ばした綺麗な黒髪が特徴だ。


 ここで将磨はバックパックから炭酸飲料を取り出し喉を潤す。
 流石に声に出して美味いとは言わないが、顔はにやける。
 綺麗な女性たちの後ろで時間を潰すためにスマホを取り出し三層のボス部屋について復習をする。
 三層のボス部屋では五体のゴブリンが現れるが、その中の一体は上位種であるゴブリンシーフだ。
 この三層のボス部屋で初めて上位種が現れるので要注意だとある。
 ゴブリンシーフは普通のゴブリンに比べると動きが早くしかも短剣を装備しているので攻撃力も高い。


「ねぇ、君一人なの?」
 不意に声をかけられる。
 スマホを覗き込んでいたので最初は自分に向けて話しかけられたとは思わなかったが、よく考えたら一人なのは自分だけだとスマホから視線を移すと綺麗な女性が将磨を見て天使のような笑顔を向けていた。
 女性四人のパーティーのモデル系美人魔術師だ。
「え~っと、はい、一人です」
「初心者だと思うけど、できればパーティーを組むことをお勧めするわ。一人だと対処しきれないこともあるから」
 純粋に将磨のことを心配している感じがした。
 だからか不快には思わず素直に「はい」と返答する。
 しかも何だか以前に会ったことがあるような既視感を覚える将磨はその女性を見つめてしまう。
「ん?私の顔に何かついている?」
「違うわよ、この子は聖美きよみに見惚れているのよ!いい加減自分の容姿の良さに気づけって~の!」
 美人というよりは可愛い容姿のもう一人の魔術師が聖美にツッコミをいれる。
 そのツッコミで将磨は顔を赤くして視線をずらす。
「ねぇ、君。聖美の言うようにパーティーを組むのは大事よ」
 そこに鎧を着た体育会系美女が参戦する。
 軽鎧の女性は我関せずといった感じなので三人の女性に、しかも美人の女性たちに囲まれた将磨はすこしたじろぐ。
「いずれはと思っていますけど、暫くはソロでやってみるつもりです」
「そう、死なないように頑張ってね」
「はい、有難う御座います」
 ここで気になっていたことを質問をしてみる。
「そういえば、聖美さんたちは三層で何をしているのですか?」
「あら知らないの?この〖名古屋第二 ダンジョン〗の一層のボス部屋でゴブリンの召喚カードがドロップしたっていうから、私たちもと思ってね~」
 聖美とは違う可愛い系の魔術師が答える。
「でも一層は探索者で溢れていてボス部屋に到着するまでに時間がかかりそうだったから三層で様子を見ているのよ。皆考えることは一緒ね」
 聖美は柔らかな笑顔をし将磨に答える。
「……」
「その感じだと知らなかった?カードは冒険者ギルドが二百万円で買い取るって話よ」
「マジでっ!?」
 思わず声が裏返ってしまったが、それは仕方がないだろう。
 何せ、今の将磨は二百万円で買い取って貰えるゴブリンのカードを大量に所持しているのだから。
「マジ、マジ」
 嬉しそうに答えるのは鎧を着た美人だ。
 ゴブリンのカードが二百万円になるなんて知らなかった将磨は驚きとともに自分の持っているゴブリンカードを売ったら幾らになるのかと考えてしまう。
 そんなことを話していると聖美たちの番が回ってきた。
「じゃ~ね~、機会があったらまた会いましょう~」
「はい、また!」
 結局のところ、聖美以外の三人の名前を聞かなかった将磨は女性の扱いになれていないことを思い知った。
 しかしこれが意外と聖美たちには新鮮だった。
 聖美たちのように美女揃いのパーティーに言い寄ってくる男性探索者は多いので警戒するのは仕方がない。
 仕方がない中で聖美が将磨に声をかけたのは聖美自身も不思議だった。
 普段ならそのようなことをしないのだが、何故か将磨に声をかけてしまったのだ。無意識での行動だったのだ。


