ジュエリークラフター 【魔物を宝石に変えて魔王も倒せるけど勇者じゃないおっさん】
006D_ラーディア
 
「次は私の仕事ね。今、あんたがいるこの場所から南に向かえばダンジョン化した森があるわ。逆に北へ向かえば村に行けるわよ」
俺とユキが喜び合っていると、ダメ神が俺とユキの幸せな時間に割り込んできた。こいつ、空気読めない奴だ。
「でも、村は小さいし、とても貧しいから大したものはないわよ」
俺の考えていることに気づいていないのか、それとも気づいていてスルーしたのか、ダメ神はそのまま喋り通した。
「その村へはどの程度で行けるんだ?」
「あら、喋ったわね。いいわ、教えてあげる。村へは歩いて半日くらいね。あのイノシシのスピードならすぐにつくんじゃない?」
まぁ、テンポウなら時速100Kmは出せるからな。
「……南の森はどのくらい時間がかかるんだ?」
「森は~、歩いて5日ってところかしら? イノシシなら2時間もかからないとおもうけど?」
人間の歩く速度は時速4Kmほどだと何かで聞いたことがある。1日8時間歩くとして32Km進めるから、5日だと160Kmだ。テンポウなら2時間もかからないわけだな。
「どうする? 村へ行く? それとも森へ行く?」
「他には選択肢はないのか?」
「う~ん、西に進めばそこそこ大きな町があるけど、歩きだと5日くらいかかるかしら?」
どれもテンポウに走ってもらえば大して時間はかからない。
「村や町に入るのに何か必要か?」
「その町に入るには入町税が必要だったと思うけど、村は物々交換が主流だからお金よりも物がいいかもね」
「転生してからいくらかの金は手に入れた。その西の町で使えるのか? それに魔物の素材は何がいいんだ?」
アイテムボックス(極)からじゃらじゃらと硬貨を取り出してダメ神に見せた。
「それは1,000レイル銀貨ね。このあたりの国ならどこでも使えるわ。それと、あんたが持っているウサギ肉や毛皮、狼なら毛皮、イノシシなら肉と毛皮がお金になるし、物々交換もできるわね」
わずかな期間だったが神などというものをしていたのだ、この世界のことに精通にしているのは間違いない。
どうせついてくるのだったら、その知識を生かせばいい。俺はいつの間にかそう思うようになっていた。
「俺が持っているもので物々交換ができるのか。宝石はどうなんだ?」
「村で宝石なんか出しても価値が適正に判断できないわよ。出すなら魔物の素材の方がいいわね」
「そうか……」
ジュエリークラフターはMPさえあれば、宝石を際限なく作れる。今の俺はレベルが上がったことでMPが半端なく多いので、かなりの数の宝石を作れるだろう。
しかし、村では宝石の取引はできないか。まぁいい、町だってそんなに遠くにあるわけじゃないんだ。必要なら町に行って換金すればいい。
「そうそう、あんたが宝石にしたあの銀竜も素材として売れるわよ」
あの大きさのダイヤモンドってだけでもどれだけの価値があるのか分からないのに、銀竜が封印されているなんて知ったら大騒ぎになるのは目に見えている。だからこのダイヤモンドは売らない。
ダメ神の話に出てきた銀竜は膨大な経験値を持っており、そのせいで俺はレベル1,000にまでレベルアップした。
レベルアップは1や2ならなにも起こらないが、大量にレベルアップするとレベルアップ酔いを起こすらしい。
一気に1,000近くもレベルアップすれば、レベルアップ酔いどころの話ではない。それがあの体中の痛みに繋がったのだと、ダメ神は教えてくれた。
教えるなら、もっと早く教えろよ。本当に役に立たないダメ神だ。
「まぁ、銀竜の素材なんか売ったら大騒ぎになると思うけどね」
「……」
「竜種の中でも最強クラスの銀竜よ? 魔王ですら赤子同然よ? 伝説の銀竜よ? それを使役したんだから大騒ぎよね」
「……」
なんとなくだけど、想像はできる。今の魔王でもレベルは800らしいけど、銀竜は1,500だ。
圧倒的なレベル差で魔王をボコれるだろう。
でも、銀竜にはスキルがないから魔王を殺すことはできないらしい。なんで魔王にそんな面倒な機能をつけるかな。
「まとまったお金がほしいのなら、宝石を作って町で売ればいいんじゃない?」
「……なるほど。分かった。ためになった」
「へっへへ~ん。どう? 私は役にたつでしょ!」
「……そうだな。それで、お前は俺のところで、何をするんだ?」
「へ?」
バカ面をしやがって。
「だから、俺のところでアシスタントをするんだろ? 何をするんだ? 俺の代わりに戦うのか?」
魔王を見つけたらダメ神が戦えばいい。俺は最後にトドメだけ刺すからさ。
「えーっと……何をするのかな?」
「……」
こいつはいったい何がしたいのか?
