婚約破棄から1年後・・・・・・

こうじ

元実家が崩壊していました・・・・・・

 とりあえず兄を落ち着かせサンドイッチとミルクティーを用意した。
「美味いな・・・・・・。エミーナが作ったのか?」
「はい、独り暮らしをしているので自炊をしているんです。外食は月に1回ぐらいですね。」
「生活の方は大丈夫みたいだな。」
「えぇ、オープンして数ヵ月経ちますけどお客様からは好評を頂いています。」
「らしいな。宮廷にも此処のお店の物を持っている者がいたぞ。」
「それは嬉しい限りです。・・・・・・王太子様はお元気ですか?」
「元気と言えば元気だが・・・・・・、実は今王太子とは距離を置いているんだ。正確に言えばルミーナと、だ。」
 意外だった。
 兄は私が婚約者という事もあり王太子様とは幼い頃から付き合いがあり、いつも一緒にいた。
 そんな兄が距離を置く、なんて・・・・・・。
 そういえば、兄の顔を見ると疲れた顔をしている。
「あの、何かあったんですか? まさか私の事で・・・・・・。」
「いや、エミーナは関係無い。逆にエミーナは被害者だ。」
 はい?
 私が被害者?
「この1年で状況がかなり変わってしまった。その変化はまず我が家から始まった。」
 えっ?
 実家で何があったの?
「エミーナが出ていってすぐに父上の借金が発覚したんだ。そのお陰で実家は売りに出された。」
「えぇっ!?」
 あの堅物でプライドの固まりなお父様が借金っ!?
 にわかに信じられない話だった。
「その、借金の原因はっ!?」
「・・・・・・浮気だ。」
 ・・・・・・はい?
「愛人に貢いでいたらしい。問題はその相手だ。その相手というのがルミーナの母親だったんだ。」
「なぁっ!?」
 私は思わず立ち上がった。
「当然、母上は激怒、父上をボコボコにして家を出ていってしまった・・・・・・。我が家は今は崩壊している。多分身分剥奪も時間の問題だろう・・・・・・。それ以来、俺は王太子とルミーナとは距離を取っている。」
 それはそうだろう。
 だって、まさか王太子様の婚約者の母親が取り巻きの家を事実上崩壊させたのだ。
「それでライオット家について調べてみたのだが、どうもルミーナは直接ライオット家とは血の関係が無いらしい。ライオット男爵とルミーナの母親は再婚らしいんだが、最初の妻と子供は不審な死を遂げている。どうも毒殺の疑いがあるみたいだ。」
 どうも、あの親子にきな臭い匂いがしてきた・・・・・・。
 

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