 聖美たちがボス部屋に消えていった後は再びスマホに視線を戻す。
 既に五回ではきかないくらいこの画面を見ているが内容は同じだった。
 そしてあっという間に将磨が入る番になった。
 聖美たちがボスを瞬殺してボス部屋から出て行ったのが分かる。


 ボス部屋の中に入ると情報通りゴブリンが五体いた。
 しかしゴブリンたちを見た将磨は背筋に寒いものが走る。
「なんで……ゴブリンソルジャーがいるんだよ!?」
 ゴブリンの数は確かに五体なのだが、ゴブリンシーフの他にゴブリンソルジャーまでそこにいたのだ。
 これまでの一層と二層ではボスの数や種類は〖探索者支援庁〗のホームページに掲載されている情報と差はなかった。
 しかもボス部屋の魔物は固定で数や種類が変わることはないとまで記載されているのだ。


 普通のゴブリンが三体と上位種が二体。今の将磨には分が悪いことは間違いない。
「……やるしかないのか」
 ボス部屋の扉はボスを倒して探索者が全員『転移の渦』を使用するか、探索者が全滅するか、二十分経過しないと開かないのだ。
 二十分間逃げ続けるのは無理だと判断した将磨はゴブリンソルジャーを召喚すると、普通のゴブリンを九体召喚した。
 今の将磨にはゴブリンソルジャーを含めた普通のゴブリンを合計で十体しか召喚できない。
「ゴブワンはゴブリンソルジャーを抑えろ!、ゴブツー、ゴブスリー、ゴブフォーはゴブリンシーフを、他のゴブリンは二体で抑え込め!」
 ゴブリンソルジャーのゴブワンを同じゴブリンソルジャーにあて抑え、残りのゴブリンで数に物を言わせる作戦のようだ。
 そしてゴブリンシーフに向かわせる三体には決して無理をせずに時間を稼げと追加の命令を出す。
 将磨にとって初めての上位種との戦いが始まったのだ!


 最初に展開が動いたのは普通の髪無しゴブリン三体だった。
 予想通りボス部屋以外のゴブリンよりも強化されていた髪無しゴブリンを経験を積んだ髪有りゴブリンが上手く抑え込んだのだ。
 将磨はその三体を手早く倒すと手の空いた髪有りゴブリンたちをゴブワンの援軍として向かわせる。
 押され気味だったゴブワンだったが、援軍が来たことで手数で圧倒する。
 三体の髪有りゴブリンを突撃させてボブリンソルジャーの動きを抑え込むとゴブワンは一気に間合いを詰めゴブリンソルジャーの胸に剣を突き立てた。
 ゴブリンソルジャーが息絶えるも味方の被害も甚大で髪有りゴブリン六体のうち、四体がゴブリンソルジャーによって切り殺されてしまったのだ。
 しかしゴブワンの他に五体の髪有りゴブリンが健在なので将磨は残る全てのゴブリンたちにゴブリンシーフへの総攻撃を命じようとした。
「っ!」
 気を許した瞬間だった。髪有りゴブリン三体で囲んでいたゴブリンシーフが二体を倒し開いた隙間から抜け出し将磨を狙ったのだ。
 幸い、それに気付いたゴブワンが庇うように行動したことで致命傷を避けることができたが、脇腹から血が流れだしているのであまり長くその状態でいれば失血死する可能性もある。
「くっ、い……たい」
 ゴブリンシーフは狙いを外したことを残念とばかりに舌打ちをしたように見える。
 相変わらず濁った眼が将磨を倒しきれなかったと残念そうにしているのを感じた。
「ゴブワン、皆を指揮してアイツを袋叩きにしろ!」
 ゴブワンが頷くと同時にゴブリンシーフに切りかかる。
 しかし回避に長けたゴブリンシーフはその剣をひょいっと躱す。
 悔しそうなゴブワンの剣が何度もゴブリンシーフを狙うが掠ることはあっても致命傷を負わせることはならない。
 ゴブワンも同位とは言えボス補正で強化されているゴブリンソルジャーとゴブリンシーフの連戦で肩で息をしている。
 しかしこちらは数の優位がある。髪有りゴブリンたちが徐々に動きが悪くなっていくゴブリンシーフの包囲を縮める。
「いまだ!」
 そして将磨の掛け声で一斉に髪有りゴブリンたちがゴブリンシーフに飛び掛かり物量で押しつぶす。
 残った髪有りゴブリンが折り重なるようにゴブリンシーフの上に乗り押さえつけている間に将磨はゴブワンにトドメを刺すように命令する。
 そしてトドメを刺されたゴブリンシーフはカード化する。
 将磨によって召喚された魔物が魔物のトドメを刺してもカード化することは先ほどのゴブリンソルジャーで分かっていし、余裕がないのでカード化の有無に関係なくゴブワンにトドメを刺させた。