「俺以外の5人の勇者を転生させたのはお前か?」
ダメ神が自分の仕事について分からないのなら放置して、話を変える。
「違うわよ~、それぞれ違う神が担当したの」
「転生条件は一緒なのか?」
「条件は皆一緒だけど、あんたは例外になっちゃったわね。私に感謝しなさいよ!」
ダメ神の頭にチョップを入れてやる。
「うぎゃっ!?」
「俺は転生を望んでいなかったのを忘れたのか!?」
目の前で頭を押さえて痛がっているダメ神が俺を無理やり転生させたのは記憶に新しい。
「地球で死んだ人を18歳に転生させたのか? 地球での年齢は一緒なのか?」
「人の頭を殴っておいて、何かを聞こうなんて……ちょ、ちょっとたんま!?」
一度で分からなければ二度、三度とチョップをしてやればいい。だから俺が再びチョップをしようとするとダメ神は俺から距離をとった。
「まったく、私をなんだと思っているのよ……ぶつぶつ」
ダメ神だよ。他に何かあるんだよ?
「いらんことは話さなくていいから、聞かれたことに答えろ」
「あーもうっ! 18歳転生は皆同じだけど、死んだ時の年齢はそれぞれ違うわよ」
「次は私の仕事ね。今、あんたがいるこの場所から南に向かえばダンジョン化した森があるわ。逆に北へ向かえば村に行けるわよ」
俺とユキが喜び合っていると、ダメ神が俺とユキの幸せな時間に割り込んできた。こいつ、空気読めない奴だ。
「でも、村は小さいし、とても貧しいから大したものはないわよ」
俺の考えていることに気づいていないのか、それとも気づいていてスルーしたのか、ダメ神はそのまま喋り通した。
「その村へはどの程度で行けるんだ?」
「あら、喋ったわね。いいわ、教えてあげる。村へは歩いて半日くらいね。あのイノシシのスピードならすぐにつくんじゃない?」
まぁ、テンポウなら時速100Kmは出せるからな。
「……南の森はどのくらい時間がかかるんだ?」
「森は~、歩いて5日ってところかしら? イノシシなら2時間もかからないとおもうけど?」
人間の歩く速度は時速4Kmほどだと何かで聞いたことがある。1日8時間歩くとして32Km進めるから、5日だと160Kmだ。テンポウなら2時間もかからないわけだな。
「どうする? 村へ行く? それとも森へ行く?」
「他には選択肢はないのか?」
「う~ん、西に進めばそこそこ大きな町があるけど、歩きだと5日くらいかかるかしら?」
どれもテンポウに走ってもらえば大して時間はかからない。
「村や町に入るのに何か必要か?」
「その町に入るには入町税が必要だったと思うけど、村は物々交換が主流だからお金よりも物がいいかもね」
「転生してからいくらかの金は手に入れた。その西の町で使えるのか? それに魔物の素材は何がいいんだ?」
アイテムボックス(極)からじゃらじゃらと硬貨を取り出してダメ神に見せた。
「それは1,000レイル銀貨ね。このあたりの国ならどこでも使えるわ。それと、あんたが持っているウサギ肉や毛皮、狼なら毛皮、イノシシなら肉と毛皮がお金になるし、物々交換もできるわね」
わずかな期間だったが神などというものをしていたのだ、この世界のことに精通にしているのは間違いない。
どうせついてくるのだったら、その知識を生かせばいい。俺はいつの間にかそう思うようになっていた。
「俺が持っているもので物々交換ができるのか。宝石はどうなんだ?」
