新・痛々しく甘いチョコレェト

山田 みつき

4

その場で蹲ったまま、立てずに私は震えた。
同じ職場の人間が、喫煙室に入って来るなり、驚いた顔で私を揺さぶった。

須藤「…井川さん!?大丈夫ですか?どうしました?具合、悪いんですか…!?」

私「いえ…大丈夫なので放って置いて貰えませんか?須藤君…大丈夫だから戻って。」

須藤「もしかして、その手に持っている原稿用紙…!」

私「何でもないの。須藤君は、須藤君の仕事をしてくれて構わないの。早くしないと編集出来ないよ。さあ、早く戻って。」

須藤「いや…実は僕の方にも、変な原稿が送られて来たんです。もし、井川さんと僕に届いた物が何か関係する物であるならば…きっと誰かの悪戯ですよ、構わない方が良いです。」

そう言って、缶コーヒーを渡してくれた。

私「…須藤君…良かったらその原稿、見せてくれないかな。私も同じ社内の人間。仕事だから…。どんなものだったの?」

須藤「頭の弱い僕には良く渡らないけれど…女性かと思われる人物からの書き込みで…。元々、うちの部と関係があったような事を濁して居ます。」

私「そう…きっとクビにされた人か何かでしょう?気にしない、気にしない。」

須藤「ですが…ちょっと気持ち悪いと思いませんか?」

私は自分の意志と裏腹に、彼に何故か放った。

私「…人は皆孤独だわ。けれど、誰も一人では生きられないのよ。…どんな内容だったのかも知らないけれど、私も、そして貴方も弱い…。」

須藤「…は…?大丈夫です?」

ハッ…私何熱弁しているんだろう。

私「御免なさい、本当に大丈夫だから。何でもないの。早く席に戻って…。」

私は、缶コーヒーを飲み干して、煙草を揉み消した。
呆然とする彼を置いて、私は喫煙室から出て行った。

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