 戦いが終わり将磨は地面にドカッと腰を下ろす。
 そしてバックパックから一本の試験管のような瓶を取り出す。
 これは初心者セットに一本だけ入っているポーションだ。
 半透明のプラスティックの容器の中に入っている青色の液体を勢いよく呷り飲み干す。
「うぎゃ~不味い!」
 そう、ポーションは美味しくないことで有名で一気に飲み干さないと飲めないと言われているのだ。
 それを知っていることから一気に呷った将磨だった。
 伝説的に不味いポーションの苦くて青臭い味の洗礼を初めて受けた瞬間だった。
 ポーションを飲むとすぐに脇腹の傷がシュワシュワと小さな音をたてて再生していく。
 少し傷痕があるが、若い将磨ならその内消える程度の薄い痕だ。
「ファンタジーだよな……でもポーションがあるから俺たちは多少の怪我を乗り越えていけるんだよな」


 ひと息ついてから生き残った髪有りゴブリンたちを見る。
 生き残ったのはゴブワンを含め四体。
 思わぬ苦戦に今更ながら顔を青ざめる。
 上位種の力を舐めていた将磨も傷を負い、今回のボス戦は失敗続きだと反省をする。
 この三層のボス部屋の情報になかったゴブリンソルジャーが現れたのは将磨の責任ではない。
 それでも将磨は十分な安全マージンを取るべきだったと反省する。
「ふ~、四層は行かずに今日は戻ろう。ポーションも買わないといけないし……」
 ポーションは安いものでも一本で八千円もする。
 本当はもっと進みたいが、ポーションというお守りがなくなったことだし、たった今痛い目にあったばかりなので自重する。
「さて、ボス部屋のドロップは何かな?」
 落ちている五枚のカードを拾い上げる。
「おっ!これは……」




 @ゴブリンソルジャー
 説明:ゴブリンソルジャー〈ランクG〉を召喚できる。
 レアリティ:★
 残数:十


 @ゴブリンシーフ
 説明:ゴブリンシーフ〈ランクG〉を召喚できる。
 レアリティ:★
 残数:十


 @魔石(ランクH) ×2
 説明:魔物から得られる魔石。
 レアリティ:★★
 残数:一


 @ゴブリンボウ
 説明:ゴブリンの木工師が作った木製の短弓。ゴブリンに装備させるとゴブリンアーチャーにランクアップする。
 レアリティ:★★★
 残数:一




 上位種のゴブリンが二枚と魔石が二枚、そして未だ見たことのないゴブリンアーチャーへと進化するアイテム。
 将磨は先ほどまで怪我の痛みに耐えていたのを忘れ歓喜する。
 暫くは喜びで色々なことを考えていた将磨だが、ボス部屋の前には探検者たちが待っていることを思い出し、ゴブリンたちをカードに戻して『転移の渦』で転移した。


