ジュエリークラフター 【魔物を宝石に変えて魔王も倒せるけど勇者じゃないおっさん】

なんじゃもんじゃ

006C_ラーディア

 


「……もう、いつまで怒っているのよ、男でしょ? 綺麗さっぱり忘れなさいよ」
「……」
 俺は約束を守る男だ。例え相手が腐れダメ神であったとしてもだ。
 無言で昼食にウサギの肉を食べている俺を見ながら話しかけてくるダメ神は、とても満足気だ。ぶっ飛ばしてやりたい。
「おとうさん、よしよしなのです」
 ユキが落ち込んでいる俺を元気づけようと頭を撫でてくれた。ああ、癒される。


「お腹も膨れたし、これからの私たちのことを話し合いましょうか!」
 私たちのことってなんだよ? お前は俺の家族でも嫁でもないからな!
「……」
「もー、男でしょ!? いつまでもぐだぐだしないの!」
 俺はダメ神が一緒にいるのは受け入れたが、心を許したわけではない。
 上手く傲慢な国王とおさらばできたので、ユキと2人で悠々自適の生活を送ろうと思ったのに。なんでこんなお荷物を押しつけられるのかな。
 俺ってそんなに悪いことしたかな? 神様の罰なのかな? 神様って言っても目の前にいるダメ神ではない。あのアフロディーテさんだ。


「いいわ、私が喋るから聞いておきなさい!」
 ダメ神は俺の態度を見て反応してもらうのを諦めたようだ。俺をいつまでもうじうじしている奴だとでも思っているのだろう。俺はダメ神をあつかましい奴だと思っているけどな。


「まずは、アフロディーテ様からの伝言よ。レベル1,000ともなると大概の魔物は寄ってこないから魔物を狩りたければダンジョンに行くしかないって」
 なんってこった! 今日は一度も魔物に遭遇していないと思ったら、そんな状況だったのか!?
 地上にいる魔物は俺の気配を感じた瞬間に逃げ出すらしく、高レベルの魔物がいる場所に行くか、ダンジョンのような場所に行くしかないらしい。


「それから、これ。アフロディーテ様からのプレゼントよ」
「……」
 ダメ神は何かの種のような小さな粒を俺の手の平にむりやり置いた。そしたら、その粒が俺の手の平の中に吸い込まれていった。俺は吸い込んでないから、勝手に俺の体の中に入ってきたのだ。
「な、なんだ!?」
「おとうさん、なくなってしまったのです!?」
 ユキもびっくりしている。
「おい、なんだよこれ!?」
 俺はダメ神に詰め寄ろうとした。
「それはスキルの種よ。レベル1,000を達成したあんたにアフロディーテ様からの贈り物よ」
「スキルの種って……」
 俺はスキルの種が消えてなくなった手の平を見つめた。
「スキルの種は発芽するとあんたにあったスキルを与えるわ。発芽まで少し時間がかかるけど、その内新しいスキルをゲットできるから楽しみにしているといいわ」
「おとうさん、スキルってなんですか?」
「スキルは俺たちのような異世界から来た人が使える力だな」
「そんな力があるのですか!?」


 ユキはこの世界の人間なので、スキルを得ることはない。だからスキルの存在も知らないようだ。俺はスキルについてユキに丁寧に説明をした。職業アーツとは違う力だと言うと、ユキは目をキラキラさせた。
「おとうさん、すごいのです!」
「そうか、お父さんはすごいか!?」
「はいなのです!」
 俺はユキと抱き合って喜んだ。お父さんはすごいんだぞ!


 

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