白の悪魔は闇夜に謡う

霜樺

全ての始まり

ある寒い冬の日、
もう少しで雪が降りそうな天気の日に

「これより、セレノア・カトル・エレクジン廃妃の処刑を執り行う。」

ーーーーーー私は処刑される。









事の始まりは、私が7歳の頃
聖獣様に認められた事がきっかけだった。


当時、第1王位継承者であられる。
ライト・デュー・エレクジン様の7歳の誕生日パーティーが王家で開催された。

全貴族は、5歳以上の子供がいるところは出席させるよう義務付けられた。

無色ムシキと蔑まれ、1人領地で軟禁されていた私も豪華なドレスを着せられパーティーに出席させられていた。


そんな時来たくもなかったパーティーで無色である事に後ろ指を指され、いじめられ、庭園に逃げた際迷子になり、そこで聖獣様に出会った。


白い綺麗な毛並みの虎に、最初は驚いたものの知性宿る瞳に私は話しかけていた。


「どうしてここにいるの?」

     グルルッ____
『其方こそ何故ここにいる。ここは立ち入り禁止区域であるぞ。』

獣特有の威嚇する低い声と共に低く響く声が頭の中に響き、わたしは驚きキョロキョロしてしまう。

『其方、我が声が聞こえるのか?』

またも聞こえる声に、この虎さんが喋っている事に気付く

「は…はい。」

『ふむ、契約者以外で我が声が聞こえるのか。』

何か考え込んでいる虎さんを呆然としながら見守る。

軟禁されていた時、鳥さんや時折来る動物達だけがわたしの話し相手だった。

だから、こうしてちゃんと会話できていると事に感動に似た感情が溢れていた。

『…そういえば、其方何故ここにいる?』

「あ、あの迷子になってしまって。」

それだけ言って顔をうつむける。

どうせ戻っても、後ろ指を指される窮屈な空間に間違いなく。戻りたい気持ちは無くなっていた。

『…今宵のパーティーの参加者であろ?
我も呼ばれておる故、共に行こう。』


そう言って私に顔を擦り寄せて来る


『…何、居づらいのであれば、向こうでは我と話をしていようぞ。其方ともっと話しがしたい。さっ、我の上に乗れ。』

そう言って聖獣様はその背に乗せて、私を連れて言ってくれた。






聖獣様に乗って登場した私に周りは騒然となっていた。

私を聖獣様から降ろそうと近寄って来る大人達に聖獣様が唸って威嚇し、自分の席だと用意されていた絨毯のところに私を下ろして尻尾で囲ってくれた。

温かい聖獣様に囲まれて蔑みの目を向けられていた私の心はゆっくりとほぐれていた。


その後パーティーが終わるまで、聖獣様と話して終わった。


その日から私は聖獣の巫女として認識され。

私の世界は大きく変わった。



聖獣の巫女となった私は、今まで候補にも上がっていなかったのにもかかわらず、皇太子の婚約者となった。


待遇のよくなった家族や親族。
他の人達からは敵意や好奇の視線が多くなり。

取り込みや、誘拐などが増えた。


慣れない皇妃教育に、元々婚約者候補だった令嬢達からの酷いいじめ。

さらに婚約者となった皇太子は私を婚約者として認めていないのか、無色と蔑み、辛く当たって来る。





そのため、私はどんどん心が荒み、生きて行くために、心身ともに強くなった。


わたしが荒み切らなかったのは、聖獣様が居てくれたからだろう。

そして私は、その状態のまま私は成長して、もう周りに何も言われない程の教養を身につけた。





だけど、世界は残酷だった。


神からのお告げで聖女が選ばれ、皇太子の妻は聖女に決まった。


先代が崩御し、皇太子は皇帝となり、聖女は皇后となり、私は皇妃となり皇帝の側室となった。

聖女に選ばれたのは、平民の娘でなんの教養もなかったが皆に受け入れられた。





本来皇后となるはずだった私は、無知な皇后の尻拭いをさせられていた。



それでも、聖獣様の守る国の為と私は精一杯、公務に励んだ。


聖女に選ばれた女の子は心優しく、愛らしかった。


私にも、優しく声を掛けてきたが、それは無知による行動だった。



皇后の無知を私に背負わせ、私への周囲の当たりは更に厳しくなった…

そんな中、ある噂が城の中に流れていた。


“皇后様が誰かから嫌がらせを受けている”
“皇后様が誰かから命を狙われている”

そんな噂が流れ始めていた。

私は公務に励みながら、「人って怖いな」と思っていた。


ーーそんな噂が広まり城下まで広がった頃私は謁見の間に呼び出された。


「エレクジンに天地の祝福があらん事を。
皇帝陛下並びに、皇后陛下に置かれましてはご機嫌麗しく。

ーーして私のような者になんの御用でしょうか、陛下。」

何故か異様に怯えている皇后様に、周囲の殺意に満ちた視線を受けながら、背筋を伸ばして平静を装って尋ねる。


「セレノア・カトル・エレクジン。
貴様を今この瞬間を持って、皇妃の地位を剥奪する。」


陛下のその言葉が発せられたと共に衛兵に両脇を抱えられ動きを封じられる。

「ーーなっ、なに「並びに皇后殺害の計画首謀者として、反逆罪で斬首を申付ける。」

「え?」

「聖獣様の慈悲に甘え、その地位に居座り、それだけに怠らず嫉妬で皇后を殺害しようとはお前はとんだ悪女だ。」

「な!…何かの間違いでは?!」

必死に弁解しようにも、聞く耳を持ってもらえない。


謁見の間からでた時最後に見えたのは、聖女の醜悪な笑みだった。



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