異世界の転生者達

神崎桜哉

第1話 突然の終わり

今日は一月八日。 
 新年を迎え、今日から新学期が始まる。 

 ジュウ〜〜〜〜〜 

 フライパンの中にある油が弾ける音で目が覚めた。 
 ベーコンエッグを作っているのだろう、ベーコンの塩っぽい香りが寝起きの鼻を刺激し、食欲をそそる。 
 ベットから出ようとするが、掛け布団をあげた時の風が冷たくて中々出られない。 
 このまま二度寝をしてしまおうか。 
 そう思った時、部屋の扉の奥から足音が近ずいてきた。 
「お兄ちゃん! 今起きないと朝ごはん抜きにするよ?」 
 妹の、結衣(ゆい)の声が扉越しに聞こえてくる。 
「まった! 起きてるから、それは勘弁!」 
 急いでベットから降りて、寒さに身をさすりながら返事をした。 
「早く準備して。朝ごはんできてるから」 
 扉の外から足音が遠ざかっている。 
「はぁ、準備するか」 

 ここで自己紹介をしておこう。 
 俺の名前は 最上 徹(もがみ とおる)高校一年生だ。趣味は読書に、アニメに、ネットサーフィン、だが、別にインドアはでは無い。 
 特技は中学三年間部活をやっていたこともあり剣道が得意である。 
 自己紹介終わり。 
 あ、ちなみに、結衣は中学二年生である。 

 顔を洗い、高校の制服に着替えてからリビングへ向かう。 
 食卓には、予想通りのベーコンエッグとコーンスープ、コーヒーとちゃんとしたセットである。 
 結衣は弁当の用意をして待ってくれていた。 
「お待たせ」 
「お、やっときた。早く食べよ? 今日始業式なんでしょ?」 
「ああ、そうだな」 

『昨夜の大雪で道路が大変滑りやすくなっています。お車で通勤の方はスリップに十分お気をつけください。さて、次のニュー・・・』 
 テレビでやっているニュースを聞き流しながら、朝食を食べ終え、家を出た後、途中まで結衣と雑談をしながら歩いていた。 
「今日の夕飯何がいい?」 
「んーなんでもいいかな」 
「それ一番困るやつだよ」 
 結衣の作る料理はなんでも美味いので、本当になんでも良かったんだが、怒られてしまった。仕方ない、何か決めるか。 
「じゃあ、パスタかな」 
「オッケー、パスタね。カルボナーラでいいよね?」 
「うん、それでいい」 
「じゃあ、帰りに牛乳よろしく」 
「りょーかい」 

 結衣と別れた後、少し歩いたところで、幼稚園の時からから聞いている声に名前を呼ばれる。 
「よっ、徹。元気にしてたか?」 
 親友でクラスメートの 北上 涼(きたかみ りょう)だ。 
 涼とは昔よく、俺と結衣と三人で遊んでいたので結衣とも仲がいい。 
 また、俺のアニメやラノベ仲間である。まぁ俺がハマらせたのだが・・・。 
「おはよう。元気は元気だが、寒くてあまりやる気が起きん」 
「相変わらずだなお前」 
 涼がケラケラと笑った。 
「生活を変えてないからな、何も変わらなくて当然だ」 
 涼に笑われたことにちょっとムッときたおで開き直ってみた。 
「ま、いいけどさ」 
 何事もなかったかのようにスルーされてしまった。ちょっとショックだ。 

 学校について、時間になったら講堂に整列して、校長先生のありがた〜いお言葉を聞き流して時間を過ごす。 
 所謂、普通の始業式を終えて、特に授業はないので帰る仕度をしていると、涼が声をかけてきた。 
「この後暇だろ? ゲーセン行こうぜ」 
 特に問題はない。行こう。 
「いいよ。俺に勝ったらジュース奢ってやる。その代わり俺が勝ったら・・・」 
「俺がジュースを奢る。よし、行くか。今日は勝てるかな?」 

数時間後 

 空がオレンジ色に染まった頃に決着がついた。いや、最初から結果はわかっていた。俺がゲームで涼に勝てるわけがないのだ。 
 涼は根っからのゲーム好きで、お金と時間に余裕ができたら一人ででもゲーセンに行っているほどだ。 
 俺は涼に誘われた時にしかゲーセンは行かない。 
 よって、この勝負、始める前に既に決着がついていた。 
 何故勝てないんだと、答えが解りきっている文句を吐きながら、涼にジュースを奢った後、ゲームのことを涼にいじられながら帰っていると、反対側の歩道に結衣を見つけた。 
 結衣もこっちに気付いたらしく手を振ってから、信号の前で待っていてくれた。 
 信号が青になって道路に足を出そうとした時だった。 
 耳を貫くような異音と共に視界の端に大きな影が見えた。 
 影の方に向いた瞬間、 
 音が消え、世界がゆっくりになった。 

 目の前でスリップを起こし、こちらに倒れてくる大型トラック、 

 俺のやや前でほおけている親友、 

 反対側から血相を変えて駆け寄ってくる妹の姿、 

 周りにいる人の表情、 

 全てが見えた。 

『昨夜の大雪で道路が大変滑りやすくなっています。お車で通勤の方はスリップに十分お気をつけください。・・・』 
 朝につけていたテレビのニュースが脳内放送される。 

 ああ、まだ牛乳買ってなかった。 

 ドォォォォォン!!!! 

 鈍い音と強い衝撃を最後に、俺の意識は闇へと落ちた。 




皆さん、『異世界の転生者達《ロジック・レッカー》』を読んでいただきありがとうございます。 
初めての小説なので、色々と稚拙なところがありますが、そういうところを見つけたら、指摘や改善点などをコメントしていただいたら嬉しいです。 
今後ともよろしくお願いします。 

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