「村で宝石なんか出しても価値が適正に判断できないわよ。出すなら魔物の素材の方がいいわね」
「そうか……」
ジュエリークラフターはMPさえあれば、宝石を際限なく作れる。今の俺はレベルが上がったことでMPが半端なく多いので、かなりの数の宝石を作れるだろう。
しかし、村では宝石の取引はできないか。まぁいい、町だってそんなに遠くにあるわけじゃないんだ。必要なら町に行って換金すればいい。
「そうそう、あんたが宝石にしたあの銀竜も素材として売れるわよ」
あの大きさのダイヤモンドってだけでもどれだけの価値があるのか分からないのに、銀竜が封印されているなんて知ったら大騒ぎになるのは目に見えている。だからこのダイヤモンドは売らない。
ダメ神の話に出てきた銀竜は膨大な経験値を持っており、そのせいで俺はレベル1,000にまでレベルアップした。
レベルアップは1や2ならなにも起こらないが、大量にレベルアップするとレベルアップ酔いを起こすらしい。
一気に1,000近くもレベルアップすれば、レベルアップ酔いどころの話ではない。それがあの体中の痛みに繋がったのだと、ダメ神は教えてくれた。
教えるなら、もっと早く教えろよ。本当に役に立たないダメ神だ。
「まぁ、銀竜の素材なんか売ったら大騒ぎになると思うけどね」
「……」
「竜種の中でも最強クラスの銀竜よ? 魔王ですら赤子同然よ? 伝説の銀竜よ? それを使役したんだから大騒ぎよね」
「……」
なんとなくだけど、想像はできる。今の魔王でもレベルは800らしいけど、銀竜は1,500だ。
圧倒的なレベル差で魔王をボコれるだろう。
でも、銀竜にはスキルがないから魔王を殺すことはできないらしい。なんで魔王にそんな面倒な機能をつけるかな。
「まとまったお金がほしいのなら、宝石を作って町で売ればいいんじゃない?」
「……なるほど。分かった。ためになった」
「へっへへ~ん。どう? 私は役にたつでしょ!」
「……そうだな。それで、お前は俺のところで、何をするんだ?」
「へ?」
バカ面をしやがって。
「だから、俺のところでアシスタントをするんだろ? 何をするんだ? 俺の代わりに戦うのか?」
魔王を見つけたらダメ神が戦えばいい。俺は最後にトドメだけ刺すからさ。
「えーっと……何をするのかな?」
「……」
こいつはいったい何がしたいのか?
「俺以外の5人の勇者を転生させたのはお前か?」
ダメ神が自分の仕事について分からないのなら放置して、話を変える。
「違うわよ~、それぞれ違う神が担当したの」
「転生条件は一緒なのか?」
「条件は皆一緒だけど、あんたは例外になっちゃったわね。私に感謝しなさいよ!」
ダメ神の頭にチョップを入れてやる。
「うぎゃっ!?」
「俺は転生を望んでいなかったのを忘れたのか!?」
目の前で頭を押さえて痛がっているダメ神が俺を無理やり転生させたのは記憶に新しい。
「地球で死んだ人を18歳に転生させたのか? 地球での年齢は一緒なのか?」
「人の頭を殴っておいて、何かを聞こうなんて……ちょ、ちょっとたんま!?」
一度で分からなければ二度、三度とチョップをしてやればいい。だから俺が再びチョップをしようとするとダメ神は俺から距離をとった。
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