 転移後は四層には行かずダンジョンを出る。
 ダンジョン内では朝と同じように探索者が浅い層へ向かう光景が見られた。
「通勤ラッシュみたいだな」
 その光景を目にしてぽつりと呟く。
 将磨が以前住んでいた埼玉県では都心への通勤者などで毎朝駅は混雑しているし、この名古屋でもそれは同じだ。
 幸いなことに将磨が住むアパートから高校までは自転車で通学できる距離なので通勤・通学ラッシュに巻き込まれずに済んでいるが、こんな混雑には巻き込まれたくないと思う将磨であった。


 意気揚々、とは行かないものの、〖探索者支援庁〗の買取センターに向かう。
 怪我をしていなければ今頃四層を探索していたのだが、それは言わない。
「すみません、買い取りをお願いしたいのですが」
「はい、探索者登録証をご提示ください」
 時間が早いこともあり探索者の姿はまばらな買い取りセンターで空いている個室に入ると黒縁眼鏡をかけたインテリ風の女性が対応をしてくれる。
 買い取りセンターは完全個室が原則だ。
 これは高額アイテムを偶々見つけた探索者が過去に襲われ金品を奪われるという犯罪があったからだ。
 それ以降は買い取り内容を他の探索者に知られないようにと対策が取られたのである。
 勿論、大金を手に入れて気が大きくなり言いふらす探索者は今でもいるが、そこまでは〖探索者支援庁〗でも対策が取りようがないのが現実である。


 個室なので若い男女がということはないようで、部屋の中にはしっかりと監視カメラが設置されている。
 買い取りセンターだからか、一般受付の職員の女性と違い笑顔はない。
 極めて業務的に受け答えをし、無表情を貫く女性職員。
「神立将磨様ですね。こちらにアイテムを出して下さい」
 差し出された探索者登録証を確認した女性職員は淡々と業務をこなしていく。
「これなんですが……」
「……」
 将磨がカウンターの上に出したのは言うまでもなくゴブリンのカードである。
 二十代のインテリ風女性職員は少し驚いた表情をするが直ぐに無表情を取り戻す。
「……失礼ですが、これをどこで?」
「言わないとダメですか?」
「できればお教え頂きたいです」
 〖探索者支援庁〗の買い取りセンターでは基本的にアイテムの出どころを聞かないし、探索者には報告や説明する義務はない。
 それは初心者の将磨でも知っていることだが、女性職員は「言わないとただじゃおかないぞ」と視線で将磨を威嚇する。
「え~っと…………%キ#です」
「はい?何ですか?」
 ボソボソっと何かを言う将磨に女性職員は聞こえなかったようで聞き返す。
「ですから俺のスキルです」
「す……きるですか?」
「俺が倒した魔物はカードになります」
「……」
 驚いて声がでないのか、それとも何かを考えているのか、女性職員は暫く動かなかった。


「もしかしてですが、先日見つかったゴブリンのカードは神立様のスキルでカードにした物ですか?」
「……わかりません。ですが、『転移の渦』は召喚されたゴブリンを弾くようで……一層の『転移の渦』に乗ったら一緒に付いてこなかったゴブリンがそのままカードになって残った可能性はあると思います」
「……少々お待ち下さい」
 女性職員は将磨にそう告げると部屋を出ていく。
 ぽつんと残った将磨は金に目が眩んで面倒事に足を突っ込んでしまったのではと少し後悔をする。
 女性職員が戻ってくる前に逃げ出そうかとも考えたが、既に自分の身元は〖探索者支援庁〗に知れてしまっているので、思いとどまる。
 カードがお金になれば将磨の収入は安定するからだ。


 暫く所在なく待つと女性職員が中年の上司と思われる男性を伴い部屋に入ってくる。
「お待たせして申し訳ありません」
「私は当〖探索者支援庁〗業務推進課の木崎と申します。先ほどこの林原にお話し頂いたことをもう一度で申し訳ありませんが、お聞かせ下さい」
 木崎と名乗った男性に促され自分が【カード化】というスキルを手に入れたこと、そして一層のボス部屋の『転移の渦』に乗ったらゴブリンがついてこなかったことなどを話す。


