新・痛々しく甘いチョコレェト

山田 みつき

15

私は帰宅し、即刻、退職届を出す事に決め、自分には見合わなかった職場だと思った。
一風呂し、アラーム通りに起きる。

朝が訪れる。
どうでも良い映画のワンシーンの夢を観てしまう。

冗談じゃない。
誰に何を言われようとも、私は私の人生で生きて来たのだもの。
冗談じゃない。

未だ…退職金云々はある筈。
目一杯働いて来たのだもの。

大体、この人達はきっと頭の間違った人達なんだわ。
荷物を纏めて。
未だ残ってる社員はきっと居る。

支度し、JR山手線の目白駅へ向かう。
深呼吸して、職場行きのバス停に立つ。
私は間違ってないと自分に言い聞かせ、途中にある鏡を横目で見た。

「私は間違ってなんかない、大体おかしいのは道徳観から外れたあの人達なんだ。私はちっとも間違ってなんかない。」

私「おはようございます。はい…。」

出社と共に、長谷川部長の顔がこの眼に入って来た。
ヒールが私に近付いて来る。

長谷川「ちょっと待って。社長は未だ出社していないの。悪いわね。」

私「良いんです。はい、お願いします。」
私は退職届を出した。

私「色々と皆様には御迷惑をお掛けし、お世話になりました。」

長谷川「…ちょっと!!身勝手じゃない!」

私「辞職を書かされるよりは未だマシかと思いまして。長谷川部長の言う通りなんです。私は面白くない、この部所に相応しくない人間なのです。やっと気付かされました。失礼します。」

私は、きっと何処かで引き留めて貰う事を望んだのであろう。
解らない。

長谷川「…そう。貴方に辞めろと追い込んだのは私の責任ですからね。其れは貴方の意思ではない。私が大人気無かった、其れは謝るわ。でもね、見て、これを見ても悔しいと思わないの?そんな事にも気付けない位に貴方は冷静さを失っていると言う事なの。井川さん、いい加減に本当の意味での自分の仕事を理解して頂戴、何処の職場へ行っても甘やかされるだけだわ。そして私はもう部長じゃないの。」

え…?
どうゆう冗談?
私は、またお説教か何かだと思っていた。
どいつもこいつも、説教ばかり。
私がまるで何も苦労してないみたいじゃない。

吉井「おはようございます。」

私は良く解らなくなった。
早速、私のデスクには、昨日見た顔が座っていた。
焦り出した私は長谷川さんに問い詰める。

私「部長!!何考えてるんですか!此処はの机です!!どうして昼職なんぞ機械なんぞ触れた事すらない、そんな人に指一本触れさせるなんて…!!」

そうすると、長谷川さんが指を指す。
空っぽのデスクで一番端の、用無しデスクだ。

長谷川「此処なら空いてるわ。其れに言うけれど、今月は貴方の仕事が未だ残っているの。辞めるにしても来月、再来月なのが常識の範疇。でも辞表は受け止めるわ。ならば貴方はもうこの部所では後輩なの。解る?世間はそんなに甘くはないの。あとね、何度も言うわ。私はもう『部長』じゃないの。」

吉井「宜しく、井川さん。」

彼女はニコリと笑った。
学生時代の『まふゆ』とゆう女も気にいらなかった。
更に後輩の男が追い討ちをかける。

須藤「おはようございます!井川さん、こっちの席になりましたので!隣ですねぇー♪いやぁ、一緒に仕事出来る様になるなんて、夢にも思いませんでしたよ!」

長谷川「こらっ、須藤、ちゃんと仕事すれよ!酒臭いからね!」

この女…。
私は笑顔で返事をした。

私「ええ。宜しく御願いします。この部所での一番下の井川と申します。」
嫌味が勝手に私の口唇から溢れ出した。

吉井「いえいえ、先輩じゃないですか。何言ってるんですかぁ?いい加減、仕事しません?嗚呼、ロッカーならあちらに御座います。」

私「は…長谷川部長…。」

長谷川「貴方って本当に人を決め付けるの大好きね。宜しく御願いね、井川さん。改めまして、編集長の長谷川です。」

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