白の悪魔は闇夜に謡う

霜樺

白い悪魔の2度目の生

目を覚ますと私は、生まれ変わっていた。

ーー元に戻してくれるのでわなかったのか?

私を取り出した助産師は何か、思い詰めたような顔して私を見ていた。

「バネッサ、私の赤ちゃんは?」

「奥様、気を確かにお聴きください。赤ん坊は無色ムシキです。ですが、」

「は!?この私が無色を産んだと!?
そんな者早く殺しなさい!」

「そんな、おやめください!奥様が腹をお痛めになって産んだ子ですよ!」

聞いたことのある育ての親の声と、思い出したくもない母親の声を聞き、私はびっくりした


ーー元に戻すって、赤ん坊からなの?


こうして、私の今生2度目の生が始まった。









「セレノア様。また本を読んでおられるのですか?」


「少し、調べ物があるので。」

それから私は、赤ん坊が死産した事は外聞が悪いからと、殺されはしなかったものの。


遠い領地で、助産師の女性に育てられた。

それから私は、歩く事ができるようになってから蔵書の本を読みふけった。

忘れかけているもの、今後の人生で役立ちそうな物、全て読んだ。



そして5歳の誕生日を迎えた今日、バネッサに私はある頼み事をする。

「バネッサ。私あなたに頼みたい事があるの。」

「?何ですか?セレノア様。」


洗い物の手を止め、私の方に向き直ってくれるバネッサ。

彼女は本当に優しい人だ。


そこらの聖女よりも、断然慈愛に満ちている。


「あのね、これからは私のことを



             ーーー男として扱って欲しいの。」

私の発言にとても驚いているバネッサ。


だけれどこれは、私の心からの願いだった。

「私は無色ムシキでしょ?
だから女のままだと今後、殺されてしまうかもしれない。だけど、男ならまだ生きられるかもしれない。」


これは、本当のことだ。


前の私は、バネッサに庇われて助かった。


ーー私の大切な人達の命と引き換えに


だから、バネッサのためにも私は男であったほうがいい。


バネッサもそう思ったのか、押し黙る。


他に方法はないかと探っているのだろう。


だけどもう、考えていられる時間はない。


私はタンスに隠してあった男物の服を纏い、鏡台の上にあった鋏で腰まであった髪を切った。


「なっ…お嬢様!」

「僕はお嬢様じゃない、リュクス侯爵家次男だ。」


その時、部屋のドアが開きこの家唯一の執事が入って来た。


「旦那様がお見えになりました。ご準備を。」


高齢な彼は私を見て一瞬目を見開くも、すぐ戻り目を細める。


「どのようになされば?」


「僕はリュクス侯爵家次男のセレノアだ。」

「かしこまりました。
ーー覚悟はよろしいのですね?」

「すでにできている。」


できる執事はそう言うと、寂しそうな誇らしそうな顔をして部屋を出て行った。


「バネッサ、他の使用人達にも僕の事を周知してくれ。」


「…かしこまりました。」


目に涙を溜めながらも、頭を下げ部屋を出て行く。



この家の使用人達は殆どの人が私に対して、優しい人達だ。


バネッサが自身の伝手を使って集めたもの達なので、優秀さはもちろん人としても出来ている。



みんな歳を理由に仕事を辞めていたもの達だったのでこの家の使用人となれた、私はよく手伝いをしていたものだ。

今まで私に愛情を注いでくれていた者達、今世こそ必ず救ってみせる。


その思いを胸に、自分の両親を出迎えに向かった。

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