チートあるけどまったり暮らしたい

なんじゃもんじゃ

060 ダンジョンマスター

 


 ルイジ湖でのバカンスも今日で最終日だ。
 明日はルイジ湖を離れ帰路につく事になる。
 それから行政官のジリザスにはセジャーカ鉱山の廃坑内で強力な魔物が出たけど退治したという事、鉄鉱石の鉱床がまだある事、それと最奥がダンジョン化しており人を近づけないように、と報告が行っている筈だ。


 また、ジリザスにはルイジ湖の北東の場所を500mほど掘削するように指示している。
 神界の英知からある情報を得たので掘削の指示を出しておいたのだ。
 とは言え、俺には命令権がないので最終的には父上が判断する事になると思う。
 例のものが何かはもう想像がついているでしょ?父上が許可をすれば分かるよ。


 さて、あの廃坑の最奥に行きますかね。
 何でまたあの場所に行くのかって?
 それはあそこに俺が求めている物があるからさ。
 とは言っても皆には内緒で行くんだけどね。
 だって、またあそこに行くなんて言っても許してもらえるとは思えないんだもん。


 はい、来てしまいました廃坑の最奥の開けたエリアです。
 相変わらず薄っすらと壁が光り滝と地底湖が神秘的な情緒を醸し出しています。
 どうやってここまで来たかって?
 そりゃ~空間転移できましたよ。
 この空間転移は一度でも行った事がある場所や、見える範囲なら瞬時に移動できる優れものです。
 ファンタジー系の定番ですね。


 この地底湖の底に俺の目的の物があるんですね。
 何を狙っているんだって?
 俺がこの廃坑を訪れた目的を思い出してくれれば答えはすぐに出てくるよね。


 さて、千里眼で目的の物をタゲって、アポートで目の前に引き寄せる。
 流石にデカイのでアポートで消費する魔力は多いが、今の俺は半神デミゴッドになって魔力もほぼ無限に近いので何の問題もない。
 地底湖の底からくぐもった音だがゴキッ、バキッ、ゴゴゴゴーっと音を立て少しずつ目的の物が浮上してきて、湖面を盛り上げその威容を現す。
 光り輝く白銀色の金属、あまりにも神秘的な光に少し見惚れてしまう。


「これが神銀か・・・」


 あの八岐大蛇ヤマタノオロチのお宝だ。
 奴は何故か金や銀に宝石などの光物を集める習性があったようで、それらの鉱物を自分の棲みかに溜め込んでいた。
 そのなかに銀があり、その銀が奴の神力に長い期間触れている事で神銀となったらしい。
 因みに過去にこの廃坑で神銀鉱が見つかったのは偶然らしいし、俺が今目にしているのは純度の高い神銀だ。


 それと俺が奴を倒してしまったのでこのダンジョンのダンジョンマスターが俺になってしまった。
 そしてダンジョンマスターがダンジョンを管理しないとダンジョンが暴走するらしい。
 だから、このダンジョンの管理者権限を委譲する者を作らないと俺はこのダンジョンを放置できないのだ。


 ダンジョンマスターの権限にはダンジョンの拡張に罠や魔物の配置があるけど、先ずはこのエリアを少し拡張しする。
 何故か奴はDPダンジョンポイントを溜め込んでいたのでDPには余裕がある。


 次はDPを消費して魔物を召喚したいと思います!
 ダンジョン内の魔物の召喚は頭の中に現れる魔物のリストから選ぶだけなので簡単です。
 そして俺が選んだのがブルーエレメントドラゴン。
 綺麗な水を湛える地底湖を有するダンジョンなのでこの最奥のエリアの守護者でありダンジョンマスターの管理者権限を委譲する相手には水系の魔物を選びました。
 このブルーエレメントドラゴンは世の中ではランクEXの魔物に指定されているので、水神である八岐大蛇ほどではないが魔物としては最強レベルの強さを誇る。
 しかもオプションで知能を上げているのでダンジョンマスターの代理としてしっかりこのダンジョンを管理してくれるでしょう。


 それとブルーエレメントドラゴンの部下の魔物も召喚する事にした。
 この魔物にはオプションの知能は不要なので普通の魔物だが、質と量のどっちにしようかと迷っている。
 決めた!ランクAの魔物を10匹にしよう。
 属性は別々にしてそれぞれで弱点を補う形にした。


 そしてこのエリアに誰も入れないように重厚な扉で隔離します。
 扉には幾重にも罠を張り巡らせ、誰も開けることができないようにした。
 後は、父上からジリザスに立ち入り禁止の指示をしてもらって終了だ。


 何で立ち入りを禁止するかって?
 それはね、今はダンジョンを公開する気がないからです。
 だから権力者によって立ち入り禁止にしてもらい、更に扉と罠で物理的にも立ち入りを防止したのです。
 だって、ここで人が多く死んだら面倒臭い話になるじゃん。
 それだったら封印したので誰も近付くな!と言っておいた方が楽じゃん。
 正直、神様になってこれからどうしようかって時にダンジョンの事まで面倒を見ていられないしね。


「君の名はブルエレだ。ここには誰も入れないように処置をするが、もし進入を許した場合は最初は友好的に退場を促してくれ。それでも相手が敵対したら撃退をして良いからね。それとそのような場合が発生したら必ず私に連絡をするように」


 ネームセンスがないのは承知しておりますよ!


「このブルエレの命にかえてこのエリアを死守致す所存!」


「ブルエレが優先する事はブルエレ自身の身の保全と力を溜める事だ。その為に必要な事があればDPを使ってくれて構わない。とりあえず50,000DPは自由に使ってくれ。追加でDPが必要であれば連絡をくれ。但しその扉より向こう側の坑道に干渉する事を禁止する」


「はっ!マスターのご指示のようにっ!」


 魔物を選ぶときにオプションで性格を選ぶ事ができたのだが、俺が選んだ性格は軍指揮官にしたせいか少し話し方が固い。
 まぁ、これは仕方がない。
 後はブルエレに任せて俺は皆のところに戻る事にした。




 

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品