「なるほど……疑っているわけではありませんが、スキルによって魔物をカードにするのであれば、このカード以外にもカードをお持ちなのでしょうか?」
「はい……これです」
 将磨はバックパックにしまっておいた二十枚以上のカードを二人に見せる。
「……手に取って見せて頂いても?」
「構いません」
 将磨は木崎にカードを渡すと、木崎はそれを一枚一枚じっくり見ては見終わったカードを林原に渡す。


「確認なのですが、この残数というのはやはり召喚できる回数ですか?」
「まだ残数をゼロにしたことがないので分かりませんが、そうだと思っています」
「なるほど……」
 質問をして将磨の回答に一応の納得をした木崎は林原の方を見る。
 林原は既に全部のカードを見終わっていたので木崎の動きに合わせて僅かに頷く。
 どうやら林原はアイテムを鑑定するスキルを所有しているようだと将磨は考察する。


 スキルにはアイテムをの内容を知ることができる鑑定系のスキルがあるのは有名な話だ。
 代表的なスキルは【鑑定】や【アイテム鑑定】だが、これ以外にも【人物鑑定】のようなものもあると聞く。
 【鑑定】だとアイテムや人物が鑑定できるのはよく知られている。
 そして【アイテム鑑定】はそのままの意味でアイテム限定で鑑定できるというもので、【人物鑑定】は人物に限定した鑑定だ。


「神立様のスキルについては確認できませんでしたが、このカードがゴブリンを召喚するものだというのは確認できました。有難う御座います」
 林原からカードを受け取りバックパックにしまう将磨を待って木崎が提案を持ちかける。


「そこでですね、もし宜しければ神立様の探索に私どもの職員を同行させて頂けたらとと思いまして……」
「それは俺のスキルを確認するためですか?」
「正直なところ、その通りです。私どもとしましても未確認スキルの情報はできるだけ集めたいのです」
 将磨は少し考え答える。
「今のダンジョンの状態ではゴブリンを召喚するのを避けたいと思うのですが……」
「確かにゴブリンを召喚しているところを他の探索者に見られては宜しくないですね……」
「俺の不注意とは言え、こんなことになるとは思ってもいなかったので……」
 考え込んだ木崎に申し訳なさそうにする将磨。


「分かりました。カードについては我々の方で鎮静化させます。その後、同行をさせて頂けますか?」
「そういうことなら」


 その後、木崎の名刺と林原の名刺を受け取り将磨も携帯番号やメールアドレスを教える。
 そしてカードを一枚だけ買い取って貰うのだが、スキルのことが分かり将磨次第ではいくらでもゴブリンカードを持ち込めるので取り敢えず百万円という買い取り額となった。


「もっとランクの高い魔物であればかなり高額で買い取りができるでしょう。残念ながら今は珍しいのでゴブリンカードを百万円という高額で買い取りますが、今後は難しいでしょう」
 尚、前回他の探索者が持ち込んだカードは四枚あり、その全てを〖探索者支援庁〗の方で買い取り検証を行っているという。


「ところで、その脇の傷痕は?」
 話がまとまったところで木崎が将磨の脇腹付近の切り傷に視線を向ける。
「あ、これですか……三層のボス部屋でゴブリンシーフに不意を突かれて」
「それは大変でしたね。お金も手に入ったので装備を良い物にすることをお勧めします」
 役人かと思っていたら意外と商売人の顔を見せる木崎。
 彼は元々民間企業に勤めており、この〖探索者支援庁〗が創設されると出向となり、今では完全に〖探索者支援庁〗の職員となっている。
 だからなのか事務的な対応ではなく柔軟な考え方で探索者を支援しているのだ。


 

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